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灯理の実家に一晩泊からまた二人のマンションに帰って来たその日に、嵐はなぜだか灯理に長い黒髪を思いっきり掻き乱されてあちこちに跳ねたり浮かび上がらせたりさせられていた。
ソファに二人並んで一息吐けたと思ったら灯理が何にも言わずにこんな奇行を初めて、ストレスだったんだなぁ、だなんて嵐は呑気に考える。
灯理の父親は夕食の場でも、料理が上手くても男としてやるべきことやっていないなら何の意味もない、ヒモにでもなるつもりか、とか。
それに嵐が、あたしが稼ぐって手があるんですね、と感動して未来設計を真面目に考え出して、翻訳とか稼げそうと思い付きで言ったら、灯理の父親からそんな狭い門を潜るなんてリスクが高すぎると叱られ。
英語が堪能であれば外資系の会社に有利であり、金融や貿易、また最近では工業や建築の大手でも海外に手を伸ばしていると教えてもらった。
「あかりさん、あたし、がんばって稼ぐね!」
ストレスで弱っている灯理を思うと、嵐は自然と奮起して両手の拳を胸の前で握り締める。
「……いや、いいんだけどよ。別に嵐は嵐の好きな仕事を選べばよくね?」
灯理は嵐の見せるやる気に脱力させられる。
灯理自体が、父親と喧嘩して勘当に近い扱いをされて会う度に貶されながらも、自分のやりたいことをやって生きていこうとしている身だ。そんな自分を食べさせるために嵐の将来が決定させられそうなのには、口を挟まない訳にはいかなった。
「めぇ? あたしのやりたいこと?」
「なんかないのか?」
灯理は自分でぐちゃぐちゃにした嵐の髪を手櫛で梳く。
灯理の指に引かれるのに委ねて嵐は頭を揺らめかせた。
「頭動かすな。髪が整わない」
「めぅ」
灯理に叱られて嵐は首を据わらせる。
灯理の指が頭皮に触れて揉み解されるのに、嵐は自分の知能も解されて想いが沁み出してくるような気がした。
「そーねー。あたしは……灯理さんのランタンがもっといろんな人に売れたらいいなって思うかな!」
「それ、お前の将来関係なくね?」
灯理は仕方ない奴だと微笑みながら、嵐の頭をマッサージするついでにまた髪を踊らせる。
「そーかなー」
どうなんだろう、と嵐は思い描く。
将来、未来、嵐は、灯理とどうなっているんだろうか。結婚をするのか、しないで一緒に暮らしているのか、それとも離れ離れになるのか。
離れ離れは嫌だな、と真っ先にその選択肢は頭の中から塗り潰して消した。
「んーーーー、灯理さん、おっぱい揉む?」
「お前は一体全体、どんな思考の果てにその発言をした」
脈絡もなく襟元を指で広げて谷間を見せつける嵐に、灯理は呆れて手を止めた。
嵐はきょとんとする。
「そういう気分じゃない?」
嵐の手のひらが灯理の頬に重なる。そのまま体を伸ばして、嵐は灯理の唇を啄んだ。
灯理が、むずがるように口の中で声を食む。
「ベッドに行くぞ」
「えー。ここでよくない?」
「よくない。ソファに染みがついたら、どうする」
「やんっ。お尻叩かないでっ」
灯理が嵐のお尻を叩いてソファから立ち上がらせ、リビングから追い立てる。気分は放牧した羊を世話する羊飼いだ。
もっとも情欲を燻らせている灯理は、牧童と違ってちっとも純心ではないけども。
灯理の部屋に入ると嵐は灯理の腕に絡みついて、体重を使いながらくるりと回って灯理をベッドに放り投げた。
不意を突かれたのもあって、灯理は呆気なくベッドに沈む。
「ふふふ、今日はストレスフルなあかりさんのために、あたしがいろいろしてあげるね?」
舌舐めずりして灯理に迫る嵐はすっかりケダモノになっていた。
灯理はごくりと生唾を飲んで体を退くけど、手をついたシーツが滑って体勢を崩す。
「はーい。まずは脱ぎ脱ぎしよっか。灯理さん、いつも服着たままなの、不公平だと思ってたんだよね」
いつも全裸に剥かれて可愛がられる嵐は、今日は攻守逆転だと教え込むように灯理のシャツに手を掛ける。
強く鋭い視線に委縮して灯理はなされるがままに服を脱がされいく。
嵐が手に体重を掛けて灯理の胸の肌を押してから、顔をズボンのベルトに寄せた。
嵐の二つの手が、カチャカチャと無駄に音を立てながらベルトを外し、抜き取る。
綿のズボンはボタンを外されて、内側からの圧力で勝手に緩んだ。
「ら、ん……」
「ん? こわい? キスしてあげるね」
嵐が背筋を伸ばして、泳ぐ魚のように灯理の眼前に迫り、ぷくりと桃色に艶めく唇を押し付けてくる。
唇を強く押し当てられて、微かに開いた隙間から、嵐の舌が灯理の口内へとぬるりと入ってきて、歯茎を擦る。
その間も手は腰を撫でてきて、灯理は逃げようと身動ぎする。
嵐は唇を離すと、灯理が腰を揺すっているのに目を細めて、にんまりと口角を上げた。
「灯理さん」
嵐が沈むように灯理に体を重ねて、耳の側に唇を寄せる。
「抵抗しないで。お・ね・が・い」
ゆっくりと注がれた細息の熱湯に、灯理は条件反射で動きを止めた。
どこまでも約束を守ってくれる律儀な彼に嵐は暗い悦びを胸に焚いて、ぞくぞくと肌を粟立たせる。
嵐が表情を緩ませてトランクスに指を掛けると、灯理は言われてもないのに腰を上げて下着が通る隙間を開けた。
するりと、嵐がズボンことトランクスを攫い、灯理が生まれたままの姿に剥かれる。
「んー、ふふ、めへへ。いいね、自分は服着てるのに、あかりさんは無防備で、こう、ふふ、なんかいい」
嵐がなんかヤバいものを覚えてしまったのに戦々恐々としながら、灯理はそれでも嵐の好きにさせてあげたいと思ってしまった。
彼女が楽しむのなら、いくらでもいたぶられていいかと、思考をゆるゆると放棄していく。
嵐の手が、灯理の股間を這った。
直接触れて、指で包み、一本ずつそれぞれに動かして、灯理を扱く。
「やわらかい。ちょっと自信なくしちゃうかも」
嵐が悲しそうに目を伏せて、腰の位置から灯理の顔を見上げてくる。
「愛されてないかもって、不安になっちゃうかも」
灯理は喉を詰まらせながら、弱々しく首を横に振る。
目論み通り、灯理が泣きそうな顔になるのに、嵐は胸を嗜虐心で満たして熱を持った空気を口から逃がした。
「あ、そうそう。硬くなって、張り詰めてきた。ぬるぬる、出てきたね」
嵐はあやすように灯理の先端を親指で捏ねて、残りの指で根元から先へと扱いて欲情を促す。
しばらく楽しそうに灯理を弄っていた嵐は、何かに気付いて灯理を何度も握って揉み、形を指し探る。その間も灯理が不安がらないように、熱を込めて見詰めながら。時折、首を伸ばして灯理の唇を舐めて、唾液を飲ませながら。
嵐は不意に手を止めて、灯理の腰にお尻を乗せて上半身を起こした。
灯理の手を取り、胸の重みを支えるように下から持ち上げさせる。
灯理の手は当たり前のように嵐の乳房に指を沈めて、手のひらでブラジャーの手触りを確かめる。
「よい、しょ、と」
嵐が背中に手を回したら、灯理の手に乗る重みが増した。
「あげる」
嵐は服の中で外したブラジャーを抜いて、灯理の顔に向けて放った。
灯理は視界のいくらかを若草色のレースに埋められて困惑を顔に見せる。
「めぁー、めぇぇん、灯理さんってさ」
嵐の手がまた灯理の股間に戻って、伸ばした指を添わせた。
「ちっちゃいよね?」
「ごめん」
嵐が事実を上から降らせたら、灯理は即座に謝罪を口にした。何人かとの経験の上で灯理も自覚はあった。
「いや、べつにあやまってほしいわけじゃなくて」
そうは言いながら、嵐は不満そうに灯理を弾く。
張り詰めたそれは、指で弾かれる度に元の位置に戻り、嵐の指に触れる。
おもちゃみたいに弄ばれて、灯理は情けなく顔をきゅっとすぼめた。
それが切なそうで哀しそうで、それで可哀想で、嵐は胸の真ん中がぞくぞくと焦げた。
嵐の顔が魔女のように楽しいと告げて来る。
その表情が灯理の顔に寄せて通り過ぎ、無防備な耳を舐めた。
「ちっちゃ。情けないね。これで精一杯なの?」
「ご、ごめん」
「ごめんじゃなくて、これが限界なのって質問してるの? ちゃんと答えて?」
嵐はちゃんと答えなかった罰として、灯理の耳たぶに歯を立てた。
ちくりとした痛みに、灯理が嵐の指に跳ねてぶつける。
「あれ? 灯理さん、痛いの好き? 好きなら、もっとしてあげるよ?」
嵐は灯理の返事も聞かずに、乱暴に握り締めた。
ぎちぎちと灯理は張り詰めて、でも膨らんだりも伸びたりもしない。ただ溢れそうになるばかりだ。
歯を食いしばって目もぎゅっと瞑る灯理を、嵐は空いてる方の手で頭を撫でながら愛ぜる。
「ねぇ、ちゃんと答えてほしいな? 無視しない……めっ!?」
嵐が灯理を責め立てていたら、手のひらと太ももに火傷しそうな熱とどろりとしたぬめりが飛んで来て、悲鳴を上げてしまった。
驚きで丸くなった嵐の愛鏡に、灯理の涙が映る。
「はやくない?」
「ごめん、ゆるして、すまない……」
「ん、謝ることないんだけど」
嵐は手のひらに付いた匂いを嗅いでから、大きく開いて彼自身の粗相を灯理に見せ付ける。
じっくりと灯理の目に映るように手のひらを揺らしてから、嵐は灯理の頬をその手で包む。
「こういうの、好きなんですか?」
それだけは訊いておかねばならないと、嵐は灯理の顔を自分に向けさせた。
情けなく怯えて震える彼の目だけが、情けない期待を嵐に伝えてくる。
嵐は胸に込み上げる熱が堪えきれなくて灯理の顔に向けて息を吐きかけた。
「あたしも楽しいから、今度からかわりばんこですからね」
嵐は満足そうに灯理の頬に柔らかな頬を擦りつけた。
ソファに二人並んで一息吐けたと思ったら灯理が何にも言わずにこんな奇行を初めて、ストレスだったんだなぁ、だなんて嵐は呑気に考える。
灯理の父親は夕食の場でも、料理が上手くても男としてやるべきことやっていないなら何の意味もない、ヒモにでもなるつもりか、とか。
それに嵐が、あたしが稼ぐって手があるんですね、と感動して未来設計を真面目に考え出して、翻訳とか稼げそうと思い付きで言ったら、灯理の父親からそんな狭い門を潜るなんてリスクが高すぎると叱られ。
英語が堪能であれば外資系の会社に有利であり、金融や貿易、また最近では工業や建築の大手でも海外に手を伸ばしていると教えてもらった。
「あかりさん、あたし、がんばって稼ぐね!」
ストレスで弱っている灯理を思うと、嵐は自然と奮起して両手の拳を胸の前で握り締める。
「……いや、いいんだけどよ。別に嵐は嵐の好きな仕事を選べばよくね?」
灯理は嵐の見せるやる気に脱力させられる。
灯理自体が、父親と喧嘩して勘当に近い扱いをされて会う度に貶されながらも、自分のやりたいことをやって生きていこうとしている身だ。そんな自分を食べさせるために嵐の将来が決定させられそうなのには、口を挟まない訳にはいかなった。
「めぇ? あたしのやりたいこと?」
「なんかないのか?」
灯理は自分でぐちゃぐちゃにした嵐の髪を手櫛で梳く。
灯理の指に引かれるのに委ねて嵐は頭を揺らめかせた。
「頭動かすな。髪が整わない」
「めぅ」
灯理に叱られて嵐は首を据わらせる。
灯理の指が頭皮に触れて揉み解されるのに、嵐は自分の知能も解されて想いが沁み出してくるような気がした。
「そーねー。あたしは……灯理さんのランタンがもっといろんな人に売れたらいいなって思うかな!」
「それ、お前の将来関係なくね?」
灯理は仕方ない奴だと微笑みながら、嵐の頭をマッサージするついでにまた髪を踊らせる。
「そーかなー」
どうなんだろう、と嵐は思い描く。
将来、未来、嵐は、灯理とどうなっているんだろうか。結婚をするのか、しないで一緒に暮らしているのか、それとも離れ離れになるのか。
離れ離れは嫌だな、と真っ先にその選択肢は頭の中から塗り潰して消した。
「んーーーー、灯理さん、おっぱい揉む?」
「お前は一体全体、どんな思考の果てにその発言をした」
脈絡もなく襟元を指で広げて谷間を見せつける嵐に、灯理は呆れて手を止めた。
嵐はきょとんとする。
「そういう気分じゃない?」
嵐の手のひらが灯理の頬に重なる。そのまま体を伸ばして、嵐は灯理の唇を啄んだ。
灯理が、むずがるように口の中で声を食む。
「ベッドに行くぞ」
「えー。ここでよくない?」
「よくない。ソファに染みがついたら、どうする」
「やんっ。お尻叩かないでっ」
灯理が嵐のお尻を叩いてソファから立ち上がらせ、リビングから追い立てる。気分は放牧した羊を世話する羊飼いだ。
もっとも情欲を燻らせている灯理は、牧童と違ってちっとも純心ではないけども。
灯理の部屋に入ると嵐は灯理の腕に絡みついて、体重を使いながらくるりと回って灯理をベッドに放り投げた。
不意を突かれたのもあって、灯理は呆気なくベッドに沈む。
「ふふふ、今日はストレスフルなあかりさんのために、あたしがいろいろしてあげるね?」
舌舐めずりして灯理に迫る嵐はすっかりケダモノになっていた。
灯理はごくりと生唾を飲んで体を退くけど、手をついたシーツが滑って体勢を崩す。
「はーい。まずは脱ぎ脱ぎしよっか。灯理さん、いつも服着たままなの、不公平だと思ってたんだよね」
いつも全裸に剥かれて可愛がられる嵐は、今日は攻守逆転だと教え込むように灯理のシャツに手を掛ける。
強く鋭い視線に委縮して灯理はなされるがままに服を脱がされいく。
嵐が手に体重を掛けて灯理の胸の肌を押してから、顔をズボンのベルトに寄せた。
嵐の二つの手が、カチャカチャと無駄に音を立てながらベルトを外し、抜き取る。
綿のズボンはボタンを外されて、内側からの圧力で勝手に緩んだ。
「ら、ん……」
「ん? こわい? キスしてあげるね」
嵐が背筋を伸ばして、泳ぐ魚のように灯理の眼前に迫り、ぷくりと桃色に艶めく唇を押し付けてくる。
唇を強く押し当てられて、微かに開いた隙間から、嵐の舌が灯理の口内へとぬるりと入ってきて、歯茎を擦る。
その間も手は腰を撫でてきて、灯理は逃げようと身動ぎする。
嵐は唇を離すと、灯理が腰を揺すっているのに目を細めて、にんまりと口角を上げた。
「灯理さん」
嵐が沈むように灯理に体を重ねて、耳の側に唇を寄せる。
「抵抗しないで。お・ね・が・い」
ゆっくりと注がれた細息の熱湯に、灯理は条件反射で動きを止めた。
どこまでも約束を守ってくれる律儀な彼に嵐は暗い悦びを胸に焚いて、ぞくぞくと肌を粟立たせる。
嵐が表情を緩ませてトランクスに指を掛けると、灯理は言われてもないのに腰を上げて下着が通る隙間を開けた。
するりと、嵐がズボンことトランクスを攫い、灯理が生まれたままの姿に剥かれる。
「んー、ふふ、めへへ。いいね、自分は服着てるのに、あかりさんは無防備で、こう、ふふ、なんかいい」
嵐がなんかヤバいものを覚えてしまったのに戦々恐々としながら、灯理はそれでも嵐の好きにさせてあげたいと思ってしまった。
彼女が楽しむのなら、いくらでもいたぶられていいかと、思考をゆるゆると放棄していく。
嵐の手が、灯理の股間を這った。
直接触れて、指で包み、一本ずつそれぞれに動かして、灯理を扱く。
「やわらかい。ちょっと自信なくしちゃうかも」
嵐が悲しそうに目を伏せて、腰の位置から灯理の顔を見上げてくる。
「愛されてないかもって、不安になっちゃうかも」
灯理は喉を詰まらせながら、弱々しく首を横に振る。
目論み通り、灯理が泣きそうな顔になるのに、嵐は胸を嗜虐心で満たして熱を持った空気を口から逃がした。
「あ、そうそう。硬くなって、張り詰めてきた。ぬるぬる、出てきたね」
嵐はあやすように灯理の先端を親指で捏ねて、残りの指で根元から先へと扱いて欲情を促す。
しばらく楽しそうに灯理を弄っていた嵐は、何かに気付いて灯理を何度も握って揉み、形を指し探る。その間も灯理が不安がらないように、熱を込めて見詰めながら。時折、首を伸ばして灯理の唇を舐めて、唾液を飲ませながら。
嵐は不意に手を止めて、灯理の腰にお尻を乗せて上半身を起こした。
灯理の手を取り、胸の重みを支えるように下から持ち上げさせる。
灯理の手は当たり前のように嵐の乳房に指を沈めて、手のひらでブラジャーの手触りを確かめる。
「よい、しょ、と」
嵐が背中に手を回したら、灯理の手に乗る重みが増した。
「あげる」
嵐は服の中で外したブラジャーを抜いて、灯理の顔に向けて放った。
灯理は視界のいくらかを若草色のレースに埋められて困惑を顔に見せる。
「めぁー、めぇぇん、灯理さんってさ」
嵐の手がまた灯理の股間に戻って、伸ばした指を添わせた。
「ちっちゃいよね?」
「ごめん」
嵐が事実を上から降らせたら、灯理は即座に謝罪を口にした。何人かとの経験の上で灯理も自覚はあった。
「いや、べつにあやまってほしいわけじゃなくて」
そうは言いながら、嵐は不満そうに灯理を弾く。
張り詰めたそれは、指で弾かれる度に元の位置に戻り、嵐の指に触れる。
おもちゃみたいに弄ばれて、灯理は情けなく顔をきゅっとすぼめた。
それが切なそうで哀しそうで、それで可哀想で、嵐は胸の真ん中がぞくぞくと焦げた。
嵐の顔が魔女のように楽しいと告げて来る。
その表情が灯理の顔に寄せて通り過ぎ、無防備な耳を舐めた。
「ちっちゃ。情けないね。これで精一杯なの?」
「ご、ごめん」
「ごめんじゃなくて、これが限界なのって質問してるの? ちゃんと答えて?」
嵐はちゃんと答えなかった罰として、灯理の耳たぶに歯を立てた。
ちくりとした痛みに、灯理が嵐の指に跳ねてぶつける。
「あれ? 灯理さん、痛いの好き? 好きなら、もっとしてあげるよ?」
嵐は灯理の返事も聞かずに、乱暴に握り締めた。
ぎちぎちと灯理は張り詰めて、でも膨らんだりも伸びたりもしない。ただ溢れそうになるばかりだ。
歯を食いしばって目もぎゅっと瞑る灯理を、嵐は空いてる方の手で頭を撫でながら愛ぜる。
「ねぇ、ちゃんと答えてほしいな? 無視しない……めっ!?」
嵐が灯理を責め立てていたら、手のひらと太ももに火傷しそうな熱とどろりとしたぬめりが飛んで来て、悲鳴を上げてしまった。
驚きで丸くなった嵐の愛鏡に、灯理の涙が映る。
「はやくない?」
「ごめん、ゆるして、すまない……」
「ん、謝ることないんだけど」
嵐は手のひらに付いた匂いを嗅いでから、大きく開いて彼自身の粗相を灯理に見せ付ける。
じっくりと灯理の目に映るように手のひらを揺らしてから、嵐は灯理の頬をその手で包む。
「こういうの、好きなんですか?」
それだけは訊いておかねばならないと、嵐は灯理の顔を自分に向けさせた。
情けなく怯えて震える彼の目だけが、情けない期待を嵐に伝えてくる。
嵐は胸に込み上げる熱が堪えきれなくて灯理の顔に向けて息を吐きかけた。
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