[完結]おっさん、異世界でスローライフ はじめます 2 〜猫耳少女とふしぎな毎日~

桃源 華

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第五章:畑と未来と、ちょっぴり成長

第46話:リン、村の祭りで“ハーブ・フレア”炸裂!

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「さぁーて、村のハーブ祭り、
開幕だーっ!!」

レオンの号令とともに、村の広場に
わっと活気が満ちた。

露店には香り高いハーブ料理、
スイの育てた水滴つやつやのハーブ苗、ノアのやや危険な調合薬(※試飲禁止)まで勢ぞろい。そして、今回の目玉――

「ふふん……みんな、アタシの
パフォーマンス、見逃さないでよね!」

黒猫耳ツンデレ娘・リンが、どこか
得意げにポーズをキメていた。

レオンは思わず眉をひそめる。

「……おい、まさかまた“あれ”を
やる気か?」

「当然でしょ。今日はハーブの日よ? 
アタシの“ハーブ・フレア”がなくて
何の祭りよ!」

「……“畑の火葬祭”にしないで
くれよ……?」

ミュリが屋台の裏からひょこっと
顔を出す。

「にゃ? “ハーブ・フレア”って
また畑燃やすやつにゃ?」

「違っ! あれはたまたまちょっと
焦げただけよ!!」

「トマト畑まるっと炭になったにゃ」

「うるさいっ! 今日こそ成功させて
やるんだからっ!」

🐈🐾 🐾 🐾

ステージの中央に立つリン。
黒猫耳が風に揺れ、観客の猫耳たち
がざわつく。

「いよいよ始まるぞー!」

「今日は何が燃えるのかにゃ?」

「っていうか燃やす前提にゃ?」

レオンは祈るような気持ちで、
消火用の水桶を準備しつつ、
スイに小声で言った。

「最悪の場合、よろしく頼むぞ」

スイ:「……水、ぶっかける」

「頼りになるぜ……」

そして――リンがハーブの束を掲げた。

「見せてやるわよ! 黒猫の真髄、
ハーブ・フレアーーッ!!」

バチッ!

彼女が手元のハーブに火種を
近づけた瞬間、ふわりと
舞い上がる鮮やかな火花!

「うおおおおっ!? なんか
美味そうな香りしてきたぞ!」

「これ……ローストチキンの匂い
にゃ?」

「ま、まさか!?」

レオンが慌てて駆け寄ると、
ステージ上ではハーブが炎に包まれ、
確かに“香ばしい匂い”を発していた。

リン:「見たかレオンっ! アタシの
炎は、ただ燃やすだけじゃない。
香ばしさも兼ね備えているのよ!」

レオン:「そんな褒め言葉あるか!? いや確かに腹は減るけど!!」

だが。

ボボッ!!

突如、炎がハーブ台から畑の一角へ
と飛び火。

「あっ……やば――」

レオン:「はいアウトォォッ!! 
スイっ!!」

スイ:「……水、あげる」

ザッパァァァァン!!!

スイのバケツ水が炸裂し、
火元は無事鎮火。

だが……そこから立ち上がった
蒸気が村全体を包んで――

「う、うわあ……なんか、カレーの
匂いにゃ……」

「いや、これは……
ローズマリー焼きにゃ?」

「……はっ! 肉ないのに腹減ったにゃ!!」

猫耳たちが一斉におなかを鳴らし
はじめた。

ビビ:「スイの水とリンの火で……
料理の匂いが完成した!? 
これって新技じゃない!?」

ノア:「記録しておく。“香気融合
現象”……ふむ、理論化できそうだ」

レオン:「いや、理論とかより先に
確認しよう。……祭りは続行できる
のか……!?」

🐈🐾 🐾 🐾

幸い、火災にはならなかった。

むしろ村全体が“いい香り”に包まれ、
結果として集客効果が跳ね上がった
のだった。

「お客さん増えたにゃー!」

「あたしのスープ、行列できてるっ!」

「ノアの薬……もどきは売れてないにゃ!」

ノア:「“もどき”とは失礼だ。
これは科学の粋……」

レオンはしみじみと焼きおにぎり
をかじりながら、ぽつり。

「……なんだかんだで、村の祭りって
平和だよなぁ」

その横で、リンが顔を赤くして
おにぎりをもぐもぐしていた。

「な、なによ……別にレオンが褒めた
からって、うれしくないからねっ!」

「いや、褒めてないよ!? 
火事ギリギリだったんだよ!?」

「……でも、役に立ったのは事実よ」

「……まあな」

「……た、たまには……
ありがと。……ばか」

「結局デレるんかーーーい!!」

🐈🐾 🐾 🐾

こうして、炎と香りとツンデレが
入り混じる、村のハーブ祭りは無事(?)に幕を閉じたのだった。
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