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ようこそ摩訶不思議堂へ 落し物係
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摩訶不思議堂 ――「落とし物係」
ぼくの名前は、悠斗(ゆうと)。
小学四年生。
ぼくの仕事は、「落とし物係」。
学校の帰り道、
いつも駅前の交番に、忘れもんを届ける役や。
手袋。
鍵。
ぺちゃんこになった帽子。
でも、ある日、
交番の横に、へんな店ができた。
「摩訶不思議堂」
看板は古いのに、文字だけがピカッとしとる。
中をのぞくと、棚があって、
目に見えへん落とし物が並んでる感じがした。
「入ってもええで」
奥から、おばあちゃんの声。
中には、
・折れた勇気
・言いそびれたありがとう
・泣きかけのままの涙
……って、札がぶら下がってる。
「これ、見えへんのに、あるん?」
「ある。
子どもはな、大人より、よう見える」
おばあちゃんは、ぼくに小さなノートをくれた。
『落とし物係 日誌』
「坊やの仕事はな、
これを“持ち主のとこ”へ返すことや」
最初の依頼は、
「折れた勇気」。
持ち主は、同じクラスの健太やった。
サッカーの試合でミスして、
それから休み時間も外に出えへん。
ぼくは何も言わず、
健太の机に、
ノートの切れ端をそっと入れた。
そこには、こう書いてあった。
「勇気は、折れても、なくならへん」
次の日、健太は少しだけ外でボールを蹴っとった。
二つ目は、
「言いそびれたありがとう」。
これは、ぼくのお母さんやった。
夜、洗いもんしてる背中に、
小さく言った。
「……いつも、ありがとう」
お母さんは、振り向かんかったけど、
鼻をすすってた。
最後は、
「泣きかけのままの涙」。
これは……
ぼく自身やった。
転校してきて、
友だちができへんくて、
強がってた。
家で、布団に顔うずめて、
ちゃんと泣いた。
そしたら、次の日、
声が出た。
「一緒に、帰ろ」
しばらくして、
摩訶不思議堂は、なくなった。
でも、交番のおまわりさんが言った。
「最近な、
落とし物、減ってきたんや」
ぼくは、日誌をカバンに入れて、思った。
落とし物は、なくなったんやない。
ちゃんと、持ち主のところへ戻っただけや。
🧸
夢の中で、あのおばあちゃんが言った。
「ええか、悠斗。
落とし物係で、いちばん大事なんはな、
“自分の分”を、忘れへんことや。」
ぼくの名前は、悠斗(ゆうと)。
小学四年生。
ぼくの仕事は、「落とし物係」。
学校の帰り道、
いつも駅前の交番に、忘れもんを届ける役や。
手袋。
鍵。
ぺちゃんこになった帽子。
でも、ある日、
交番の横に、へんな店ができた。
「摩訶不思議堂」
看板は古いのに、文字だけがピカッとしとる。
中をのぞくと、棚があって、
目に見えへん落とし物が並んでる感じがした。
「入ってもええで」
奥から、おばあちゃんの声。
中には、
・折れた勇気
・言いそびれたありがとう
・泣きかけのままの涙
……って、札がぶら下がってる。
「これ、見えへんのに、あるん?」
「ある。
子どもはな、大人より、よう見える」
おばあちゃんは、ぼくに小さなノートをくれた。
『落とし物係 日誌』
「坊やの仕事はな、
これを“持ち主のとこ”へ返すことや」
最初の依頼は、
「折れた勇気」。
持ち主は、同じクラスの健太やった。
サッカーの試合でミスして、
それから休み時間も外に出えへん。
ぼくは何も言わず、
健太の机に、
ノートの切れ端をそっと入れた。
そこには、こう書いてあった。
「勇気は、折れても、なくならへん」
次の日、健太は少しだけ外でボールを蹴っとった。
二つ目は、
「言いそびれたありがとう」。
これは、ぼくのお母さんやった。
夜、洗いもんしてる背中に、
小さく言った。
「……いつも、ありがとう」
お母さんは、振り向かんかったけど、
鼻をすすってた。
最後は、
「泣きかけのままの涙」。
これは……
ぼく自身やった。
転校してきて、
友だちができへんくて、
強がってた。
家で、布団に顔うずめて、
ちゃんと泣いた。
そしたら、次の日、
声が出た。
「一緒に、帰ろ」
しばらくして、
摩訶不思議堂は、なくなった。
でも、交番のおまわりさんが言った。
「最近な、
落とし物、減ってきたんや」
ぼくは、日誌をカバンに入れて、思った。
落とし物は、なくなったんやない。
ちゃんと、持ち主のところへ戻っただけや。
🧸
夢の中で、あのおばあちゃんが言った。
「ええか、悠斗。
落とし物係で、いちばん大事なんはな、
“自分の分”を、忘れへんことや。」
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