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ちょっと何を言っているのか分からない
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「お、おはよう……?」
「グルルルル」
何とか搾り出した言葉がそれだった。
ちなみに現在、満点の星々が夜空を彩っている時間である。
いや、自分でもどうかと思う。
そもそも言葉が通じるのだろうか、そこからして怪しい。
ほんとなら一も二も無く、すたこらさっさだぜー!するのが正解なんだろう。
だが、と。
俺の視線がついっと滑る。
くるりとした大きなスネークアイ。
サラサラのパールブルーの体毛。
数本に分かれた長い尾。
全長にして7~8メートルくらいだろうか。
『ナニ』がついてないので恐らくはメスだろう。
「グルル」
なめ回すような俺の視線に、ドラゴンは僅かに首をかしげた。
どうやら、すぐに俺をどうこうする気はないようだ。
まるで観察するかのように、その瞳はじっと俺を見つめていた。
それに、俺は。
「結婚しよう!」
プロポーズした。
『グルルルルル……ふぁ!?』
カ~ッとドラゴンの顔が赤く染まった。
なんという人間味あふれる反応。
ていうか今喋らなかった?
それまでの荘厳な雰囲気が一瞬で霧散し、後ずさるドラゴンに俺は自分から詰め寄りにかかる。
幸いにして言葉は通じるらしい。
ならここは一気にたたみ掛ける!
すぅっと息を吸い込み、目をカッ見開き、言葉に万感の思いを込める。
「俺の義妹になってくれ!」
『ちょっと何を言っているのか分からない』
「お兄ちゃんと呼んでくれ」
『困った。言葉が通じない』
なぜだろう、完全に軽蔑されていた。
さっきまでの照れた様子は完全に消え去っており、どことなく据わった表情をしている。
このドラゴン、表情豊かすぎだろ。
正直、ドストライクなんだが!
ぶっちゃけ何で会話できるのかとかどうでもいい。
『あなた誰。ここ私の島。出てって』
「良くぞ訊いてくれた義妹よ。俺は名瀬悠也17歳、孤高の引きこもりにして誇り高きケモナーだ!」
『ヒキコモリ……ケモナー……? あと義妹じゃない。出てって』
「断る!お前がお兄ちゃんと呼んでくれるまで俺はお前から離れない」
『「お兄ちゃん」。言った。出てって』
「なにを言っている?兄が妹から離れるわけがないだろう」
『……食べるよ』
「本望だ!」
即答で言い切ったやった。
我々の業界ではご褒美です!
「お前が俺好みのドラゴンである限り、俺はお前から離れるつむりは無い」
『……この姿じゃなければいいの?』
そう、言うが早いか。
ドラゴンの体が光に包まれた。
そして、
「なん、だと……っ!?」
思わず息をのんだ。
一瞬にして、さっきまであったドラゴンの巨体が消滅したのだ。
だが、問題はそこじゃない。
そこじゃないんだ。
なぜなら、
俺の目の前にはすっぽんぽんの幼女が立っていた。
年は13、4歳くらいだろうか。
腰まで伸びたパール・ブルーの髪の毛。
気だるげなたれ目。
僅かに膨らんだおっぱ――じゃない!
「隠せ!とありあえず前、前隠してくれ!」
「っ~~、のぞき。変態」
「人聞きの悪い事を言うな。と、とりあえずこれ着とけ」
顔を真っ赤にしてバッと両腕で、女の子の部分を隠す少女。
ひとまずジャージを脱いで少女にかぶせると、光の速さで身に纏った。
ギリギリで上も下も隠せてるけどきわど過ぎだろ!
ちょっとでも動いたら、その、見えそうなんだが!
人間形態になれるんだったら、考慮しといてくれませんかね!?
事案になっちゃうだろ!
一方の俺はというと『I CAN FLY』という謎のプリントがされたTシャツだけになってしまい、そこそこ寒い。
吐き出す息がうっすら白いんだが、気温何度だよ。
「とりあえず洞窟かどこか、寒さをしのげる所に案内してほしいんだけど。このままじゃ話し合いもままならないし」
そう言った俺の顔をチラッと見て、着ているジャージを一瞥する。
そして、若干の葛藤の末、
「仕方ない」
そのまま歩き出し始めた。
ついて来いってこと、だよな。たぶん。
そう判断しよう。
少し遅れて、慌てて彼女の後を追いかける。
「……シヴァティア」
しかし、俺のジャージが全裸の幼女に着られている、この凄まじい背徳感を一体どうしたら――。
目の前で風に遊ばれる髪を眺めながら、顎に手をあててぐぬぬぬと考える。
――って、あれ。今何かとてつもない重要そうなワードが……。
「それ、もしかしてお前の」
「お前じゃない。シヴァティア」
「シヴァ、ティア」
「――ん」
彼女は、いやシヴァティアはそう言って名乗ったのだった。
ちなみに、耳がほんのり赤くなってる事は後ろから丸見えだったりする。
ふっ、お兄ちゃんの目はごまかせ――、いや。
ここで茶化すのは違うか。
ポンとシヴァティアの頭に手をのせる。
「よろしくな、シヴァティア」
「触らないで」
ペシッと手で叩き落とされた。
義妹が辛辣しぎてつらい。
「グルルルル」
何とか搾り出した言葉がそれだった。
ちなみに現在、満点の星々が夜空を彩っている時間である。
いや、自分でもどうかと思う。
そもそも言葉が通じるのだろうか、そこからして怪しい。
ほんとなら一も二も無く、すたこらさっさだぜー!するのが正解なんだろう。
だが、と。
俺の視線がついっと滑る。
くるりとした大きなスネークアイ。
サラサラのパールブルーの体毛。
数本に分かれた長い尾。
全長にして7~8メートルくらいだろうか。
『ナニ』がついてないので恐らくはメスだろう。
「グルル」
なめ回すような俺の視線に、ドラゴンは僅かに首をかしげた。
どうやら、すぐに俺をどうこうする気はないようだ。
まるで観察するかのように、その瞳はじっと俺を見つめていた。
それに、俺は。
「結婚しよう!」
プロポーズした。
『グルルルルル……ふぁ!?』
カ~ッとドラゴンの顔が赤く染まった。
なんという人間味あふれる反応。
ていうか今喋らなかった?
それまでの荘厳な雰囲気が一瞬で霧散し、後ずさるドラゴンに俺は自分から詰め寄りにかかる。
幸いにして言葉は通じるらしい。
ならここは一気にたたみ掛ける!
すぅっと息を吸い込み、目をカッ見開き、言葉に万感の思いを込める。
「俺の義妹になってくれ!」
『ちょっと何を言っているのか分からない』
「お兄ちゃんと呼んでくれ」
『困った。言葉が通じない』
なぜだろう、完全に軽蔑されていた。
さっきまでの照れた様子は完全に消え去っており、どことなく据わった表情をしている。
このドラゴン、表情豊かすぎだろ。
正直、ドストライクなんだが!
ぶっちゃけ何で会話できるのかとかどうでもいい。
『あなた誰。ここ私の島。出てって』
「良くぞ訊いてくれた義妹よ。俺は名瀬悠也17歳、孤高の引きこもりにして誇り高きケモナーだ!」
『ヒキコモリ……ケモナー……? あと義妹じゃない。出てって』
「断る!お前がお兄ちゃんと呼んでくれるまで俺はお前から離れない」
『「お兄ちゃん」。言った。出てって』
「なにを言っている?兄が妹から離れるわけがないだろう」
『……食べるよ』
「本望だ!」
即答で言い切ったやった。
我々の業界ではご褒美です!
「お前が俺好みのドラゴンである限り、俺はお前から離れるつむりは無い」
『……この姿じゃなければいいの?』
そう、言うが早いか。
ドラゴンの体が光に包まれた。
そして、
「なん、だと……っ!?」
思わず息をのんだ。
一瞬にして、さっきまであったドラゴンの巨体が消滅したのだ。
だが、問題はそこじゃない。
そこじゃないんだ。
なぜなら、
俺の目の前にはすっぽんぽんの幼女が立っていた。
年は13、4歳くらいだろうか。
腰まで伸びたパール・ブルーの髪の毛。
気だるげなたれ目。
僅かに膨らんだおっぱ――じゃない!
「隠せ!とありあえず前、前隠してくれ!」
「っ~~、のぞき。変態」
「人聞きの悪い事を言うな。と、とりあえずこれ着とけ」
顔を真っ赤にしてバッと両腕で、女の子の部分を隠す少女。
ひとまずジャージを脱いで少女にかぶせると、光の速さで身に纏った。
ギリギリで上も下も隠せてるけどきわど過ぎだろ!
ちょっとでも動いたら、その、見えそうなんだが!
人間形態になれるんだったら、考慮しといてくれませんかね!?
事案になっちゃうだろ!
一方の俺はというと『I CAN FLY』という謎のプリントがされたTシャツだけになってしまい、そこそこ寒い。
吐き出す息がうっすら白いんだが、気温何度だよ。
「とりあえず洞窟かどこか、寒さをしのげる所に案内してほしいんだけど。このままじゃ話し合いもままならないし」
そう言った俺の顔をチラッと見て、着ているジャージを一瞥する。
そして、若干の葛藤の末、
「仕方ない」
そのまま歩き出し始めた。
ついて来いってこと、だよな。たぶん。
そう判断しよう。
少し遅れて、慌てて彼女の後を追いかける。
「……シヴァティア」
しかし、俺のジャージが全裸の幼女に着られている、この凄まじい背徳感を一体どうしたら――。
目の前で風に遊ばれる髪を眺めながら、顎に手をあててぐぬぬぬと考える。
――って、あれ。今何かとてつもない重要そうなワードが……。
「それ、もしかしてお前の」
「お前じゃない。シヴァティア」
「シヴァ、ティア」
「――ん」
彼女は、いやシヴァティアはそう言って名乗ったのだった。
ちなみに、耳がほんのり赤くなってる事は後ろから丸見えだったりする。
ふっ、お兄ちゃんの目はごまかせ――、いや。
ここで茶化すのは違うか。
ポンとシヴァティアの頭に手をのせる。
「よろしくな、シヴァティア」
「触らないで」
ペシッと手で叩き落とされた。
義妹が辛辣しぎてつらい。
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