絶海の孤島! 猿の群れに遺体を食べさせる葬儀島【猿噛み島】

spell breaker!

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7.「生まれついてのブッチャーだからよ」

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 二人はたっぷり切り身の入ったタッパーを受け取ると、平泉と六さんに別れをつげ、港をあとにした。

 別れ際、「咲希!」と、平泉が管理事務所の玄関から手をあげた。「出棺のときにゃあ、約束どおり港で待機しとく。もっとも、そのまえにちゃんと焼香させてもらいに寄るがな」

「ええ。よろしくお願いします」

「どうも」

 交野も頭をさげた。
 咲希は肘のところまで手をあげてこたえると、極力関わりたくないといわんばかりに歩き出したので、交野はあわてて彼女の横に並んだ。

「港で待つとは」

「ここだけの話」咲希はそれには返事せず、「あの人が苦手だった。7年ぶりに会って、わたしにも変化があるかなって思ってたけど、やっぱり無理」

「世渡りがうまそうだからな。誰にでも愛想がいいんだろう」

「そうじゃなく」と、咲希は険しい顔をして、「生まれついてのブッチャー、、、、、だからよ。生理的に受けつけないの」

「ブッチャー?」

 とっさに1970から80年代に日本プロレスで活躍した黒人レスラーの姿が思い浮かんだ。リアルタイムに観た世代ではないが、熱烈なファンの友人に教えられたことがあった。

「そのことについても、あとで説明するわ。とにかく順を追っていかないと、あなただって混乱するだろうから」

「なんのことやら、さっぱりだな」と、交野は肩をすくめた。彼女に従うしかなかった。



 県道に出て、30分ばかり時間をつぶしたのち、バスに乗りこむと、悉平島の山間部に分け入った。
 山には抜きん出て背の高いアカマツが目立つ一方、南国特有のソテツが生い茂り、内地とは異なる趣を醸していた。
 こずえのすき間からのぞく空は快晴。蒸し暑いが陰気臭さは感じさせず、車窓から吹きこんでくる風には濃い山気がまじり、鼻をくすぐった。

 15分もバスの後部座席で揺られると、急に開けた土地に出た。
 左右にビニールハウスが立ち並んでいた。なかではよく手入れされたマンゴーが栽培されていた。
 実はたっぷり太陽の光を吸収して緋色ひいろに完熟し、落下防止用のネットにひとつずつかぶせられていた。8月上旬のこともあってか、収穫のピークはすぎ、実の数は少ないながら、華やかな彩りが眼の保養になった。
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