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第四話
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極彩色の極楽鳥は、嘴を動かさへん。
鳴き声も、羽音もない。
せやのに――
声は、確かに届いた。
それは耳からやなかった。
胸の奥でもない。
もっと古い場所、
言葉を覚える前の場所に、直接ふれてくる。
――老子小太郎。
名を呼ばれて、小太郎は驚かへん。
驚く余地すら、残ってへんかった。
「……やっぱり、来よったか」
極楽鳥の羽が、わずかに揺れる。
色が、呼吸するみたいに脈打つ。
――おまえは、語っている。
――だが、本当は聞く者や。
小太郎は、ゆっくりと息を吐いた。
ギターを背負って生きてきた時間、
人の話を集め、街の残響を拾ってきた年月が、
一気に思い出される。
「せやな。
わしは、歌うより先に、
いつも耳を澄ましとった」
――この街の声を、
――人の声を、
――そして、消えた色の声を。
極楽鳥は一歩、前に出る。
足が地面についた瞬間、
灰色の瓦礫に、かすかな影が落ちた。
それは七色の影やった。
――色は奪われたのではない。
――人が、語ることをやめた時、
――世界は色を閉じる。
小太郎の喉が、わずかに鳴る。
語り部として、
ずっと避けてきた問いが、そこにあった。
「……ほな、わしは何を語ればええ?」
極楽鳥の声は、少しだけ柔らいだ。
――答えを語るな。
――問いを残せ。
――問いは、人を歩かせる。
橋の下で、人々が息をのむ。
誰も極楽鳥の姿は見えてへん。
せやけど、
小太郎の沈黙の質が変わったことだけは、
全員が感じ取っていた。
――老子小太郎。
――おまえがここにいる限り、
――この街は、まだ語られる。
極楽鳥の色が、少しずつ薄れていく。
消えるんやない。
溶けていく。
小太郎は、霞んだ瞳をもう一度ぬぐい、
人々のほうを向いた。
「……さあ」
声は低く、けれど確かやった。
「今度は、
誰が、問いを持っとる?」
灰色の世界に、
確かに色は残った。
それは羽やなく、光でもなく、
人の胸に灯った、言葉になる前の色やった。
鳴き声も、羽音もない。
せやのに――
声は、確かに届いた。
それは耳からやなかった。
胸の奥でもない。
もっと古い場所、
言葉を覚える前の場所に、直接ふれてくる。
――老子小太郎。
名を呼ばれて、小太郎は驚かへん。
驚く余地すら、残ってへんかった。
「……やっぱり、来よったか」
極楽鳥の羽が、わずかに揺れる。
色が、呼吸するみたいに脈打つ。
――おまえは、語っている。
――だが、本当は聞く者や。
小太郎は、ゆっくりと息を吐いた。
ギターを背負って生きてきた時間、
人の話を集め、街の残響を拾ってきた年月が、
一気に思い出される。
「せやな。
わしは、歌うより先に、
いつも耳を澄ましとった」
――この街の声を、
――人の声を、
――そして、消えた色の声を。
極楽鳥は一歩、前に出る。
足が地面についた瞬間、
灰色の瓦礫に、かすかな影が落ちた。
それは七色の影やった。
――色は奪われたのではない。
――人が、語ることをやめた時、
――世界は色を閉じる。
小太郎の喉が、わずかに鳴る。
語り部として、
ずっと避けてきた問いが、そこにあった。
「……ほな、わしは何を語ればええ?」
極楽鳥の声は、少しだけ柔らいだ。
――答えを語るな。
――問いを残せ。
――問いは、人を歩かせる。
橋の下で、人々が息をのむ。
誰も極楽鳥の姿は見えてへん。
せやけど、
小太郎の沈黙の質が変わったことだけは、
全員が感じ取っていた。
――老子小太郎。
――おまえがここにいる限り、
――この街は、まだ語られる。
極楽鳥の色が、少しずつ薄れていく。
消えるんやない。
溶けていく。
小太郎は、霞んだ瞳をもう一度ぬぐい、
人々のほうを向いた。
「……さあ」
声は低く、けれど確かやった。
「今度は、
誰が、問いを持っとる?」
灰色の世界に、
確かに色は残った。
それは羽やなく、光でもなく、
人の胸に灯った、言葉になる前の色やった。
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