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第14話: 光の神殿
しおりを挟む「光に包まれた場所か……」
翌朝、食堂で集まった
私たちは、リリスの見た夢に
ついて話し合っていた。
ナタンは真剣な表情で
地図を広げ、指を動かしながら
考え込む。
「この周辺で
“光に包まれた場所”と言えば、
可能性があるのは……」
「光の神殿かしら?」
イリーナが提案すると、
ナタンは頷いた。
「そうだな。王国の北にある
『光の神殿』は、古代から
聖地として知られている
場所だ。リリスの夢が
示しているのは、そこかも
しれない」
「光の神殿……
聞いたことはあるけど、
行ったことはないなぁ」
私は首を傾げる。
「確か、光の神殿は
今はほとんど使われて
いないはずよね?」
エリアスが補足する。
「そうだ。最近では
儀式なども行われていない。
ただ、神殿が今も強い魔力に
満ちているのは確かだ」
「じゃあ、そこに行けば
リリスの記憶が戻るかも
しれないってこと?」
私は期待を込めて
ナタンに尋ねた。
「可能性はある。ただし、
あそこは魔物が出る
危険な場所でもある。
慎重に準備をした
ほうがいい」
「魔物が出るの!?」
思わず声を上げてしまう
私に、ナタンは静かに頷いた。
「もちろん僕たちがいるから
心配するな。
でも、油断は禁物だよ」
「うん、わかった。
私もちゃんと準備する!」
私は決意を新たにする。
「それにしても……
光の神殿か。なんだか
大きな冒険になりそうね」
イリーナが少し興奮した
ように笑った。
「ただの冒険で
終わればいいが……
気を引き締めて行こう」
ナタンが地図を
畳みながら言う。
その日の午後、
私たちは準備を整え、
光の神殿へと向かう
ことにした。
魔法学園から王国の北部に
向かう道は緑豊かで
美しかったが、徐々に
人の気配が少なくなり、
不思議な静けさが周囲を
包み始めた。
「なんだか静かすぎて
落ち着かないな……」
私は辺りを
見回しながら呟いた。
「気を抜くなよ。
こういう時ほど危険が
潜んでいるものだ」
ナタンが鋭い目で
周囲を警戒する。
「リリス、大丈夫?」
私は隣を歩くリリスに
声をかけた。
「ええ……
不思議な感じがするの。
この道、初めて来た
はずなのに、懐かしい気が
するのよ」
リリスは目を細め、
遠くを見つめる。
「懐かしい?
どういうこと?」
イリーナが興味深そうに
尋ねる。
「わからない……
でも、まるで昔ここを
歩いたことがあるみたいな
気がするの」
「それは記憶が戻りかけて
いる証拠かもな」
ナタンが静かに言った。
しばらく歩き続けた私たちは、
ついに光の神殿が見える丘に
たどり着いた。
その神殿は想像以上に壮麗で、
朽ち果てた部分もあったが、
不思議な輝きが漂っていた。
「……すごい……!」
私は思わず息を呑んだ。
「まるで昔の王国の伝説
そのままね」
イリーナも感動したように
見上げている。
「ここが光の神殿….
リリス、何か思い出せそう?」
エリアスがそっと尋ねた。
「……まだわからないわ。
でも、この中に入れば、
きっと……!」
「なら、行こう」
ナタンが先頭に立ち、
私たちは慎重に神殿の中へ
と足を踏み入れた。
神殿の中はひんやりと冷たく、
静寂が支配していた。壁には
古代の文字が刻まれており、
どこか厳かな雰囲気が
漂っている。
「この文字……読める?」
イリーナが壁の文字を
指差して聞く。
「少しだけだけど、
これ……『光と闇の均衡』
って書いてあるわ」
リリスが壁に
触れながら答えた。
「光と闇の均衡?」
私は不思議そうに聞き返す。
「光と闇が互いに支え合い、
世界の調和を保つという
意味だと思うわ」
「なるほど……
光と闇が対立するだけ
じゃなく、共存するものだ
ということか」
ナタンが考え込む。
その時、突然神殿の奥から
重い音が響いた。
「今の音……?」
「何かが動いたみたいだわ!」
イリーナが身構える。
「警戒しろ! 何かが来る!」
ナタンが叫び、私たちは
周囲を見回した。
すると、神殿の奥から
光に包まれた巨大な
モフモフの神獣が姿を現した。
その神獣はまるで太古の王者の
ような風格を持ち、
金色の毛並みが光を反射して
美しく輝いている。
「すごい……
あれが光の神獣なの!?」
私は目を見開いて呟いた。
「でも……
なんだか様子がおかしいわよ!」
イリーナが鋭い声を上げる。
神獣の目が赤く輝き、
こちらを睨んでいた。
その瞳には怒りと悲しみが
入り混じっているように見えた。
「暴走しているの
かもしれない……!」
ナタンが剣を抜き、
身構えた。
「待って!
この子はきっと傷ついて
いるだけだよ!」
私は神獣に向かって
一歩踏み出した。
「アハバ、危ない!」
エリアスが止めようと
するが、私は振り向かずに
続けた。
「大丈夫だよ……怖がらないで。
私たちは敵じゃないからね」
神獣にそっと手を差し伸べると、
その目の赤い輝きが少しずつ
和らいでいくのがわかった。
「そう……
ゆっくりでいいから
心を開いて……」
神獣は静かに目を閉じ、
私の手に顔を寄せてきた。
「ふわふわ……!」
思わず感動してしまった
私を見て、イリーナが笑い出す。
「アハバ、さすがね。
こんな危険な状況で
モフモフを楽しむなんて!」
「えへへ……だって、
すごく気持ちいいんだもん!」
こうして、私たちは光の神殿で
新たな仲間―
光の神獣を得ることができた。
リリスの記憶に近づくカギは
まだ謎のままだが、これから先、
きっともっと大切な真実が
待っているに違いない。
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