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第3パケ 「シャブ屋のケンちゃん、クリーニング屋ケンちゃんになる」
【筋トレ中毒のシャブ屋】
しおりを挟む第3パケ【筋トレ中毒のシャブ屋】
《ここまでの粗筋…ある日来店したシャブ屋の権堂に気に入られ、権堂が買う大量の回数券売上を手にし舞い上がる小太郎だが…》
「シャブ屋のケンちゃん、クリーニング屋ケンちゃんになる」
臆病で未来に怯える俺は、シャブケン(権藤)がカウンターに置いた330万から回数券10冊分の33万を差し引いた297万円を手に、翌日ただちに家賃の支払い口座に振込みをおこない得意気に大家に電話をした。
「2年分264万円を振込みしましたから。いやいや、一括払い割引は要りませんよ!はっはっは~!」
(残り33万か…。自宅の家賃の16ヶ月分やな。これも振込みしとこ…)
ここ数年、毎月月末が近くなると下痢やら不眠やら胃痛に悩んでいた俺は、
床に大の字で寝転ぶと、久々の解放感に浸った。
(はぁ~。これで当分は安心や。アホケンさま様だなぁ)
それからも権堂は定期的に訪れていたが、1冊目の回数券が終わる頃、不意にこう切り出した。
「いやぁ、やっぱワシは小太郎はんの揉みが身体に合いますわ。これからも頼んまっせ。ところで回数券はまだ足りとりまっか?あと何冊やろ?」
正直に99冊と言おうか、誤魔化して9冊と言おうか一瞬戸惑いがあったが、悟られまいとして、落ち着いた様子に努めた。
「えっと…、今日で1冊が終わりましたんで、残りは、きゅっ(9)、きゅっ…きゅっ…」
「9冊でんな? いや、ほなええですわ。足らんと迷惑かけますよってな」
(バレてへんやん…。よかった~)
「ところで小太郎はん。あんた副業でクリーニングしまへんか?ええ金になりまっせ」
まさか、シャブ屋のケンちゃんが、正業のクリーニングを勧める訳ではないこと位、さすがの俺でも容易にわかった。
(シャブ代未払い中毒者の抹殺クリーニングかなぁ? いやドラマみたいに取引相手の外国人を消すとか? それともチャカ(拳銃)のオーバーホールをゆうとるんかなあ)
「小太郎はん、あんた今、人を殺して消すんやろか?と思いましたやろ。そんなんは、毎週行きよる横浜で、ちょっと中華街の裏通りに行けば済むことですがな。アイツ等に3万も渡してみなはれ、見事な手さばきで、大ナタの様な中華包丁振り回してトントントンッ、その後は排水口のディスポーザーでバリバリバリ!ですわ。牛豚鳥と混ざって、さすがの検識もわかりまへんなぁ(笑)」
「うううっ…。気持ちわるっ」
「クリーニングゆうたら、あれですわ。洗浄洗浄」
「ああ!マネロンね!資金洗浄マネーロンダリングゆうやつですね!」
「しっ!小太郎はん。ちょっと声が大きいですわ。これからはクリーニングで頼んまっせ。小太郎はんにしか出来ん大切な仕事でっさかいな。頼りにしてまっせ。その換わり小太郎はんが何か困りごとの際には、組織をあげて守りまっさ。小太郎はんだからワシ、腹割って頭下げて頼んでまんのやで」
いつも干からびた俺の承認欲求を巧みにくすぐる権堂の話術は、心理カウンセラーのそれよりも俺の心に響き、懐柔されそうな予感を否定することが出来なかった。
その晩俺は、溢れる程の報酬系体内麻薬の力で、全身が痙攣するほど筋トレをやり続け、そのまま朝まで失神した。
第3パケ【筋トレ中毒のシャブ屋】おわり
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