ファンタジー/ストーリー2

雪矢酢

文字の大きさ
25 / 41
第一章

二十四話 副統括ライフ

しおりを挟む
「アンドロイドって…」

ニナは一旦オメガの元へ戻る。
胸を貫かれたライフは起き上がり周囲を確認した。
貫かれた胸部はバチバチと漏電している。

「あれではすぐにエネルギー切れになる」

オメガの言うことは正しい。
まともに歩くことができないライフは、電池切れ間近といった様子だ。

「レン、後方へ回りレフトを回収せよ。その後速やかに本部へ帰還するのだ。医療班は即本部へ帰還せよ。ここは危険だ」

オメガはそう言うとキューブを取り出す。
ニナは銃を構え臨戦体制だ。
その動きに気づいたライフは、突然、無数の電気プラグのようなモノを身体から発生させ、それで周囲の人々を突き刺した。
刺された人は徐々にエネルギーを吸収されぐったりとしている。急な動きに対応できずレフトにプラグが刺さってしまう。
すぐさまレンが聖剣技を発動させてプラグを切断しレフトを抱き締める。

「…レン?…なぜここへ…」

「話は後。私につかまって」

負傷者から一定量の電力を充電したライフはある程度回復。
より強大なエネルギー源を求めオメガやニナに狙いを定める。

「レン、そのままレフトを連れて本部へ」

オメガはキューブを大きな盾として、ライフの攻撃に応戦しつつ、レンの逆方向へ誘導する。
ニナの二丁拳銃による連続射撃で電力を求めてさ迷うプラグは次々と破壊されていく。


「ぐ…」


とその時、スッと上空から先ほどの女性が降りくる。
着地と同時にオメガへ書簡のようなものを投げて一礼した。

「……」

「…くっ…」

異質な雰囲気を感じとったニナは射撃を中断。
オメガはすぐにキューブを片付けニナを抱えて撤退。
レンと合流しその場を後にした。
レフトはオメガが抱えた。

「ちょっと…オメガ……どうしたのよ…」

「あれは……人ではない……とにかく今はレフトを連れて機関へ撤退する」

オメガ達に頭を下げる女性。
ライフはプラグを一斉に女性へ向け攻撃した。

「機関の方々にこの状況の対処は難しいわよね」

ライフのプラグが女性を包囲した。
その様子に焦ることはなく、女性はゆっくり瞳を閉じた。

「…鎮圧は許可されているが、殲滅はいかなる理由があろうと本部の許可が必要だ……」

「ええ、もちろんよ」

「あの女性はそれを……知っていた。つまり復興機関のルールを把握しており、そのやり方ではあの状況を解決することはできないと判断…したのだろう」

「……納得できない。私たちは確かに制約があるけど…そんなに弱くは…」

レンはうつむいて話す。

「…ヘルゲートの問題は…自分たちで……ということかしら…」

「うむ」

ニナとオメガは女性の真意を理解した。

「敵のコアは…頭部にあった。そこを砕けば…」

「…レン、敵を倒すことが我々の目的だろうか」

「…それは…」

オメガは厳しくも優しい眼差しをレンに向ける。

「ライフを破壊すると、おそらくここら一帯は消し飛ぶだろう」

「えっ…」

「損傷した奴の身体の中に爆破装置を確認した。爆発するかはわからないが…」

「…」

「爆破の危険を回避するため負傷者のいない方向へ誘導し、頃合いをみてニナの射撃でコアを撃つ作戦だった。もし爆破しても被害を最小限にするためキューブで防壁を展開するつもりだった」

「作戦は順調だったわ。あのまま続けていれば上手くいった……だけどあの女性はヘルゲートの問題は自分たちのやり方でけじめをつける…つまりルールを遵守したのよ」

「ヘルゲートの…ルール?」

「うむ、この書簡はおそらく親書であろ」

レンはヘルゲートの事情を知らない。
よって女性の考え方が理解できなかった。

「とりあえずこの場を離れよう」




ライフの攻撃は続いていた。
だが女性は目を閉じたままでその攻撃を躱している。
プラグによる一斉攻撃は凄まじいが女性を捕らえることはできない。


「そろそろかしらね…」


女性は複数のプラグを切断し距離をとる。
魔力を圧縮し小刀のように扱う。
一瞬怯むライフだが、すぐに別のプラグを展開させ攻撃をする。


「はぁぁぁっ」


女性の周囲は陥没し、とてつもない魔力を解放した。
黒くダークな魔力に眼は赤く染まったその異形な姿に残っていた負傷者たちは逃亡。

「お休み」

女性が手を伸ばすと真っ黒い物体がライフの頭部を破壊した。
胴が突然、警告音を発するが黒い物体が胴体をまるごと包み粉砕。

「…」

周囲の負傷者たちはその異様な戦闘スタイルに言葉を失った。

「医療班の世話になるべきだったかしらね」

魔力を解除し元の姿に戻る女性。

「負傷者はしんどいだろうけど一ヵ所にまとまって下さい。今から医療班を呼んでくるわ」



これで再生会は滅んだ。
ヘルゲートを中心に多くの部署で多方面に勢力を拡大していた組織は呆気なく壊滅した。
本部へ帰還したオメガたちはレフトを医務室へ運び、女性より預かった書簡を上層部へ提出。
そしてすぐに事情聴衆が始まる、


「ヘルゲートに属した組織が世の中を乱したことのお詫びと、今後はこういった組織は根絶する…といった内容だが…」

上層部は事態を理解していなかった。復興機関には実害が無かった為、お詫びをされても…といった感じだ。

「差出人は誰ですか」

オメガが問う。

「えーと…トップ…オブザワールド……」

「トップオブザワールド」

本当に存在するのか…。
皆、そういった感じだ。

「レフトが回復したらもう一度呼ぶので、本部で待機していて下さい」

「わかったわ」



事情聴衆をするまでもなく部屋を後にする二人。

「あの女性……オメガは心当たりがあるのかしら」

「…あれはおそらく魔力で造られた…人造人間だ…」



次回へ続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

処理中です...