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リアル直視の魔眼じゃねえか!
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『ようやく気づいたか。存外鈍いものだな』
そう言って、タナトスはくつくつと笑っていた。
『正真正銘、我の眼だ。ユウヤ、貴様にやろう』
「いや、全力でいらないんだけど」
なにこれ、怖い。
水面に映る自分の顔がもはやホラーなんだが。
この右目、充血ってレベルじゃねえぞ。
真っ赤な右目に切れ込みをいれたみたいに縦に裂かれた瞳孔。
テレビや本なんかで見る蛇の眼に限りなく近い。
自分で言うのもなんだが、かなり凶悪な面構えになってる。
これ、地球に帰ったらどう説明すりゃいいんだよ。
『まあそう言うな。かなり便利だぞ、竜の眼は。そして、その中でも我の眼は『魔眼』と呼ばれる程の特注品だ』
「魔眼、だと……!」
キタこれ!
異世界転移のお約束。
チート無双の特殊能力。
これこれ、これだよ!
なんか思ってたのと勝手、というかパターンが違うけど。
あと見てくれがかなり悪いけど!
むしろ魔王みたいな感じになってるけど!
……あれ、そういえば俺、地球に帰るんだよね?
じゃあもうチートスキルとかいらなくね?
むしろこの目玉、日常生活で邪魔じゃね?
『かつては『終焉の死神』と恐れられ、一つの世界さえ滅ぼした我が魔眼だぞ。いくら巨万の富を詰んだところで、手に入らない代物だ。魔術師など、喉から手が出るくらい欲しい目玉であろう。心して受け取るが良い』
あれ、なんか思ってたのと違う。
え、なんて?世界を滅ぼした魔眼?
俺の左目が?
ブワァっと背中から変な汗が噴き出した。
「ちなみにその能力は」
良くぞ訊いてくれたとばかりに、ギシィと牙をきしませる。
あーききたくねえ。
『その瞳に捕らえたものの、全ての命を絶つ』
ワッツ?
シヴァティア風に言うなら、ちょっと何を言っているか、わからない。
『故に我はこの場所で眠りについた。我がいるだけで、存在しているだけで、この視界に入った無数の生が即座に絶命するのだからな。そのような事象は、もはや天災をはるかに越えておるわ』
「なんで、この場所なんだ」
『ここは死に限りなく近いと言ったな。生きながらにして死せる唯一の場所ということだ。それゆえに、我が魔眼はこの場所においてのみ、その力を封じることができる』
リアル直視の魔眼じゃねえか!
しかし、見ただけで、とか。式さんでも、志貴さんでも無理だからな?
それ、もう強いとか、弱いとかの世界じゃないだろ。
言うなれば神の領域の力じゃないのか。
「どうして俺に、そんなもの」
確かに、そりゃ神様からの特典は期待してたさ。
でも、これは、さすがに俺には荷が重い。
世界を滅ぼした死の魔眼?
ふざけろ。
引きこもりになんてモノを押し付けてんだ、この駄竜。
『単なる気まぐれだ。その魔眼がいらぬというのなら、いつでも抉り取るがよい。その勇気があるのならばな』
抉り取る?
あの痛みをもう一度俺に味わえと……?
勘弁してくれ、冗談がきついぞ。
きっとタナトスは俺がそうしないと確信して言っている。
完全に手のひらの上ってことだ。
あー、ちくしょう、苛立たしいことこの上ない!
「ユウヤ、顔、ヒクヒクしてる。死ぬ?」
「死なないよ!?ことあるごとに俺を亡き者にしようとするのはやめるんだ。お兄ちゃんショックだから」
「何を言っているか、分からない」
「そう言うだろうと思ったよ」
したり顔で言われても。
そんなにその台詞言いたかったのかよ。
ハァ、と小さくため息。
おい、そこの黒いの。なんでお前はそんなに楽しそうなんだよ。
人に変な目玉押し付けあがって。
「もういいよ。わかったから、さっさと地球に帰してくれ。コーラとポテチが心の底から恋しいんだよ。さっさと日本に戻って、自堕落にすごしたいんだよ」
右目は――、ひとまず眼帯でもして隠しとこう。
うん。
問題の先送りは引きニートの必須技能だ。
『せっかちなものだ。いま少し、この老人の話し相手になってくれても良いではないか』
「おじいちゃん、そんなに禍々しく、ない」
『……、ユウヤ。我、貴様の気持ちが少しわかったやも知れぬ。シヴァティアよ、もう一度、その、おじいちゃんと呼んでは』
「死ね」
『ユウヤ、我の孫が辛らつなのだが』
「愛しの兄にも辛らつだから問題ない。ってかサラッと俺の家族に入ろうとするのやめてもらえます?」
シヴァティアのじいちゃん=俺のじじい。
どこの世界に孫の目玉くりぬいて自分の目玉ぶち込む猟奇的なグランドファザーがいるんだよ。
「もういいから、さっさと帰せ」
げんなりと言った俺に、仕方あるまい、とようやくその気になってくれたようである。
『扉を創ろう。しばし待て』
そう言って、
『我は死神の瞳をもつ死の化身なり。我が声は天を降とし、我が爪は地を陵辱す。流れ出る、魂の寄るかの場所より、我、タナトスが門を開く。『ワールドゲート』』
物騒な文言だな、おい。
タナトスの詠唱が終わるのと同時。
まるで沼から引きずり出されるみたいに、ズブズブと嫌な音をたてながら、骸骨の装飾がされた両開きの扉が地面からはえてきた。
「…………なんて悪趣味な装飾なんだ」
「これ、骨」
「装飾だ」
やめるんだ、今必死に目を反らした現実をつきつけるんじゃない。
これは装飾だ。オーケー?
決して人骨なんかじゃない。
トゥーユーアンダスタン?
「……これ、扉の向こうがあの世に繋がってるとかないだろうな。もしくは開けた瞬間、謎の触手が絡み付いてくるとか」
『貴様、実は我のこと少しも信用しておらぬだろ。気がついたら言葉使いもかなり適当になっておるし』
知らない間に自分の目玉移植してくるようなヤツをどうやって信じろって言うんですかね!?
『もうよいから、さっさと行くがよい。我ほどの年になると、たかだか世界をつなぐのすらそれなりの負担なのだ』
「世界をつなぐの、そんなに、簡単?」
「普通は無理だ。ドラゴンはどうか知らんけどな」
この黒いの、実は自分の自慢話したいだけのただのジジイなんじゃないかと、俺は密かに疑っている。
そう考えると、この魔眼もどこまで本当の話だかわかったもんじゃない。
「さて、んじゃ帰りますか」
「え、と、ユウヤ」
俺が勢いよく扉に手をかけようとしたところで、シヴァティアが唐突に待ったをかけた。
妹よ。
なぜに俯く。
なぜにもじもじしている。
何かを言おうと口を開きかけては、また閉じるという動作を繰り返している。
「もしかして俺の妹にもなにかやらかしたんじゃないだろうな」
『何でもかんでも我のせいするのはやめよ。その娘にやらかしたのは、他ならぬ貴様であろう。戸惑っておるのだ。貴様が忘れている言葉を信じてよいか、否かを』
俺、だと?
バカな!
この俺が?
引きこもり童貞ニートケモナー、新たにロリコンを発症しかけていて、実は密かに思っている、この妹のロリドラゴンを戸惑わせるような事を言ったとでも言うのか?
ハッ、バカも休み休み言ってもらおうか!
「どうせ、このジジイに何かされたんだろ?お兄ちゃんと一緒にさっさとこんなカビ臭い世界から出てまったり暮らそうぜ。俺のいた所な、日本てとこなんだけど、それはそれは素晴らしくてな。お前も絶対気に入ると思うんだよ!ああでも、学校にだけは絶対行かない、から……」
なんか後ろのほうで、我に向かってじじい呼ばわりとは、千年前なら世界が滅びてうんぬん言っていたが、そんなことはどうでもよかった。
「え、と、ごめん。なんか一人で舞い上がってて。そう、だよな。俺、勝手なこと言ってるよな」
「……なん、で……」
「いや、まさか泣くほど嫌がられるとは思ってなくてさ……。ほんと、ごめん」
「違う、嫌じゃない、わたし、嫌じゃないよ!ユウヤ!」
「えっと、ど、どういうことでしょうか、シヴァティアさん?俺、まったくわかんないんですが。なんで俺、抱きつかれてんの?」
いきなりガバッと抱きつかれた。
なになにどういうこと!?
女心と秋の空なの!?
あぁいい匂い。
それに僅かにある膨らみが、柔らかさが……ッ!
お、お落ち着け!
素数を数えろ!
とりあえず抱き返したほうがいいんだろうか?
いやむしろ、抱き返していいんだよな?
よし!
『いいかげん疲れたから、さっさと行くがよい。口から甘いものが出そうでかなわん』
ゴォッ!っという突風が、抱擁の覚悟を決めた俺と、がっしりと抱きついているシヴァティをまとめて吹き飛ばす。
ギィィィと悲鳴のような軋みをあげて開いた扉が、俺達を吸い込む。
その寸前。
『勘違いしておるようだが、貴様が元いた世界に帰すなど我は一言も言っておらぬ。そもそも、その地球とやらがどこにある世界なのかも知らぬしな』
は?
おい待て、じゃあこの扉の向こうの世界はどこ――、
扉を抜けたその先は、
真っ青な青空でした。
眼下にはまばらに浮かぶ雲がちらほら。
ギィィィと閉まる扉。
まてまて嘘だろ!?
こんなお約束はいらないんだよ!
「ユウヤとなら、どこでも、大丈夫!」
俺の胸にほお擦りしながらそんな事をいうロリっ子。
キミはなぜ一人幸せそうなのかね!?
とりあえず、空中分解しないようにシヴァティアをしっかりと抱きしめると、もうほとんど閉じている扉を見上げて叫んだ。
「覚えてろよクソじじいいいいぃぃぃぃぃぃ!!!!」
いつか絶対ぶっころす。
最後に、腹が立つほど愉快そうな笑い声が聞こえ、どこでもドアよろしくその趣味の悪い扉は消滅したのだった。
そう言って、タナトスはくつくつと笑っていた。
『正真正銘、我の眼だ。ユウヤ、貴様にやろう』
「いや、全力でいらないんだけど」
なにこれ、怖い。
水面に映る自分の顔がもはやホラーなんだが。
この右目、充血ってレベルじゃねえぞ。
真っ赤な右目に切れ込みをいれたみたいに縦に裂かれた瞳孔。
テレビや本なんかで見る蛇の眼に限りなく近い。
自分で言うのもなんだが、かなり凶悪な面構えになってる。
これ、地球に帰ったらどう説明すりゃいいんだよ。
『まあそう言うな。かなり便利だぞ、竜の眼は。そして、その中でも我の眼は『魔眼』と呼ばれる程の特注品だ』
「魔眼、だと……!」
キタこれ!
異世界転移のお約束。
チート無双の特殊能力。
これこれ、これだよ!
なんか思ってたのと勝手、というかパターンが違うけど。
あと見てくれがかなり悪いけど!
むしろ魔王みたいな感じになってるけど!
……あれ、そういえば俺、地球に帰るんだよね?
じゃあもうチートスキルとかいらなくね?
むしろこの目玉、日常生活で邪魔じゃね?
『かつては『終焉の死神』と恐れられ、一つの世界さえ滅ぼした我が魔眼だぞ。いくら巨万の富を詰んだところで、手に入らない代物だ。魔術師など、喉から手が出るくらい欲しい目玉であろう。心して受け取るが良い』
あれ、なんか思ってたのと違う。
え、なんて?世界を滅ぼした魔眼?
俺の左目が?
ブワァっと背中から変な汗が噴き出した。
「ちなみにその能力は」
良くぞ訊いてくれたとばかりに、ギシィと牙をきしませる。
あーききたくねえ。
『その瞳に捕らえたものの、全ての命を絶つ』
ワッツ?
シヴァティア風に言うなら、ちょっと何を言っているか、わからない。
『故に我はこの場所で眠りについた。我がいるだけで、存在しているだけで、この視界に入った無数の生が即座に絶命するのだからな。そのような事象は、もはや天災をはるかに越えておるわ』
「なんで、この場所なんだ」
『ここは死に限りなく近いと言ったな。生きながらにして死せる唯一の場所ということだ。それゆえに、我が魔眼はこの場所においてのみ、その力を封じることができる』
リアル直視の魔眼じゃねえか!
しかし、見ただけで、とか。式さんでも、志貴さんでも無理だからな?
それ、もう強いとか、弱いとかの世界じゃないだろ。
言うなれば神の領域の力じゃないのか。
「どうして俺に、そんなもの」
確かに、そりゃ神様からの特典は期待してたさ。
でも、これは、さすがに俺には荷が重い。
世界を滅ぼした死の魔眼?
ふざけろ。
引きこもりになんてモノを押し付けてんだ、この駄竜。
『単なる気まぐれだ。その魔眼がいらぬというのなら、いつでも抉り取るがよい。その勇気があるのならばな』
抉り取る?
あの痛みをもう一度俺に味わえと……?
勘弁してくれ、冗談がきついぞ。
きっとタナトスは俺がそうしないと確信して言っている。
完全に手のひらの上ってことだ。
あー、ちくしょう、苛立たしいことこの上ない!
「ユウヤ、顔、ヒクヒクしてる。死ぬ?」
「死なないよ!?ことあるごとに俺を亡き者にしようとするのはやめるんだ。お兄ちゃんショックだから」
「何を言っているか、分からない」
「そう言うだろうと思ったよ」
したり顔で言われても。
そんなにその台詞言いたかったのかよ。
ハァ、と小さくため息。
おい、そこの黒いの。なんでお前はそんなに楽しそうなんだよ。
人に変な目玉押し付けあがって。
「もういいよ。わかったから、さっさと地球に帰してくれ。コーラとポテチが心の底から恋しいんだよ。さっさと日本に戻って、自堕落にすごしたいんだよ」
右目は――、ひとまず眼帯でもして隠しとこう。
うん。
問題の先送りは引きニートの必須技能だ。
『せっかちなものだ。いま少し、この老人の話し相手になってくれても良いではないか』
「おじいちゃん、そんなに禍々しく、ない」
『……、ユウヤ。我、貴様の気持ちが少しわかったやも知れぬ。シヴァティアよ、もう一度、その、おじいちゃんと呼んでは』
「死ね」
『ユウヤ、我の孫が辛らつなのだが』
「愛しの兄にも辛らつだから問題ない。ってかサラッと俺の家族に入ろうとするのやめてもらえます?」
シヴァティアのじいちゃん=俺のじじい。
どこの世界に孫の目玉くりぬいて自分の目玉ぶち込む猟奇的なグランドファザーがいるんだよ。
「もういいから、さっさと帰せ」
げんなりと言った俺に、仕方あるまい、とようやくその気になってくれたようである。
『扉を創ろう。しばし待て』
そう言って、
『我は死神の瞳をもつ死の化身なり。我が声は天を降とし、我が爪は地を陵辱す。流れ出る、魂の寄るかの場所より、我、タナトスが門を開く。『ワールドゲート』』
物騒な文言だな、おい。
タナトスの詠唱が終わるのと同時。
まるで沼から引きずり出されるみたいに、ズブズブと嫌な音をたてながら、骸骨の装飾がされた両開きの扉が地面からはえてきた。
「…………なんて悪趣味な装飾なんだ」
「これ、骨」
「装飾だ」
やめるんだ、今必死に目を反らした現実をつきつけるんじゃない。
これは装飾だ。オーケー?
決して人骨なんかじゃない。
トゥーユーアンダスタン?
「……これ、扉の向こうがあの世に繋がってるとかないだろうな。もしくは開けた瞬間、謎の触手が絡み付いてくるとか」
『貴様、実は我のこと少しも信用しておらぬだろ。気がついたら言葉使いもかなり適当になっておるし』
知らない間に自分の目玉移植してくるようなヤツをどうやって信じろって言うんですかね!?
『もうよいから、さっさと行くがよい。我ほどの年になると、たかだか世界をつなぐのすらそれなりの負担なのだ』
「世界をつなぐの、そんなに、簡単?」
「普通は無理だ。ドラゴンはどうか知らんけどな」
この黒いの、実は自分の自慢話したいだけのただのジジイなんじゃないかと、俺は密かに疑っている。
そう考えると、この魔眼もどこまで本当の話だかわかったもんじゃない。
「さて、んじゃ帰りますか」
「え、と、ユウヤ」
俺が勢いよく扉に手をかけようとしたところで、シヴァティアが唐突に待ったをかけた。
妹よ。
なぜに俯く。
なぜにもじもじしている。
何かを言おうと口を開きかけては、また閉じるという動作を繰り返している。
「もしかして俺の妹にもなにかやらかしたんじゃないだろうな」
『何でもかんでも我のせいするのはやめよ。その娘にやらかしたのは、他ならぬ貴様であろう。戸惑っておるのだ。貴様が忘れている言葉を信じてよいか、否かを』
俺、だと?
バカな!
この俺が?
引きこもり童貞ニートケモナー、新たにロリコンを発症しかけていて、実は密かに思っている、この妹のロリドラゴンを戸惑わせるような事を言ったとでも言うのか?
ハッ、バカも休み休み言ってもらおうか!
「どうせ、このジジイに何かされたんだろ?お兄ちゃんと一緒にさっさとこんなカビ臭い世界から出てまったり暮らそうぜ。俺のいた所な、日本てとこなんだけど、それはそれは素晴らしくてな。お前も絶対気に入ると思うんだよ!ああでも、学校にだけは絶対行かない、から……」
なんか後ろのほうで、我に向かってじじい呼ばわりとは、千年前なら世界が滅びてうんぬん言っていたが、そんなことはどうでもよかった。
「え、と、ごめん。なんか一人で舞い上がってて。そう、だよな。俺、勝手なこと言ってるよな」
「……なん、で……」
「いや、まさか泣くほど嫌がられるとは思ってなくてさ……。ほんと、ごめん」
「違う、嫌じゃない、わたし、嫌じゃないよ!ユウヤ!」
「えっと、ど、どういうことでしょうか、シヴァティアさん?俺、まったくわかんないんですが。なんで俺、抱きつかれてんの?」
いきなりガバッと抱きつかれた。
なになにどういうこと!?
女心と秋の空なの!?
あぁいい匂い。
それに僅かにある膨らみが、柔らかさが……ッ!
お、お落ち着け!
素数を数えろ!
とりあえず抱き返したほうがいいんだろうか?
いやむしろ、抱き返していいんだよな?
よし!
『いいかげん疲れたから、さっさと行くがよい。口から甘いものが出そうでかなわん』
ゴォッ!っという突風が、抱擁の覚悟を決めた俺と、がっしりと抱きついているシヴァティをまとめて吹き飛ばす。
ギィィィと悲鳴のような軋みをあげて開いた扉が、俺達を吸い込む。
その寸前。
『勘違いしておるようだが、貴様が元いた世界に帰すなど我は一言も言っておらぬ。そもそも、その地球とやらがどこにある世界なのかも知らぬしな』
は?
おい待て、じゃあこの扉の向こうの世界はどこ――、
扉を抜けたその先は、
真っ青な青空でした。
眼下にはまばらに浮かぶ雲がちらほら。
ギィィィと閉まる扉。
まてまて嘘だろ!?
こんなお約束はいらないんだよ!
「ユウヤとなら、どこでも、大丈夫!」
俺の胸にほお擦りしながらそんな事をいうロリっ子。
キミはなぜ一人幸せそうなのかね!?
とりあえず、空中分解しないようにシヴァティアをしっかりと抱きしめると、もうほとんど閉じている扉を見上げて叫んだ。
「覚えてろよクソじじいいいいぃぃぃぃぃぃ!!!!」
いつか絶対ぶっころす。
最後に、腹が立つほど愉快そうな笑い声が聞こえ、どこでもドアよろしくその趣味の悪い扉は消滅したのだった。
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