占い探偵 ユーコちゃん!

サツキユキオ

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 続いて向かったのは隣のA組だ。こちらでも探していた人物はすぐに見つかった。
「あ、いた」
「どこです?」
「あの窓際に座ってる子がそうだよ。保志野レンほしのれんちゃん」
 レンはおさげの女の子だ。机に向かって何かを書いている。二人が近づけば、彼女は困惑と喜びのないまぜになった顔で歓迎してくれた。
「リョウちゃん、どうしたの?」
「ちょっとレンちゃんに聞きたいことがあって。今大丈夫?」
 すると彼女は手元とリョウを見比べて「ごめんね」と言った。
「今日日直だから、日誌出さなきゃいけなくて。あんまりお話できないの」
「大丈夫、すぐに済みますので!」
 ユーコがリョウの後ろからひょっこりと顔を出した。
「初めまして、占い探偵のユーコちゃんです!」
「えっと、初めまして。保志野レンです。……占い探偵って何?」
「占いをしながら探偵をして皆さんのお悩み解決をしていますよ!」
 レンの顔には疑問符がありありと浮かんでいた。「ちょっとこの子に相談してることがあって」とリョウが続けた。
「シャーペンを無くしたからそれを探してるの。それで、一応占ってもらったら話を聞きに行くのがいいって出たらしくて」
「えっと……占いで、私が、その、犯人って出たってこと?」
 今にも泣きだしそうな顔をしたレンに、「違うよ!」二人は慌てて首を横に振った。
「理科室で一緒だった人たちに話を聞いてるだけだよ!」
「そうです! レンちゃんだけじゃないです、さっきキコちゃんにも話を聞きました! もう一人にも聞く予定ですから!」
 するとレンは今にも消え入りそうな声で「それならよかった」と言い、鼻をすすってハンカチで目元を押さえた。「びっくりさせてごめんね」とリョウは背中をさすった。
「最後に使ったのが4時間目だったから、理科室に何かヒントがあるんじゃないかと思って」
「というわけで、理科室で何か気づいたことはないですか?」
「ううん、私は何も。ごめんね、力になれなくて」
 そう言うと、レンは日誌を手に立ち上がった。
「ごめんね、今日はもう帰るから、これ先生に出しに行かなきゃ」
 リョウは慌てて「こっちこそ、引き留めてごめんね」と謝った。
「そうだ、アキラちゃんがどこに行ったか分かる? もう部活に行っちゃったかな」
「アキラちゃんなら委員会の集まりに行ってるはずだよ。視聴覚室で話し合いがあるって言ってたから」
「分かった。教えてくれてありがとう」
 リョウがお礼を言えばレンは嬉しそうに笑い、しかしすぐに申し訳なさそうな顔で教室を出て行ってしまった。
「よっぽど急いでたみたい。悪いことしたなあ」
「A組はあともう一人ですね」
「そう、的場アキラまとばあきらちゃん。視聴覚室にちょっと行ってみようか」
 二人が向かっているとするとちょうど会議が終わったようで、人の波が彼らに向かって流れてくる。その中にアキラの姿を見つけ、リョウを手を上げて駆け寄った。リョウよりもさらに髪の短い、ショートカットの女の子だった。彼女もまたリョウの姿を見ると満面の笑みを浮かべて真っ直ぐこちらにやって来た。
「アキラちゃん、ちょっといい? 聞きたいことがあるんだけど」
「いいよー! どうしたの? ていうかこの子誰?」
「探偵のユーコちゃんです!」
「かわいいね。リョウの妹?」
「探偵です!」
 二人は今までと同じように彼女に経緯を説明した。何か変わったところはなかったか、と聞かれるとアキラは「覚えてないなあ」と頭をかいた。
「ペンといえば、リョウがレンのペンを拾ってあげたことくらい?」
「そんなことしたっけ?」
 リョウが首をかしげる。「聞いてないですよ!」とユーコは大げさに言ってリョウに詰め寄った。
「ほら、授業終わった後、レンにペン渡してたじゃん」
「ああ、あれね。机に置きっぱなしだったから渡してあげたの」
「レンちゃんってうっかり屋さんのせっかちさんなんですか?」
 今度はユーコが首をかしげた。するとアキラが笑って「まさか! のんびり屋の癒し系って感じ?」と彼女の頬をつついた。
「なんか急いでたもんね。授業の後も先に戻っちゃったし」
「日直だったからかな」
「そう言えば、理科室での席順はどうなってるんですか?」
 アキラは空に四角を描いた。
「上が教卓側だとして右側にあたしとキコ。左側にリョウとレンだった」
「班ごとにひとテーブルで、別に決まってるわけじゃないけどいつもこの並びだよね」
「机の位置は?」
 リョウが少し怪訝な顔を見せて「中庭の窓側の一番後ろだけど」と言った。
「そんなことまで聞くの?」
「すごい、探偵っぽいじゃん!」
 アキラがからかうように笑う。しかしユーコは「なるほど」と言って頷くだけだった。
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