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22. Two become One -1-
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心地良い陽一の声と柔らかい唇の感触に直人の頭がクラクラする。
「先輩・・僕のファーストキスを相澤先輩にあげれるなんて ・・夢みたいです」
「・・ずっとこうしたかったよ」
合わせていた額を少しだけ離した陽一に再び唇を奪われた直人の目からは、涙が零れ落ちた。陽一は、直人の目元を親指で拭う。
「橘」
「は・・ぃ」
陽一は、直人が応じる前に再びキスをすると少し緩んだ直人の口に舌を入れる。
直人は、陽一の温かい舌と息遣いに全身がとろけそうになると呼吸も忘れ、陽一から解放された瞬間に腰が崩れてしまう。陽一は直人の両脇を抱えると、ゆっくりと床に下ろし自分も床に座る。直人の交感神経が急激に作用すると身体中の水分が沸点に達し、前に座る陽一の顔がぼやけて見えた。
「橘 ・・いつか、この先にも進みたいと思っているんだけど、いい?」
「先?」
「その ・・男同士でも ・・穴を使うの?」
陽一が言う『この先』の意味を理解した直人の顔は更に赤くなると、頭頂から蒸気が上がる。
「は・・い」
「そっか ・・俺、男は経験ないし橘が教えてくれる?」
「ぼっ僕も経験ありません ・・男子も女子だって ・・相澤先輩以外好きになった人もいません」
視覚の焦点を合わせると、目の前には陽一の陽だまりのような温かい笑顔があった。
「じゃあ二人で勉強しないと進めないね。あ、でも橘がしたかったら ・・だけどね」
「し・・したいです!」
肩を竦めた直人は床に向って叫ぶと、先程までフラフラだった身体を立たせ陽一の手を取った。
「相澤先輩、来てください」
真剣な眼で見つめられた陽一は、コクリと頷くと立ち上がる。
直人は陽一の手を引きながら、アトリエを出ると家の2階への階段を上る。
2階にはドアが4つあり、直人は左側2番目のドアを開けた。
「僕の部屋です」
簡単な説明の後、ベッド横にある机の前に立つと引き出しを開けた。
その中には、本や雑誌が綺麗に並べて入っており、直人がその内の一冊を手に取ると陽一に渡す。
雑誌を受取った陽一は、表紙を見て少しだけ理解した。
「漫画? あ、これって」
「BL雑誌です」
「女子に人気ってどっかで聞いた事あるよ」
「僕、それを見て男同士のその ・・」
「俺とのSEXの仕方を勉強してくれたんだ」
「え? ち ・・違います!」
「違うの?」
「だって、相澤先輩と、こ ・・恋人になれるなんて、キス出来るなんて、夢ですら見たことが無かったから ・・だけど先輩が女性を抱くのを想像して・・僕も女だったらって ・・でも穴の場所違うし ・・色々考えてたら、その本に行き着いたんです。先輩を想いながら ・・自慰したりして、僕、変態なんです ・・今度こそ引きましたよね?」
陽一は、手にしていた雑誌を机の上に置くと、恥ずかしそうに語る直人と目を合わせる。
「ううん。嬉しいよ」
「・・相澤先輩」
「橘 ・・俺、部屋に連れ込まれちゃったし、今日このまましていいの?」
陽一の質問に直人は無言で首を縦に振る。
「橘って童貞って言ってたよね?」
「はい」
「じゃあ、卒業したいよね?」
「へ?」
「俺、男だけど、やり方教えてくれたら卒業出来るよ」
「ぼっ僕は、先輩に抱いて欲しい。僕の全てを奪って欲しい」
直人の言葉に身体が火照り始めた陽一は、自身の唇を軽く噛むと直人を抱き寄せた。
そして、背中から直人のパーカーを捲りあげ下に着ていたTシャツと共に脱がせる。次に陽一も着ていた服を脱ぐと二人とも上半身裸になった。
【ドックン】
直人は、陽一の綺麗に付いた筋肉を見て、想像していたよりも逞しい身体付きに動悸がピークに達する。
そんな直人を陽一は自分の胸元に抱き寄せた。すると、陽一の激しい心音が直人の耳に届く。陽一は、彼自身の緊張を直人に伝える事で硬くなっていた直人の身体をぼぐしたのだ。
「シャワー浴びて来る?」
陽一に耳元で囁かれる。
「だ ・・大丈夫です。先輩が来る前に済ませました。相澤先輩は?」
「俺も家を出る前に入ってきた ・・クスクス ・・二人とも期待してたんだね」
「先輩・・」
陽一の笑い声で直人の緊張が更に和らぐ。
陽一は軽く直人にキスをすると、ベッドに腰掛け直人にも座るように促した。
「橘、次はどうしたらいい?」
「先輩 ・・僕を名前で呼んでください」
「なお・と ・・直でもいい?」
自分を『直』と呼ぶ陽一の声が、心の奥深くまで染み込むと身体の隅々までとろけそうになる。
「はい。直が良いです! そんな風に呼ばれたの初めてです」
「じゃあ、俺も名前で呼んで」
「陽一さん?」
「ハハハ ・・長いね。俺も陽がいいかな」
「陽・・さん」
「うん。良い響きだね」
「陽さん、これまでも、これからも、地球で一番好きです」
「参ったな ・・直はいつでも俺が欲しい言葉をくれるね。直・・俺も大好きだよ」
「陽さん」
繰り返し陽一の名を呼ぶ直人の声は、陽一の魂に響くと、彼の凍り付いていた心を溶かし始める。また、直人も陽一の『直』と囁やく声に酔いしれた。
すると、直人の目の前に真っ白に輝く羽根が2枚ユックリと舞い降りてくる。直人がふと見上げると、そこには美しい翼を広げた2体の天使が陽一と直人を包み込んでいて、まるで二人を祝福するような微笑で黄金色輝く優しい瞳を向けていた。
「先輩・・僕のファーストキスを相澤先輩にあげれるなんて ・・夢みたいです」
「・・ずっとこうしたかったよ」
合わせていた額を少しだけ離した陽一に再び唇を奪われた直人の目からは、涙が零れ落ちた。陽一は、直人の目元を親指で拭う。
「橘」
「は・・ぃ」
陽一は、直人が応じる前に再びキスをすると少し緩んだ直人の口に舌を入れる。
直人は、陽一の温かい舌と息遣いに全身がとろけそうになると呼吸も忘れ、陽一から解放された瞬間に腰が崩れてしまう。陽一は直人の両脇を抱えると、ゆっくりと床に下ろし自分も床に座る。直人の交感神経が急激に作用すると身体中の水分が沸点に達し、前に座る陽一の顔がぼやけて見えた。
「橘 ・・いつか、この先にも進みたいと思っているんだけど、いい?」
「先?」
「その ・・男同士でも ・・穴を使うの?」
陽一が言う『この先』の意味を理解した直人の顔は更に赤くなると、頭頂から蒸気が上がる。
「は・・い」
「そっか ・・俺、男は経験ないし橘が教えてくれる?」
「ぼっ僕も経験ありません ・・男子も女子だって ・・相澤先輩以外好きになった人もいません」
視覚の焦点を合わせると、目の前には陽一の陽だまりのような温かい笑顔があった。
「じゃあ二人で勉強しないと進めないね。あ、でも橘がしたかったら ・・だけどね」
「し・・したいです!」
肩を竦めた直人は床に向って叫ぶと、先程までフラフラだった身体を立たせ陽一の手を取った。
「相澤先輩、来てください」
真剣な眼で見つめられた陽一は、コクリと頷くと立ち上がる。
直人は陽一の手を引きながら、アトリエを出ると家の2階への階段を上る。
2階にはドアが4つあり、直人は左側2番目のドアを開けた。
「僕の部屋です」
簡単な説明の後、ベッド横にある机の前に立つと引き出しを開けた。
その中には、本や雑誌が綺麗に並べて入っており、直人がその内の一冊を手に取ると陽一に渡す。
雑誌を受取った陽一は、表紙を見て少しだけ理解した。
「漫画? あ、これって」
「BL雑誌です」
「女子に人気ってどっかで聞いた事あるよ」
「僕、それを見て男同士のその ・・」
「俺とのSEXの仕方を勉強してくれたんだ」
「え? ち ・・違います!」
「違うの?」
「だって、相澤先輩と、こ ・・恋人になれるなんて、キス出来るなんて、夢ですら見たことが無かったから ・・だけど先輩が女性を抱くのを想像して・・僕も女だったらって ・・でも穴の場所違うし ・・色々考えてたら、その本に行き着いたんです。先輩を想いながら ・・自慰したりして、僕、変態なんです ・・今度こそ引きましたよね?」
陽一は、手にしていた雑誌を机の上に置くと、恥ずかしそうに語る直人と目を合わせる。
「ううん。嬉しいよ」
「・・相澤先輩」
「橘 ・・俺、部屋に連れ込まれちゃったし、今日このまましていいの?」
陽一の質問に直人は無言で首を縦に振る。
「橘って童貞って言ってたよね?」
「はい」
「じゃあ、卒業したいよね?」
「へ?」
「俺、男だけど、やり方教えてくれたら卒業出来るよ」
「ぼっ僕は、先輩に抱いて欲しい。僕の全てを奪って欲しい」
直人の言葉に身体が火照り始めた陽一は、自身の唇を軽く噛むと直人を抱き寄せた。
そして、背中から直人のパーカーを捲りあげ下に着ていたTシャツと共に脱がせる。次に陽一も着ていた服を脱ぐと二人とも上半身裸になった。
【ドックン】
直人は、陽一の綺麗に付いた筋肉を見て、想像していたよりも逞しい身体付きに動悸がピークに達する。
そんな直人を陽一は自分の胸元に抱き寄せた。すると、陽一の激しい心音が直人の耳に届く。陽一は、彼自身の緊張を直人に伝える事で硬くなっていた直人の身体をぼぐしたのだ。
「シャワー浴びて来る?」
陽一に耳元で囁かれる。
「だ ・・大丈夫です。先輩が来る前に済ませました。相澤先輩は?」
「俺も家を出る前に入ってきた ・・クスクス ・・二人とも期待してたんだね」
「先輩・・」
陽一の笑い声で直人の緊張が更に和らぐ。
陽一は軽く直人にキスをすると、ベッドに腰掛け直人にも座るように促した。
「橘、次はどうしたらいい?」
「先輩 ・・僕を名前で呼んでください」
「なお・と ・・直でもいい?」
自分を『直』と呼ぶ陽一の声が、心の奥深くまで染み込むと身体の隅々までとろけそうになる。
「はい。直が良いです! そんな風に呼ばれたの初めてです」
「じゃあ、俺も名前で呼んで」
「陽一さん?」
「ハハハ ・・長いね。俺も陽がいいかな」
「陽・・さん」
「うん。良い響きだね」
「陽さん、これまでも、これからも、地球で一番好きです」
「参ったな ・・直はいつでも俺が欲しい言葉をくれるね。直・・俺も大好きだよ」
「陽さん」
繰り返し陽一の名を呼ぶ直人の声は、陽一の魂に響くと、彼の凍り付いていた心を溶かし始める。また、直人も陽一の『直』と囁やく声に酔いしれた。
すると、直人の目の前に真っ白に輝く羽根が2枚ユックリと舞い降りてくる。直人がふと見上げると、そこには美しい翼を広げた2体の天使が陽一と直人を包み込んでいて、まるで二人を祝福するような微笑で黄金色輝く優しい瞳を向けていた。
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