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第ニ章
八話 邪神と悪魔の終わり
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ダリアを先頭にゼノンブールたちは内部の階段を降りて最深部に到達した。
そこは教団の幹部が顔合わせするような邪悪な円卓があった。
そしてその奥には祭壇があり、装飾された椅子には巨大な石像のような武装兵器が鎮座している。
「なんじゃアレは…」
「アレは……動くのか……一目で邪悪だと判断できますが…」
武装兵器の前にはドルガとセフィアが立っている。
「これはハザークメテオという。お前らにはダルガニスと呼んだようが分かりやすいかな」
「…ダルガニスじゃと」
言葉を詰まらせるゼノンブール。
圧倒的な存在感の前に黙り込むダリア。
「ハザークメテオ、ダルガニスは破壊兵器であり、これが起動してしまうと世界はとても危険な状況となるでしょう…」
言葉を発するのがとてもつらそうなセフィア。
そう、彼女は心身ともに限界なのだ。
ドルガへの想いと、兵器を起動させることによる世界の終焉が彼女の心を苦しめている。
「ああ、わかるわい…こんなのが地上で暴れたら…」
「くっくっくっ」
セフィアの想いなど知らず不気味に笑うドルガ。
突如彼女の髪を撫でると首にかけたカードキーのようなネックレスを掴む。
「ハザークメテオを起動できるのはこのキーのみだ」
「ドルガ様……お止め下さい……私には…」
ドルガを拒否するセフィア。
だが抵抗する力が残っていないのでカードキーを簡単に奪われてしまう。
そして彼は躊躇なくカードキーを兵器に差し込む。
「聞け、終焉は始まりぞ。さあハザークメテオよ、ヘルゲートへ向かい動力を確保するのだ」
メテオから凄まじい蒸気が発せられる。
「大老、起動前にセフィアを討つべきだった……我々は決断を誤ったのでしょうか……」
「………ダリアよ……彼女は敵じゃない……この兵器は誰かが破壊せねばならん…」
歓喜するドルガとは対照的に、セフィアは自ら信じてきたドルガに絶望し泣き崩れた。
「よくやったセフィアよ、褒美を与えよう」
ドルガは用済みとなったセフィアへ無慈悲な魔法の矢を放つ。
その矢は彼女の胸を貫いた。
「…ドルガ様」
セフィアは吐血し倒れたがすぐにダリアが彼女を受け止める。
「なっ」
動揺するドルガ。
その彼の足元から突如暗黒が発生し、その半身を飲み込んだ。
「がはあ…」
バランスを崩すドルガ。
暗黒の魔力を探知したハザークメテオはその巨体を動かし上空にビームを放つ。
「バカどもが…自ら滅亡を望むか…」
するとドルガの身体から転移魔法が発動する。
「ドルガ様…私は…」
「緊急避難というやつだ、我は倒れるわけにはいかん。人よ、ハザークメテオを止めてみよ。くっくっくっ」
「逃げられない時の絶望を味わったことがあるかしら?」
「んっ」
「マーガレット」
転移が始まったドルガと同じようにマーガレットの身体も転移が始まる。
「う、うわあああ、こやつ追尾魔法を…」
「ドルガは必ず私が…」
そして二人はどこかへ転移した。
「うぬぬ、急展開すぎて、老体にはこたえるわい」
「二人とも、後ろへ…起動こそしたがまだ動力不足だわ…」
セフィアはボロボロの身体でハザークメテオの前に立つ。
魔法の矢が貫通したがダリアの応急措置にて何とか立てるくらいに回復したようである。
「…」
対峙するメテオとセフィア。
その時、不利と判断したメテオはビームで開けた上空の穴から逃亡。
ひとまず脅威が去り気が抜けたセフィアは脱力し座り込んだ。
「大丈夫か」
「はい、メテオの判断能力を利用して、なんとか追い返しましたが…」
「ふぉふぉ、ひとまず脅威は去ったか」
椅子に座るゼノンブール。
「おい、お前が知ってることを話せ」
セフィアに直球をぶるけるダリア。
「うお、ダリアよ待て待て、彼女は愛する者に裏切られ辛いじゃろう…」
「ドルガ様に愛されていないのは…薄々分かっていたわ……だけど私は…私は…愛とはそういうものだと思ったのよ…」
「お前の恋愛観など知らぬ、要点を話せ」
直球すぎるダリア。
「手厳しいのう、まずはセフィアのペースで話を聞こうぞ」
場を荒立てぬように慎重にことを進めるゼノンブール。
その言動に従うダリア。
「ドルガ様は恐怖で人を、そして大陸を支配するシンプルな考えをお持ちだった。だがそれでは人はついてこない。私はそんな彼の影となっていました」
「…」
「なるほど…ドルガのフォローに徹していたわけじゃな」
「いつか…分かってくれる…それだけが支えだった」
「忍耐は美徳だ、何でもかんでも行動すればよいわけではない」
ダリアは冷めているが的確なフォローをする。
そんな彼女の優しさに、にっこりと笑顔でかえすセフィア。
「起動したハザークメテオはしばらくは行動を控えますが、近いうちにヘルゲートへ攻撃を開始します」
「動力とか言っとったの?」
「はい、そしてメテオの攻撃開始は各地にいる過激派教徒らを刺激します。暴徒化した信者が一斉攻撃を開始するでしょう」
「なるほど…あまり時間がないようじゃの。ひとまずレフトーラたちを回収してヘルゲートへ戻ろう」
「マーガレット様は?」
「心配ない、あやつは有言実行。敵が逃げようものなら地獄まで追いかける死神となる」
「…」
「盾を持っていても彼女との戦闘は避けたいわ…」
セフィアは傷心しているが、ゼノンブールの優しさと無骨だが真っ直ぐな心のダリアに心を許していった。
緊急避難が発動したドルガ。
その悪魔を追うマーガレット。
彼女は暗黒を放ったと同時に追跡魔法をドルガに付呪していた。
ドルガは逃亡する、あのゼノンブールの言葉を彼女は信じ、対策していたのである。
「…うぐあ……ヘルゲートの戦力を完全に見誤ったわ……脅威はレフトーラやアレサだけではない……」
ドルガは不気味な部屋へと転移していた。
消滅した半身を再生させるが、その反動で一気に脱力し椅子に座る。
表舞台から姿を消していた彼はこの一室で、静養し少しずつだが確実に力をつけていたようだ。
「すぐにガーデンが追ってくる……確か暗黒は妹のほうだったか……まったく、恐ろしい存在だ……」
がさごそとドルガは周囲をあさる。
そして小さな石を見つける。
「…もはや肉体を捨てるしか生きる道はない…」
考え込むドルガ。
そこへマーガレットが転移してくる。
「ふふ、ずいぶん素敵な趣味のお部屋ですこと」
「……千里眼やマジックマスターたちを倒し、セフィアをも退けた……ダルガ教の敗北を認めよう」
小石を持ちゆっくり後退しながら話すドルガ。
「ふふ、教団が破滅しても事態は解決はしません」
ドルガの動きに全身神経を集中させているマーガレット。
暗黒を構え、彼がおかしな動きをしたらすぐに放つようだ。
「くっくっく、解決だと?」
「止まれ…動くと首を吹き飛ばす」
マーガレットの目つきが変わる。
ドルガは殺気を放った彼女に恐怖し動きが止まる。
…これまでか…あいつは本気だ……覚悟してここへ来たのだ。
我も…覚悟する時がきたか…。
「悪魔は人にとって恐怖の存在なのだよ。そして恐怖こそが人を支配できるのだ」
ドルガは小石を強く握る。
それに気づいたマーガレットは躊躇なく暗黒を放つ。
「その考えがあなたを破滅させたのよ」
ドルガの胴を暗黒が貫く。
彼は笑いながら消滅。
そしてその下には小石が落ちていた。
「何かを仕掛けたようにみえたが…」
マーガレットは転がっている小石を発見する。
「ふふ、生への執着は人も悪魔も変わらないようね」
小石を拾い笑みを浮かべるマーガレット。
そしてその小石を地面に投げつけ砕く。
「バカな…」
すると小石の効果が消えドルガが現れる。
小石は悪魔が開発した一時避難用の小型シェルターだった。
「ま、待って、待ってくれぇぇ」
「待てない、さようなら」
マーガレットはドルガを飲み込むほどの巨大な暗黒を放ち彼を消滅させた。
気負けせず躊躇することない強い精神力こそがドルガを討てる唯一の武器。
人を超越した精神をもつ彼女だからこそ悪魔を討てたのである。
「転移の札があるわね」
周囲を調べるマーガレット。
「悪魔の親玉は討った。これで奴に怯えていた優しい悪魔たちを解放することができたのかしらね……奥様」
次回へ続く。
そこは教団の幹部が顔合わせするような邪悪な円卓があった。
そしてその奥には祭壇があり、装飾された椅子には巨大な石像のような武装兵器が鎮座している。
「なんじゃアレは…」
「アレは……動くのか……一目で邪悪だと判断できますが…」
武装兵器の前にはドルガとセフィアが立っている。
「これはハザークメテオという。お前らにはダルガニスと呼んだようが分かりやすいかな」
「…ダルガニスじゃと」
言葉を詰まらせるゼノンブール。
圧倒的な存在感の前に黙り込むダリア。
「ハザークメテオ、ダルガニスは破壊兵器であり、これが起動してしまうと世界はとても危険な状況となるでしょう…」
言葉を発するのがとてもつらそうなセフィア。
そう、彼女は心身ともに限界なのだ。
ドルガへの想いと、兵器を起動させることによる世界の終焉が彼女の心を苦しめている。
「ああ、わかるわい…こんなのが地上で暴れたら…」
「くっくっくっ」
セフィアの想いなど知らず不気味に笑うドルガ。
突如彼女の髪を撫でると首にかけたカードキーのようなネックレスを掴む。
「ハザークメテオを起動できるのはこのキーのみだ」
「ドルガ様……お止め下さい……私には…」
ドルガを拒否するセフィア。
だが抵抗する力が残っていないのでカードキーを簡単に奪われてしまう。
そして彼は躊躇なくカードキーを兵器に差し込む。
「聞け、終焉は始まりぞ。さあハザークメテオよ、ヘルゲートへ向かい動力を確保するのだ」
メテオから凄まじい蒸気が発せられる。
「大老、起動前にセフィアを討つべきだった……我々は決断を誤ったのでしょうか……」
「………ダリアよ……彼女は敵じゃない……この兵器は誰かが破壊せねばならん…」
歓喜するドルガとは対照的に、セフィアは自ら信じてきたドルガに絶望し泣き崩れた。
「よくやったセフィアよ、褒美を与えよう」
ドルガは用済みとなったセフィアへ無慈悲な魔法の矢を放つ。
その矢は彼女の胸を貫いた。
「…ドルガ様」
セフィアは吐血し倒れたがすぐにダリアが彼女を受け止める。
「なっ」
動揺するドルガ。
その彼の足元から突如暗黒が発生し、その半身を飲み込んだ。
「がはあ…」
バランスを崩すドルガ。
暗黒の魔力を探知したハザークメテオはその巨体を動かし上空にビームを放つ。
「バカどもが…自ら滅亡を望むか…」
するとドルガの身体から転移魔法が発動する。
「ドルガ様…私は…」
「緊急避難というやつだ、我は倒れるわけにはいかん。人よ、ハザークメテオを止めてみよ。くっくっくっ」
「逃げられない時の絶望を味わったことがあるかしら?」
「んっ」
「マーガレット」
転移が始まったドルガと同じようにマーガレットの身体も転移が始まる。
「う、うわあああ、こやつ追尾魔法を…」
「ドルガは必ず私が…」
そして二人はどこかへ転移した。
「うぬぬ、急展開すぎて、老体にはこたえるわい」
「二人とも、後ろへ…起動こそしたがまだ動力不足だわ…」
セフィアはボロボロの身体でハザークメテオの前に立つ。
魔法の矢が貫通したがダリアの応急措置にて何とか立てるくらいに回復したようである。
「…」
対峙するメテオとセフィア。
その時、不利と判断したメテオはビームで開けた上空の穴から逃亡。
ひとまず脅威が去り気が抜けたセフィアは脱力し座り込んだ。
「大丈夫か」
「はい、メテオの判断能力を利用して、なんとか追い返しましたが…」
「ふぉふぉ、ひとまず脅威は去ったか」
椅子に座るゼノンブール。
「おい、お前が知ってることを話せ」
セフィアに直球をぶるけるダリア。
「うお、ダリアよ待て待て、彼女は愛する者に裏切られ辛いじゃろう…」
「ドルガ様に愛されていないのは…薄々分かっていたわ……だけど私は…私は…愛とはそういうものだと思ったのよ…」
「お前の恋愛観など知らぬ、要点を話せ」
直球すぎるダリア。
「手厳しいのう、まずはセフィアのペースで話を聞こうぞ」
場を荒立てぬように慎重にことを進めるゼノンブール。
その言動に従うダリア。
「ドルガ様は恐怖で人を、そして大陸を支配するシンプルな考えをお持ちだった。だがそれでは人はついてこない。私はそんな彼の影となっていました」
「…」
「なるほど…ドルガのフォローに徹していたわけじゃな」
「いつか…分かってくれる…それだけが支えだった」
「忍耐は美徳だ、何でもかんでも行動すればよいわけではない」
ダリアは冷めているが的確なフォローをする。
そんな彼女の優しさに、にっこりと笑顔でかえすセフィア。
「起動したハザークメテオはしばらくは行動を控えますが、近いうちにヘルゲートへ攻撃を開始します」
「動力とか言っとったの?」
「はい、そしてメテオの攻撃開始は各地にいる過激派教徒らを刺激します。暴徒化した信者が一斉攻撃を開始するでしょう」
「なるほど…あまり時間がないようじゃの。ひとまずレフトーラたちを回収してヘルゲートへ戻ろう」
「マーガレット様は?」
「心配ない、あやつは有言実行。敵が逃げようものなら地獄まで追いかける死神となる」
「…」
「盾を持っていても彼女との戦闘は避けたいわ…」
セフィアは傷心しているが、ゼノンブールの優しさと無骨だが真っ直ぐな心のダリアに心を許していった。
緊急避難が発動したドルガ。
その悪魔を追うマーガレット。
彼女は暗黒を放ったと同時に追跡魔法をドルガに付呪していた。
ドルガは逃亡する、あのゼノンブールの言葉を彼女は信じ、対策していたのである。
「…うぐあ……ヘルゲートの戦力を完全に見誤ったわ……脅威はレフトーラやアレサだけではない……」
ドルガは不気味な部屋へと転移していた。
消滅した半身を再生させるが、その反動で一気に脱力し椅子に座る。
表舞台から姿を消していた彼はこの一室で、静養し少しずつだが確実に力をつけていたようだ。
「すぐにガーデンが追ってくる……確か暗黒は妹のほうだったか……まったく、恐ろしい存在だ……」
がさごそとドルガは周囲をあさる。
そして小さな石を見つける。
「…もはや肉体を捨てるしか生きる道はない…」
考え込むドルガ。
そこへマーガレットが転移してくる。
「ふふ、ずいぶん素敵な趣味のお部屋ですこと」
「……千里眼やマジックマスターたちを倒し、セフィアをも退けた……ダルガ教の敗北を認めよう」
小石を持ちゆっくり後退しながら話すドルガ。
「ふふ、教団が破滅しても事態は解決はしません」
ドルガの動きに全身神経を集中させているマーガレット。
暗黒を構え、彼がおかしな動きをしたらすぐに放つようだ。
「くっくっく、解決だと?」
「止まれ…動くと首を吹き飛ばす」
マーガレットの目つきが変わる。
ドルガは殺気を放った彼女に恐怖し動きが止まる。
…これまでか…あいつは本気だ……覚悟してここへ来たのだ。
我も…覚悟する時がきたか…。
「悪魔は人にとって恐怖の存在なのだよ。そして恐怖こそが人を支配できるのだ」
ドルガは小石を強く握る。
それに気づいたマーガレットは躊躇なく暗黒を放つ。
「その考えがあなたを破滅させたのよ」
ドルガの胴を暗黒が貫く。
彼は笑いながら消滅。
そしてその下には小石が落ちていた。
「何かを仕掛けたようにみえたが…」
マーガレットは転がっている小石を発見する。
「ふふ、生への執着は人も悪魔も変わらないようね」
小石を拾い笑みを浮かべるマーガレット。
そしてその小石を地面に投げつけ砕く。
「バカな…」
すると小石の効果が消えドルガが現れる。
小石は悪魔が開発した一時避難用の小型シェルターだった。
「ま、待って、待ってくれぇぇ」
「待てない、さようなら」
マーガレットはドルガを飲み込むほどの巨大な暗黒を放ち彼を消滅させた。
気負けせず躊躇することない強い精神力こそがドルガを討てる唯一の武器。
人を超越した精神をもつ彼女だからこそ悪魔を討てたのである。
「転移の札があるわね」
周囲を調べるマーガレット。
「悪魔の親玉は討った。これで奴に怯えていた優しい悪魔たちを解放することができたのかしらね……奥様」
次回へ続く。
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