[完結]恋よりモフモフ優先です! でも氷の王子が 離れてくれません

桃源 華

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第28話: ふたりの距離

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 秋の風が少し肌寒くなり
始めたある日、私はまた
タホールと一緒に学園近く
の公園を散歩していた。
彼と歩くこの時間が、
今ではすっかり私の日常の
一部となっていた。

「アハバ、
今日は少しだけ寒いな」

 タホールがそう言いながら、
コートの襟を立てた。
少し前まで、こんな風に
二人で歩くなんて考えられ
なかったけれど、
今は自然に感じられる。

「そうだね、風が冷たいけど
気持ちいいかな」

 私は笑いながら空を
見上げる。まだ明るい
空の下で、ほんのり色づいた
葉が風に揺れている。
こうした日常の一瞬一瞬が、
今ではすごく大切に思え
ていた。

「それにしても、
アハバは本当に
元気そうだな」

 タホールが私の顔を見て、
少し嬉しそうに言った。
その言葉に、私は内心ドキっ
とした。

「うん、
だいぶ元気になったよ。
タホールのおかげだね」

 私がそう言うと、タホールの
表情が少しだけ変わった。
いつもの真面目な顔が、
ほんのり柔らかくなったような
気がする。

「俺が……?」

 その声に、私は顔を
赤らめてしまった。
タホールは真面目だから、
自分が優しくしていることを
あまり意識していないのかも
しれない。でも、私には彼が
どれだけ気を使ってくれて
いるのか、よくわかる。

「うん、私が元気をもらって
るのは、タホールのせいだよ。
だって、いつも気にかけて
くれるから」

 私の言葉に、タホールは
少し顔を赤らめて、黙って歩く。

「そ、そんなことは……
俺は、ただ……」

 やっぱり、照れている
ようだった。でも、その様子が
なんだか可愛くて、私は少し
笑ってしまう。

「タホール、照れてるの?」

「照れていない」

 その返事は少し強がって
いたけれど、彼の頬が
ほんのり赤くなっているのを
見て、私は嬉しくなった。

「でも、ありがとう。
あなたがいてくれて、
本当に助かってる」

 私の言葉に、タホールは
しばらく黙って歩いていた。
静かな時間が流れる中で、
私は心の中で思った。

(タホールって、なんで
こんなに優しいんだろう)

 すると、突然タホールが
立ち止まった。

「……アハバ、
少し待っていてくれ」

 彼は急に言った。
驚いて振り返ると、
タホールは少し躊躇い
ながらも、まっすぐに
私を見つめていた。

「え、どうしたの?」

「少しだけ……
お前に言いたいことが
ある」

 タホールの目が、
今までにないくらい
真剣で、私の心臓が
ドキンと音を
立てた。

「ええと……私に
言いたいことって、何?」

 少しだけ緊張して、
私は心の中で言い聞かせる。
彼が真剣な顔をしていると、
自然に緊張してしまう。

「アハバ、
お前といると、俺は……」

 タホールの言葉が
少しずつ溢れ出し、
私の胸はその言葉を
待ちわびるように高鳴った。

「俺は、
お前と過ごす時間が
本当に大切だと思っている」

 その言葉に、
私は思わず目を見開いた。

「タホール……」

「お前と一緒にいると、
なんだか……落ち着くんだ。
普段は学園のことや、
王家のことばかり考えて
いるけれど……
お前といると、何も考え
なくていいんだ」

 タホールが
少し照れくさそうに顔を
赤くして言ったその言葉が、
私の心にしっかりと響いた。

「それって、どういう意味?」

「つまり……
俺は、お前ともっと一緒に
いたいって思っている」

 タホールが真剣に言って、
私は一瞬言葉を失った。
心の中で思わず
ドキドキしてしまう。

「タホール……」

「俺、お前のことを……」

 その瞬間、
タホールの目が少しだけ
揺れる。私の心臓がさらに
速くなる。彼の言葉を
待ちながら、私は思わず
息を呑んだ。

「アハバ、
俺は……お前を好きだ」

 その言葉が、私の胸に
深く刺さるように響いた。
心の中で何かが弾けた
ような気がして、顔が
真っ赤になってしまう。

「え……?」

「俺、お前をずっと気に
かけていた。そして、
最近お前と過ごす時間が
増えて、もっと一緒に
いたいと思うようになった」

 タホールの言葉に、
私はどうしていいか
分からなくなった。だが、
その真剣な目を見て、
私は思わず口を開く。

「タホール……
私も、あなたといると
安心する。でも、
私もまだ気持ちが
整理できていなくて」

 私は少しだけ弱気に
なったけれど、タホールは
すぐに優しく微笑んで、
私を見つめた。

「気持ちを整理する
時間が必要なら、
急ぐことはない。
お前のペースで進んで
いけばいいんだ」

 その言葉が、私の胸を
温かくした。タホールは
本当に、私に優しく接して
くれる。

「ありがとう、タホール」

 私は彼に向かって微笑み、
そのまま手を差し出した。
タホールは少し戸惑った
ように手を出し、私たちは
その手を軽く握りしめた。

「お前がその気持ちを
受け入れてくれる日が
来ることを、待っているよ」

 タホールが言った
その言葉は、私の心に
深く刻まれた。

 私はそっとタホールを
見つめ、心の中で一つ決心
した。少しずつ、彼と一緒に
歩んでいきたいと思った——。
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