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第7パケ 「クーラーボックスの中の惨殺束」
【筋トレ中毒のシャブ屋】
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第7パケ【筋トレ中毒のシャブ屋】
「クーラーボックスの中の惨殺束」
後頭部からうなじかけて、空から痛いほどの太陽光が降り注ぐ。アスファルトからの放射熱でパケの溶着が出来そうな真夏日、権堂は、何の連絡も無いまま不意に店を訪れた。
余りの暇な予約状況に気が抜けて昼寝をしていた俺は、施錠したドアをガチャガチャと開けようとする音で目が覚めた。
低血圧の俺は、寝起きは顔面蒼白、頭はぼんやりしてしばらく立つこともままならない。
何とか立ち上がり施錠を解いてドアを開けると、諦めて車に乗り込もうとする権堂のうしろ姿に向かって声をかけた。
「ケンちゃん、ごめんごめん。どうしたの急に?」
権堂は、振り向くや顔色も変えずに店内に入り込み、断りもなく店の冷蔵庫からよく冷えた飲料水を取り出すと、一気に飲み干しペットボトルをぺちゃんこに潰した。
「ふぅ~っ。居てはったか。よかったですわ。持って来ましてん」
よく見ると片手に灯油缶サイズの青いクーラーボックスを提(さ)げている。
「権堂はん!ちょ!ちょっと待って!あかん!場所間違えてんで!」
権堂は意味がわからず、ポカーンとした顔で突っ立っている。
「権堂はん、ここは横浜中華街ちゃいますがな!あかんって!」
権堂は、豆鉄砲を喰らった猿の様な顔をしたあと、大声で笑いだした。
「はぁ~?(笑)小太郎はん、何をゆうとりますんや? ああ!? これ、解体した死体や思うとりまんのやな? は~っはっはっは! 死体を運ぶ時はな、ワシは解体せずに丸ごとですわ。寝袋に保冷剤を山盛り詰めてジッパーしたら最高に便利な死体バッグですわ。何ならサンドバッグにもなりまっせ!(笑)」
「なんや…。違うの?なら釣った魚でもくれるん?」
権堂は真顔になり、店のカウンター前の下足場に片側の膝をついて座ると、黙ったまま下に置いたクーラーボックスの蓋を開けた。
恐る恐る中を覗くと、そこにはビールがぎっしりと入っており、権堂は徐(おもむろ)に、そのビールを1本ずつ取りだし、カウンターの上に置き、その下から出てきた、青色の透明ビニールに包まれた四角い塊を1つ取りだし、俺に見せた。
【‘おもむろ’は‘突然’の意味ではなく‘ゆっくり’なんですよ】
【‘ずつ’を‘づつ’と書く人が多いですね~】
俺は、それが覚醒剤の塊だと思い、一瞬たじろいだが、よく見ると一千万円程の札束の塊だった。
「小太郎はん。わかりまんな? せや、これで一千万ですわ。2個、3個、4個…」
次々に、カウンターの上に札束の塊を置いていく。
「これが、今月分の1億ですわ」
生まれてはじめて1億円の実物を目の当たりにした俺は、思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
【数ヵ月前まで‘目新しい’を‘まあたらしい’と読んでいました。‘真新しい’と同じ?と思い調べて50歳にて判明】
上下に大きく動いた俺の喉仏を見た権堂は、なめた口調で話しかけて来た。
「小太郎はん。こんな端金、これから毎月持参しますがな。すぐに慣れますわ」
そう言いながらも、外での物音に警戒しながら、権堂は再び札束とビールを、元有った様にクーラーボックスにしまいこんだ。
「これがつまりクリーニング材料ですがな。ところでここのお客はんで、株式投資やらに長けてはるんわ、どのくらい居てはりますんかいな?」
「そうやねぇ…。株式ゆうてもピンキリやし、数百万程度から何億もやってる人もおるしな。まあすべてで30~40人くらいやろか。やっていても、そんな話しはしない人も多いしね」
権堂が、何か頭の中で計算する様な目付きで応じる。
「さよか。日本人は保守的やさかいに株式投資に悪いイメージある阿呆も多いからの~。そしたらな、その中から、今月は5人選んで1億分配してくれるか。分配率は日頃の投資額の3分の1でよろしいわ。1億の人なら3~4千万でよろし」
いかにも日頃から何億、何十億もの金を扱いなれた軽いノリでそうゆうと、権堂はそそくさと帰っていった。
【‘そそくさ’は、‘こそこそ’ではないですよ~‘慌ただしい’ことですね】
「おっ!おい!分配ゆうて、どないせぇちゅうねん!こら!」
気づけば、すっかり下手な関西訛りが移った自分のセリフに、(なんか俺って吉本みたい(笑))とほくそ笑む俺だった…
【‘ほくそ笑む’の‘ほくそ’は、‘人間万事塞翁が馬’の‘塞翁’の意味と言われています。‘翁’は、もちろん松下幸之助等の著名な年配者につける翁と同じです。‘塞翁’の本名や由来は調べてね。ちなみに、ここで‘ほくそ笑む’を使うのは、「しめしめ」と笑う意味なので、本来は意味がおかしいです。誰も真剣に読んでなくて気付かないから、いいんじゃね?】
第7パケ【筋トレ中毒のシャブ屋】
おわり
「クーラーボックスの中の惨殺束」
後頭部からうなじかけて、空から痛いほどの太陽光が降り注ぐ。アスファルトからの放射熱でパケの溶着が出来そうな真夏日、権堂は、何の連絡も無いまま不意に店を訪れた。
余りの暇な予約状況に気が抜けて昼寝をしていた俺は、施錠したドアをガチャガチャと開けようとする音で目が覚めた。
低血圧の俺は、寝起きは顔面蒼白、頭はぼんやりしてしばらく立つこともままならない。
何とか立ち上がり施錠を解いてドアを開けると、諦めて車に乗り込もうとする権堂のうしろ姿に向かって声をかけた。
「ケンちゃん、ごめんごめん。どうしたの急に?」
権堂は、振り向くや顔色も変えずに店内に入り込み、断りもなく店の冷蔵庫からよく冷えた飲料水を取り出すと、一気に飲み干しペットボトルをぺちゃんこに潰した。
「ふぅ~っ。居てはったか。よかったですわ。持って来ましてん」
よく見ると片手に灯油缶サイズの青いクーラーボックスを提(さ)げている。
「権堂はん!ちょ!ちょっと待って!あかん!場所間違えてんで!」
権堂は意味がわからず、ポカーンとした顔で突っ立っている。
「権堂はん、ここは横浜中華街ちゃいますがな!あかんって!」
権堂は、豆鉄砲を喰らった猿の様な顔をしたあと、大声で笑いだした。
「はぁ~?(笑)小太郎はん、何をゆうとりますんや? ああ!? これ、解体した死体や思うとりまんのやな? は~っはっはっは! 死体を運ぶ時はな、ワシは解体せずに丸ごとですわ。寝袋に保冷剤を山盛り詰めてジッパーしたら最高に便利な死体バッグですわ。何ならサンドバッグにもなりまっせ!(笑)」
「なんや…。違うの?なら釣った魚でもくれるん?」
権堂は真顔になり、店のカウンター前の下足場に片側の膝をついて座ると、黙ったまま下に置いたクーラーボックスの蓋を開けた。
恐る恐る中を覗くと、そこにはビールがぎっしりと入っており、権堂は徐(おもむろ)に、そのビールを1本ずつ取りだし、カウンターの上に置き、その下から出てきた、青色の透明ビニールに包まれた四角い塊を1つ取りだし、俺に見せた。
【‘おもむろ’は‘突然’の意味ではなく‘ゆっくり’なんですよ】
【‘ずつ’を‘づつ’と書く人が多いですね~】
俺は、それが覚醒剤の塊だと思い、一瞬たじろいだが、よく見ると一千万円程の札束の塊だった。
「小太郎はん。わかりまんな? せや、これで一千万ですわ。2個、3個、4個…」
次々に、カウンターの上に札束の塊を置いていく。
「これが、今月分の1億ですわ」
生まれてはじめて1億円の実物を目の当たりにした俺は、思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
【数ヵ月前まで‘目新しい’を‘まあたらしい’と読んでいました。‘真新しい’と同じ?と思い調べて50歳にて判明】
上下に大きく動いた俺の喉仏を見た権堂は、なめた口調で話しかけて来た。
「小太郎はん。こんな端金、これから毎月持参しますがな。すぐに慣れますわ」
そう言いながらも、外での物音に警戒しながら、権堂は再び札束とビールを、元有った様にクーラーボックスにしまいこんだ。
「これがつまりクリーニング材料ですがな。ところでここのお客はんで、株式投資やらに長けてはるんわ、どのくらい居てはりますんかいな?」
「そうやねぇ…。株式ゆうてもピンキリやし、数百万程度から何億もやってる人もおるしな。まあすべてで30~40人くらいやろか。やっていても、そんな話しはしない人も多いしね」
権堂が、何か頭の中で計算する様な目付きで応じる。
「さよか。日本人は保守的やさかいに株式投資に悪いイメージある阿呆も多いからの~。そしたらな、その中から、今月は5人選んで1億分配してくれるか。分配率は日頃の投資額の3分の1でよろしいわ。1億の人なら3~4千万でよろし」
いかにも日頃から何億、何十億もの金を扱いなれた軽いノリでそうゆうと、権堂はそそくさと帰っていった。
【‘そそくさ’は、‘こそこそ’ではないですよ~‘慌ただしい’ことですね】
「おっ!おい!分配ゆうて、どないせぇちゅうねん!こら!」
気づけば、すっかり下手な関西訛りが移った自分のセリフに、(なんか俺って吉本みたい(笑))とほくそ笑む俺だった…
【‘ほくそ笑む’の‘ほくそ’は、‘人間万事塞翁が馬’の‘塞翁’の意味と言われています。‘翁’は、もちろん松下幸之助等の著名な年配者につける翁と同じです。‘塞翁’の本名や由来は調べてね。ちなみに、ここで‘ほくそ笑む’を使うのは、「しめしめ」と笑う意味なので、本来は意味がおかしいです。誰も真剣に読んでなくて気付かないから、いいんじゃね?】
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おわり
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