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第8パケ 「クリーニング店の開業」
【筋トレ中毒のシャブ屋】
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第8パケ【筋トレ中毒のシャブ屋】
「クリーニング店の開業」
権堂が置いていったクーラーボックスを横目に途方に暮れる俺は、今晩この金をどこに置こうか困り果てた。
【‘途方’は‘ぼ~っとする’意味ではなく、手段。方法。道理・すじ道の意味何ですよ。つまり‘途方に暮れる’は‘どうしたらよいか方法がわからない’となります】
その時権堂から電話が鳴った。
「おい!エゴケン!どないせぇ!ちゅうねん!」
開口一番怒鳴り付ける俺に、権堂は諭すように話し始めた。
「すまんすまん。詳細はまたLINEしときますわ。ところで今夜その金の置き場に困りますやろ?どないや、例の富裕な医者先生のトミーはんに預けたらどないや?」
確かにトミーなら、1億ごときでたじろぐことも無い。また彼ならこの蓋さえ開けない誠実さがある。たぶん保管の理由も詮索しないだろう。
早速トミーに電話をすると事情を話した。
「ああ?トミー? 俺の笑顔は卑屈じゃないかい?」
「はぁ~?(笑)」
トミーは腰が抜けたかの様に脱力感満載の様相で笑いながら応えた。
「いや、尾崎だよ尾崎。頼むよ。歌詞覚えろよ。あのさぁ、ちょっとクーラーボックス一個置かしてよ。トミーんとこ、24時間空調ついてんのやろ?店も自宅も、俺んとこ暑いからさぁ」
「はぁ~。何かわからんけど、玄関に置いといてよ」
(やはりな…。トミーみたいな富裕層は細かいこと気にせぇへんわ)
その夜、トミーの帰りを待って手渡しすると、トミーは何の疑いもない様子で受け取った。
「まあ、明日から(土)(日)で休みだし、僕は柴刈りと芝生刈りして在宅だから、好きな時に取りに来てよ」
(ふふっ、‘僕’だってさ。流石は富裕層?(笑)わざわざ柴と芝生を言い分けるなんて、世界中でトミーしかおらへんのやないか…)
安心した俺は、早く筋トレがしたくて早々に退散した。
その夜、権堂からの指示書がLINEに来ていた。
‘小太郎はん。LINEに証拠残るとやっかいやさかいにな、専用のメアドでやりとりしますわ’
その下には、新しいメアドが書いてあった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
‘このメアド見てメモしたらな削除やで、こちらも送信取り消ししまっさ。
893.564.5910@gokudo.com’
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ヤクザ殺す極道?ほんまアホやなアイツ…)
その後メールに来た内容は以下の様だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
1)客に依頼する文言「ワシの父が死によりまして遺産が入りましてん。ワシ使い道あらへんし、遊びも知らんさかいに、日頃世話になっとる、〇〇はんに遊んでもらお思てまんねん。元本だけ月末に返してくれたらよろしいわ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
(わかりにくぅ~。標準語で書けや!何で文でも関西弁やねん!)
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
2)銘柄や売買手法がわからん客には、こちらから指示する手法で行う
3)返金はワシが指定する口座に振込みで行う
おわり
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(なんや、えらいシンプルやな、簡単に行けそうやん)
俺は気楽になって夢中で筋トレをはじめた。
「よぉし!これで俺は大富豪や! まぁあれやな大富豪になったら、マッサージ代は60分10円でいいわ。食うに困らんし。『美女乳揉みに限り1万円差し上げます』こないして書いたら行列ちゃう?」
浮かれた想像に溺れていた俺には、まさかこの先にトミーを巻き込んで悲惨な事件が起こるとは予想だにしていなかった。
【‘予想だに’の‘だに’には、‘さえ’程度の大した意味はありません】
第8パケ【筋トレ中毒のシャブ屋】
おわり
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