26 / 41
第一章
二十五話 行方
しおりを挟む
「人造人間? 別にヘルゲートなら珍しくもないじゃない」
「言いたい事はわかる。だがそこらの実験レベルではない、より完成された人造人間だ」
「ふーん。まあ確かに感じたことのない魔力を宿していたようだったけど……負ける気がしなかった…」
「…うむ」
困惑するオメガ。
二人は歩きながらレフトの病室へ向かう。
病室にはレンがいた。
ベット、横の椅子に座り、ただレフトを見つめている。
「…あら……軍人は不在か…良かったわね」
「アレサの行方は気になるが、まずはレフトから話を聞こう」
「…まだムリよ。もう少しこのままにさせてくれないかしら」
沈黙する三人だが、レフトはムクリと起きる。
「……んっ…ここは」
その様子を見て驚きながらも、ひと安心する三人。
「良かった…レフト」
瞳が潤むレン。
ニナはゆっくりとレフトのそばに寄ると肩に一発パンチをした。
いわゆる肩パンというやつだ。
「ちょっと何をっ…」
その行動に立ち上がり、ニナにつかみ掛かるレン。
レフトはニナの真意がわかっていた。だから荒れるレンをなだめる。
冷静になったレンは手を離す。
「心配させんじゃないわよっ、あなたに何かあったら私は…」
泣きながらレフトを叩くニナ。
その姿に言葉を失うレン。
そんなレンを連れて部屋を離れるオメガ。
「ニナとレフトは家族みたいな存在なのだ」
「…家族です…か……家族って何ですか…」
「うむ。家庭を持ったことがないからよくわからないが、お互いにとって大切な人、とでもいえば伝わるかな」
「…お互いに大切な人は…恋人では?」
「すまない。答えになっていなかったな」
泣き崩れるニナを抱きしめレフトは話す。
「ニナ…ここは機関の医務室か…」
「そうよ。本部北西部で異変をあったと連絡があり緊急調査することになったのよ。すぐにあなたが関係しているとわかったわ」
「…そうか」
レフトは置いてあった水を飲む。
ニナも飲み物を手に取った。
「人は他種族やアンドロイドからみたら憧れの存在なのだろうか…」
「えっ…」
「再生会のトップは…アンドロイドだった…」
「……そう」
「そのアンドロイドは…人に憧れていたんだ」
コップを置くレフト。
リバスのことを思い出すのはつらい。
「変わってないわね」
「えっ…」
ニナはニッコリ笑う。
本人の中にあったモヤモヤが解決し、納得したようである。
「さあどうだろうね」
「…」
「種族については私にはわからないわ、だけど憧れている者と話ができたのなら、その人物は本望だったでしょうね。私はそう思うわ」
「…よくわかった。ありがとうニナ」
「ねえ、少し歩かない?」
ニナはレフトを連れ出した。
歩きながらニナはレフトに伝える。
「このままアレサを探しにいきなさい。後始末は私たちがやるわ」
「えっ、急にどうしたのニナ」
「各地で復興が進み、世の中は平和に向かっている……ように見えるけど最近は不穏な動きがあちこちでみられるわ。あなたもそれは感じるでしょう?」
「……うん、確かにそう思う」
「再生会はかなりの規模だったようだから、それが突然解体されると元構成員たちは混乱するわ。中には危険な人物もいると思う」
「…」
「そんな連中が世界を変えようと暗躍している何かと組んだりしたら……。あと、疑いたくはないけど機関の人間がそれに加担している可能性もあるわ」
「…暗躍している何かは確かに…存在いる…」
「とはいえまだ答えを出すのは早いわ。私たちは来るべき時がきたらあなたたちに知らせるわ。その時が来たら力を貸してちょうだい」
ニナはレフトを裏口へと誘導する。
「あの軍人はきっとあなたに何らかのメッセージを残しているはずよ。それを手がかりにするといいわ」
「ニナ…すまない」
「いいのよ」
機関を後にしたレフトは集落を目指した。
「…ふう……厳罰もんよね…」
独断で勝手な行動をしたニナに機関は謹慎処分となった。
沈黙状態の悪魔がいつ襲撃するかわからないシーキヨにオメガとレンは戻った。
果たしてアレサの行方は…。
また、世界で暗躍する者たちの目的はいったい…。
物語は新たな章へ。
「言いたい事はわかる。だがそこらの実験レベルではない、より完成された人造人間だ」
「ふーん。まあ確かに感じたことのない魔力を宿していたようだったけど……負ける気がしなかった…」
「…うむ」
困惑するオメガ。
二人は歩きながらレフトの病室へ向かう。
病室にはレンがいた。
ベット、横の椅子に座り、ただレフトを見つめている。
「…あら……軍人は不在か…良かったわね」
「アレサの行方は気になるが、まずはレフトから話を聞こう」
「…まだムリよ。もう少しこのままにさせてくれないかしら」
沈黙する三人だが、レフトはムクリと起きる。
「……んっ…ここは」
その様子を見て驚きながらも、ひと安心する三人。
「良かった…レフト」
瞳が潤むレン。
ニナはゆっくりとレフトのそばに寄ると肩に一発パンチをした。
いわゆる肩パンというやつだ。
「ちょっと何をっ…」
その行動に立ち上がり、ニナにつかみ掛かるレン。
レフトはニナの真意がわかっていた。だから荒れるレンをなだめる。
冷静になったレンは手を離す。
「心配させんじゃないわよっ、あなたに何かあったら私は…」
泣きながらレフトを叩くニナ。
その姿に言葉を失うレン。
そんなレンを連れて部屋を離れるオメガ。
「ニナとレフトは家族みたいな存在なのだ」
「…家族です…か……家族って何ですか…」
「うむ。家庭を持ったことがないからよくわからないが、お互いにとって大切な人、とでもいえば伝わるかな」
「…お互いに大切な人は…恋人では?」
「すまない。答えになっていなかったな」
泣き崩れるニナを抱きしめレフトは話す。
「ニナ…ここは機関の医務室か…」
「そうよ。本部北西部で異変をあったと連絡があり緊急調査することになったのよ。すぐにあなたが関係しているとわかったわ」
「…そうか」
レフトは置いてあった水を飲む。
ニナも飲み物を手に取った。
「人は他種族やアンドロイドからみたら憧れの存在なのだろうか…」
「えっ…」
「再生会のトップは…アンドロイドだった…」
「……そう」
「そのアンドロイドは…人に憧れていたんだ」
コップを置くレフト。
リバスのことを思い出すのはつらい。
「変わってないわね」
「えっ…」
ニナはニッコリ笑う。
本人の中にあったモヤモヤが解決し、納得したようである。
「さあどうだろうね」
「…」
「種族については私にはわからないわ、だけど憧れている者と話ができたのなら、その人物は本望だったでしょうね。私はそう思うわ」
「…よくわかった。ありがとうニナ」
「ねえ、少し歩かない?」
ニナはレフトを連れ出した。
歩きながらニナはレフトに伝える。
「このままアレサを探しにいきなさい。後始末は私たちがやるわ」
「えっ、急にどうしたのニナ」
「各地で復興が進み、世の中は平和に向かっている……ように見えるけど最近は不穏な動きがあちこちでみられるわ。あなたもそれは感じるでしょう?」
「……うん、確かにそう思う」
「再生会はかなりの規模だったようだから、それが突然解体されると元構成員たちは混乱するわ。中には危険な人物もいると思う」
「…」
「そんな連中が世界を変えようと暗躍している何かと組んだりしたら……。あと、疑いたくはないけど機関の人間がそれに加担している可能性もあるわ」
「…暗躍している何かは確かに…存在いる…」
「とはいえまだ答えを出すのは早いわ。私たちは来るべき時がきたらあなたたちに知らせるわ。その時が来たら力を貸してちょうだい」
ニナはレフトを裏口へと誘導する。
「あの軍人はきっとあなたに何らかのメッセージを残しているはずよ。それを手がかりにするといいわ」
「ニナ…すまない」
「いいのよ」
機関を後にしたレフトは集落を目指した。
「…ふう……厳罰もんよね…」
独断で勝手な行動をしたニナに機関は謹慎処分となった。
沈黙状態の悪魔がいつ襲撃するかわからないシーキヨにオメガとレンは戻った。
果たしてアレサの行方は…。
また、世界で暗躍する者たちの目的はいったい…。
物語は新たな章へ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる