ファンタジー/ストーリー2

雪矢酢

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第ニ章

四話 悪魔を滅ぼす者

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レフトは魔力を解放した。


「よかろう…相手にとって不足はない」


ロードはけたたましい雄叫びで応戦する。眼は血走り、ここにかつてのシーキヨ攻防の再戦が始まった。

以前より巨大化し凶悪化したロードは飛び上がり上空から黒い炎を吐き周囲を焼き払った。
さらに魔力を腕に集束させ爆破魔法をレフトのいる位置にめがけて放った。地面はえぐれ砂とほこりが舞い上がる。
怒涛の攻撃で一気に決着をつけようとしたロード。
地面に降り状況を確認する。

「……くっ…化け物め…」

魔力を発している剣が地面に刺さっており、レフトは防壁魔法を展開していたようだ。
地面からゆっくりと剣を抜き構えるレフト。

「覚悟はいいか…いくぞ」

かつてない圧を感じたロード。
レフトは宝剣を抜刀した。
魔法剣士専用らしきその刀身は燃えている。
抜刀と同時に刀が着火するようだ。
その炎を振り払いレフトはロードを攻撃した。
巨大な羽は容易く切断され、切断部分から炎上、その痛みにもがき苦しむロード。
さらにレフトは刀身を地面に向けるとロードの足は凍りついた。

「ぐああっ」

動きを封じられたロード。
さらレフトは両腕を切断し首に刃を構える。
もはやロードに抵抗する力はない。


「くっくっくっ……やはりあの時…消しておくべき…だったわ…レフトーラよ…」


その言葉を笑い、レフトはロードの首を掴み締め上げる。


「シーキヨは当時ボロボロだった。それをさらに壊滅させたのは我々の戦いだ。私たちは罪人なんだよ」

「ふっ…機関の者が国家に肩入れするわ、その国家を破壊するわでもうめちゃくちゃだなレフトーラ」


拘束を強引に解くロード。
足を自ら切断して距離をとる。
すぐに足は再生するが、幻獣の剣で切断した箇所は何故か再生されない。


「…どうやら最悪の組み合わせだな。ここまでくると運命というものを感じるぜ。悪魔は…お前に滅ぼされるってことか…」

「…もういい」

レフトは突如魔力を解除。
武装を解いた。

「んっ…どうした?」

その様子に驚くロード。
緊張感が緩み巨大化を維持できず優男に戻ってしまう。
腕はやはり再生されず満身創痍のロードはついに倒れた。


「ロード、静かに暮らすのも悪くはないよ」

「なんだと?」

「アレサの事はショックだけど…それでも…彼女のことを信じる」

「信じる?あいつはお前を騙していたんだぞ。そこに感情などない」

ヒートアップするロードに回復魔法をかけるレフト。

「おいおいっ落ち着けよロード。悪魔も、うちら人間もアンドロイドもみんな一緒なんだよ。今は理解できなくてそのうちきっとわかる」

ロードは放心状態になった。
目の前の人間は今まで見てきた人間と違う。
理解できない。

「…」

「過去はどうだったかわからないけど…なんか今を一生懸命生きている……そんな感じがした彼女を……自分の妻を信じたいんだ」


「そうかい…」


若干キャラが崩壊したロードは精神も崩壊してその場を去った。



「……ロードか…アレサと似て人間らしい悪魔だったな」




レフトの魔力は底が見えない。
ルナを吸収し絶大な力を得た悪魔を容易く撃破してしまった。
さらに本来は精神攻撃が得意なはずの悪魔、その精神を崩壊させてしまったレフトはもはや並ぶ者がいない存在だ。



休憩していたヴァンたちに合流するレフト。


「レフト様ご無事で良かった。今回復魔法を」

「大丈夫だよヴァン。それよりアレサは?」

「はい、奥様は昏睡状態です。ホープ医にみせるべきかと」

「だよね。いちょう白銀の腕輪があるけど…」

「やめておくべきです」

突然大声でレフトを制止するキバ。

「わかったよキバ」

「レフト様とも合流できたので集落まで飛びましょう」

ヴァンは準備に入るがレフトは突如剣を取り魔力を集束させた。

「レフト様?何を」

ヴァンはレフトに問う。
突然の行動にキバも驚く。

「魔力を渡す。ヴァンだけに負担させるわけにはいかない」

「レフト様…」

「おいヴァン、残党がそこまで迫っている。早いとこ頼む。レフト殿は奥様をしっかり支えて下さい」

とその時残党モンスターがこちらに気づく。
声をあげ突撃してくる。

「ちっ見つかったか…仕方ない…」

キバは剣を構える。

「時間を稼ぎます。このキバ、いつまでも精神は皆さんと一緒です。奥様とお話できなかったのは残念です…」

そう言い残しキバは抜刀する。
覚悟を決めたその意志に揺るぎはない。


「かかってこい」


モンスターの群れは一斉にキバへ突撃する。



「レフト様…」

「わかった。キバには悪いけど仕方ないね」

「…えっと……それは……どっちにでしょうか?」

「ん?…ああキバの決意と意志は立派だけど…範囲魔法でここらを凍らせればそれで……」

「そちらの方で良かったです。キバにしんがりを頼むとも受け取れたので…失礼しました」

「言葉足らずだった。申し訳ない」

「レフト様、そのようなことは…」

「うるさいわね…なんなのよ…」

「んっ」

「えっ」

なんとアレサが急に目覚めたようだ。

「レフト……」

目の前のレフトを見て感極まるアレサ。
レフトに寄りかかり涙を流す。


「…ごめんなさい…私…」


キバの戦闘は激化している。
ヴァンはレフトより魔力をパサーしてもらったので二人に城壁魔法をかけ彼の支援に向かった。


「これは回復……おい、ヴァン?」

「状況が変わったのだ。二人でこの群れを殲滅する。イケるか?」

「承知した。ならば竜化して一気に終らす」

「待てキバ。なるべく時間を…」

「んっ…何故だ」

ヴァンはアレサたちの方を指差す。
それを見て状況を把握したキバ。

「奥様が…目覚めたのか…」

「そういうことだ」




完全に二人の世界である。

「アレサ…身体は大丈夫?」

「痛いわ…でも私…」

「信じている。なにがあろうと」

「…」

「ルナはロードに吸収されてしまった」

ルナとロードの名に驚くアレサ。

「全てを……知った…のね…」

「全て?」

「…私の正体…」

「ふっ…」

笑うレフト。
それを見てカチンときたアレサ。

「何笑ってんのよっ、人が真剣な話をしているのにっ」

アレサの気持ちが高揚し城壁魔法が吹き飛ぶ。
その様子に周囲のモンスターやヴァン、キバが気づく。



ヤバい。


 
「うわまずい、アレサ落ち着いて…」


レフトはその場を離れ剣を抜刀する。
念じて、一帯に強度の陣術を展開した。アレサの闘気はシャレにならない規模で大爆発。



「……ルナが……奥様を…洗脳した理由が…わかっ…」

陣術が間に合わなかったようで被害はあったが死者はいない。
モンスターは当然だが逃亡。


「…ふう、最低限のことは…」



アレサは再び昏睡状態になった。



次回へ続く
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