ファンタジー/ストーリー4

雪矢酢

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第一章

十五話 最終決戦の予感

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ヘルゲートの防衛やダルガ教四天王撃破など、敵より一見優位なレフトたちではあったが、連戦により負傷者が続出していた。
そんなきびしい状況の中、トップオブザワールドことガイアはレフトとの一騎討ちを望んだ。
お互いに決め手を欠き、駆けつけたアレサとマーガレットにより引き分けとなった。
だがガイアは自らの敗北を悟っていた。
打ち解けた二人はパレスの小さな部屋で今後についての話をしていた。


「さてレフトーラ。何から話そうか」


ガイアは飲み物を差し出す。
レフトはそれを受け取り答える。


「まず知りたいのは花についてです。おそらくはそれがこの襲撃の元凶です」


「花か…」


「花は危険だと思います。もし存在するならばすぐに処分を…」


ガイアは飲み物を口にしてレフトを見る。


「確かめたことはないが、あれはエンデから持ち込まれたらしい」


「エンデ国…ですか」


「そうだ、これは個人的な意見なのだが、エンデは危険な国だと思うのだ。過去に悪魔たちが決起し攻めたのはその危険を察知したからかも知れない」


「それはつまり…悪魔は…正しかった…と?」


「わからない…だがエネルギーを放出する花なぞ自然界には存在しない、つまりあれは人造物だ。もしそれをエンデが造ったとなれば、その国は高度な技術と文明があると誰もが想像できるだろう?」


「…できますがその花は誰がエンデから持ち込んだのか…などの謎は残ります。出所が不明というのが実に怪しい…」


「…うむ…」


レフトは飲み物を口にしてひと息つく。


「エンデへ…行くべきなのかな…」


「行ってどうする?それに場所すら分からず、幻獣の縄張りをむやみにうろつくのは危険だぞ」


「そうだよね…」


「エンデは無視できぬが、今は目の前にあるダルガ教が先だと思う。デルタとかいう青年の捕虜は逃がしたが、テラーは抑えた」


「テラー夫人は…あなたの奥様では?」


「そういって泳がしていたんだよ、尻尾をつかむためにね」


「えっ」


「スパイとはすぐに分かったんだが確証がなかったんだ」


「……彼女はいったい何者ですか?」


「悪魔ドルガの手先」


「ドルガですか……」


レフトは席を立つ。


「どうした?」


「少し考えたい」


…一度状況を整理しないと…。



「そういえばお前、あの剣はどうした?それは幻獣の剣だろ」


「魔封剣は文字通り封印しましたよ」


「そうか……現在、花の使用を禁じている。復興機関の立ち合いで処分すべきだろう」


「…」


「ヘルゲートを守ってくれてありがとう」


笑顔で部屋を去るレフト。


…ふう。


トップオブザワールド。


深い人だ。
その気になれば、一人でダルガ教を滅ぼせそうだが…。


ヘルゲートは襲撃で建物の崩壊が激しい。
そんな街を歩き回るレフト。
安全が確認された区間に住む市民は自宅に戻った。


…シーキヨ戦争もだいぶ街が破壊されていたものね。
邪神ダルガニス…。
それにエンデからもたらされた謎の花…。
復興機関の最高司令はエンデ人とか言ってたっけか…。
戦闘以外で機関と関わるのは控えたい。


う~む。


「お悩みですかな?」


「えっ」


導師のようなローブを纏った老人がレフトに話しかける。


「ヘルゲートが襲撃されたと聞きましてな。駆けつけたのですが…」


「はい、襲撃されていましたが兵士たちが中心となり復興機関と協力して防衛しました」


「ほほう。さすがというべきか…。トップ様と復興機関は本当にこの国のため尽力してくださる」


老人はダークパレスを見つめる。


「パレスが本来の機能を取り戻したのはトップ様やフラット様にガーデン姉妹、そしてミミズクの存在が大きい」


…この老人…何者だ…。
いきなり何故この話を…。


「ヘルゲートが統治されるとは、思いもしませんでした」


レフトは老人を見る。


「ふぉふぉ、その基盤をつくったのは復興機関で活躍しとったあの三人じゃろうが」


「…」


「お主、いつヘルゲートに戻ったのじゃ?」


老人はレフトの顔を覗き込む。


知っている。
この老人はレフトの正体を知っている。


「各国が集まった時に、ある地域の代表で…」


「あの時か…」


「失礼ですが、あなたは…何者ですか?」


レフトは直球勝負に出た。
すると老人は顔色が変わる。


「ただの老人じゃ…」


するとそこにガイが登場する。
彼はいきなり老人の前でひざまずいた。


「ゼレンブール大老、お迎えが遅れ申し訳ありません」


「街中でやめんか。ほら、パレスにいくぞい」


「はっ」


「…」


「また会おうぞレフトーラ」


二人はパレスへ急行した。


ゼレンブール。
どこかで聞いた名前だな…。





「ふおふお、レフトーラが戻っているということはオメガやニナもいるんじゃな?ガイよ」


「はい、ですが大老、レフトーラは少し前に復興機関を離反しております」


「ふぁ?」


「事情は不明ですが、なんでも彼は結婚したとかで…」


「結婚? あのレフトーラが結婚じゃと?お主、ギャグが言えるようになったか」


「…大老」


「…マジ…なのか…」


「はい」


「…寿退社ってことかのう…」






復興機関ヘルゲート支部。
ここの被害は少ない。
既に人が戻り、機関は仕事を再開している。


「お帰りなさい、リーダー、バイオ様」


「ただいま、無茶言ってごめんなさい」


ミミズクは受付に謝罪する。
バイオは手を振り挨拶、そして自室へ向かう。


「いえ、みんな仕事したいと言ってますし、市民からの依頼は多数あります。我々が頑張る時なんすよ」


 「そうね、だけどムリは禁物よ。危険な依頼や胡散臭い依頼はこっちに回してね」


「承知しましたリーダー…えっと…」


「ん?」


すると受付はミミズクに封筒を渡す。
すぐにバイオが二階から降りてきてミミズクが持つ封筒を確認する。


「宛名がないわね」


「はい、支部のポストに入っていたそうです」


ミミズクは封を切り中を確認する。


「えっと……テラーを引き渡し…レフトーラが連れてこい…? ダルガ教」


「…これ、ヤバい手紙っすよね…」


「ヤバいですわ、うふふ」


受付は眼を瞑り、私は知らない、見ていないとアピールした。


「ありがとう、これは国家案件ね」


繰り返しになってしまうが、ダルガ教はヘルゲートの戦力分散を見事成功させ手薄となった国を襲撃した。
四天王を討ち取ったフラットらはその作戦に気づき飛空艇でヘルゲートに帰還。
激闘の末ヘルゲートの防衛は成功。
そんな争いが続いたことによりヘルゲート、ダルガ教ともに負傷者や再起不能者が続出していた。
この事にミミズクとバイオはある結論にたどり着いた。


「…」


「うふふ、どうやら教団の終わりが見えてきたね」


「終わり…ですか」


「戦力分散はダルガ教、渾身の作戦だったのでしょう。だけど作戦は失敗しさらにヘルゲートも防衛された…戦力を失い教団はもうあとがないようですね、うふふ」


「自分たちに有利な地で決着をつける……ということでしょうか……これは…またしても罠では…」


「うふふ、確実に罠でしょうね…だけどそんなことはもう関係ないわ」


「えっ」


「うふふ、今回も敵の裏をかきあえて罠にかかるのよ。そして再起できぬように徹底的に叩く。残存する戦力は間違いなく教団最強クラスでしょう。そこを潰せばよいのです」


「…なんかオメガさんみたいな考え方ですが…」


「うふふ、敵は焦っているわ、それが手にとるようにわかる」


「…まあ、四天王やら、機械竜やらを殲滅していますから…そりゃ焦るかもです…」


バイオの言うようにヘルゲートとダルガ教の戦いは最終決戦となる。
大きく戦力を削がれたダルガ教に秘策はあるのか?
ヘルゲートも負傷者が続出しているが、新たなる戦力が加わるのか?



次章、大陸の命運をかけた戦いが始まる。
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