モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】

いつき

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それにしてもサジナール様はどうしたのかしら?
父が居なくなったこの家は、ジョージ様が跡継ぎになり、仮婚約話も無くなって伯爵家と縁が薄くなる

マイセン様は年下なのは気にならないが、私の事を気に入らないようだった。なんなら、シャーロットが来てからずっと敵視するような視線を送られて居たから幾ら私が跡を継ぐからって婚約なんてそれこそ今更、だろう

貴族の中で男爵家とギリギリ貴族の当主だけれどそれでも当主になった今、私は私を隠さない事にした。

父が居なくなり未成年で後ろ盾もほぼ無いのは自分の好きに出来る、と思ったのか続々と婚姻の申し込みが後を絶たず1日執務室で領地運営の書類以外に手紙の返信量のなんておびただしい事か、大変な時は見て見ぬ振りをした癖に腹立つ。

男爵の次男三男、まだ10にもならない5男まで好き放題に見合い話を持って来られ断るだけで腱鞘炎になりそう。
パソコンください、今すぐに

溜め息混じりにお断りする中、一枚の手紙に手を止めた

「こ、この方は…」

綺麗な紫の桔梗紋、私に縁など無いと分かって居ても一度だけ、刺繍で作ったアクセサリーの販売を商売として相談の手紙を送らせて頂いた侯爵令嬢からの返信だったのだ

見本を作るにも毛糸が必要で。商売を起こすには軍資金がいるが、会社の創始者になるには赤字の我が家で起こすのがどれだけ掛かるか分からない。

そして、まず我が領で毛糸がとれないから良かったら共同経営しませんか?と言う私都合のお誘いに令嬢は面白そうだからと別便で毛糸を送って下さるらしい

あちらの領地から取り寄せで、少し遅くなるのを詫びる気遣う優しい文章に手が震えた

「あぁ、なんて事…」

感謝と感動で目頭も熱くなる。

書類の整理自体は苦で無いが、やはり1人孤独を感じていた私にはこの領地を護る為の赤字脱却が酷く重荷になっていたようだ

これが、成功するかは分からないけれど、先ず一歩前進したと思った。

また前世でハンドメイド作家として頑張ってたあの頃の私のワクワク感もある

「まぁ、こちらは…ジョアンナ様だわ」

大切に手紙を仕舞い、ペラペラ捲る手紙の中に見慣れた伯爵家の華紋を見付け、丁寧に開くと予想外の内容に目が点になる

なんと、長男サジナール様をこちらで働かせて欲しいとの事。下っ端からで構わないらしい、しかも何故か平民扱い?本当に何をされたのか…跡継ぎ教育済みだから領地運営で困ったら相談にも乗ってくれるのだとしたら、とても助かる。

いや、あのジョージ様やマイセン様の兄だから期待するのは悪手かしら

恩有る伯爵夫人の頼みと有れば聞かない訳にもいかないから私は早速、受諾の手紙を認め送ったのだった
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