8 / 11
第8パケ 「クリーニング店の開業」
【筋トレ中毒のシャブ屋】
しおりを挟む
第8パケ【筋トレ中毒のシャブ屋】
「クリーニング店の開業」
権堂が置いていったクーラーボックスを横目に途方に暮れる俺は、今晩この金をどこに置こうか困り果てた。
【‘途方’は‘ぼ~っとする’意味ではなく、手段。方法。道理・すじ道の意味何ですよ。つまり‘途方に暮れる’は‘どうしたらよいか方法がわからない’となります】
その時権堂から電話が鳴った。
「おい!エゴケン!どないせぇ!ちゅうねん!」
開口一番怒鳴り付ける俺に、権堂は諭すように話し始めた。
「すまんすまん。詳細はまたLINEしときますわ。ところで今夜その金の置き場に困りますやろ?どないや、例の富裕な医者先生のトミーはんに預けたらどないや?」
確かにトミーなら、1億ごときでたじろぐことも無い。また彼ならこの蓋さえ開けない誠実さがある。たぶん保管の理由も詮索しないだろう。
早速トミーに電話をすると事情を話した。
「ああ?トミー? 俺の笑顔は卑屈じゃないかい?」
「はぁ~?(笑)」
トミーは腰が抜けたかの様に脱力感満載の様相で笑いながら応えた。
「いや、尾崎だよ尾崎。頼むよ。歌詞覚えろよ。あのさぁ、ちょっとクーラーボックス一個置かしてよ。トミーんとこ、24時間空調ついてんのやろ?店も自宅も、俺んとこ暑いからさぁ」
「はぁ~。何かわからんけど、玄関に置いといてよ」
(やはりな…。トミーみたいな富裕層は細かいこと気にせぇへんわ)
その夜、トミーの帰りを待って手渡しすると、トミーは何の疑いもない様子で受け取った。
「まあ、明日から(土)(日)で休みだし、僕は柴刈りと芝生刈りして在宅だから、好きな時に取りに来てよ」
(ふふっ、‘僕’だってさ。流石は富裕層?(笑)わざわざ柴と芝生を言い分けるなんて、世界中でトミーしかおらへんのやないか…)
安心した俺は、早く筋トレがしたくて早々に退散した。
その夜、権堂からの指示書がLINEに来ていた。
‘小太郎はん。LINEに証拠残るとやっかいやさかいにな、専用のメアドでやりとりしますわ’
その下には、新しいメアドが書いてあった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
‘このメアド見てメモしたらな削除やで、こちらも送信取り消ししまっさ。
893.564.5910@gokudo.com’
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ヤクザ殺す極道?ほんまアホやなアイツ…)
その後メールに来た内容は以下の様だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
1)客に依頼する文言「ワシの父が死によりまして遺産が入りましてん。ワシ使い道あらへんし、遊びも知らんさかいに、日頃世話になっとる、〇〇はんに遊んでもらお思てまんねん。元本だけ月末に返してくれたらよろしいわ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
(わかりにくぅ~。標準語で書けや!何で文でも関西弁やねん!)
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
2)銘柄や売買手法がわからん客には、こちらから指示する手法で行う
3)返金はワシが指定する口座に振込みで行う
おわり
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(なんや、えらいシンプルやな、簡単に行けそうやん)
俺は気楽になって夢中で筋トレをはじめた。
「よぉし!これで俺は大富豪や! まぁあれやな大富豪になったら、マッサージ代は60分10円でいいわ。食うに困らんし。『美女乳揉みに限り1万円差し上げます』こないして書いたら行列ちゃう?」
浮かれた想像に溺れていた俺には、まさかこの先にトミーを巻き込んで悲惨な事件が起こるとは予想だにしていなかった。
【‘予想だに’の‘だに’には、‘さえ’程度の大した意味はありません】
第8パケ【筋トレ中毒のシャブ屋】
おわり
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる