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番外編
スイSP2話 スイ、無言で桶を持ち歩く
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朝。
村の道端に、静かに立つ少女の姿が
あった。
両手に大きな木桶を携え、じっと
一点を見つめている。
「おはよう、スイ。……って、
また桶持ってるのか」
レオンが声をかけるも、返事はない。
「うん、今日も元気そうでなに
よりだ」
慣れた調子で去っていこうとする
レオンに、ミュリがこっそり囁いた。
「……あの桶、今朝からずーっと
持ってるのにゃ。中、空っぽなの
にゃ」
「空っぽ!? じゃあ、なんのため
に持ち歩いてるんだ……?」
「さあ……深い理由があるのか、
ないのかすらも謎なのにゃ……」
🐈🐾 🐾 🐾
【場所:井戸のそば】
「お? スイ、井戸で水くむのか?」
スイは無言で首を横に振る。
「じゃあ、汲まないのか?」
無言で首を横に振る。
「……やるのか、やらないのか、
どっちなんだ」
レオンが混乱している横で、
ノアが静かに分析を始める。
「ふむ……これは“汲むフリ”という
高等技術。つまり井戸に
プレッシャーを与えてるのだ」
「何その謎理論!? 井戸、
メンタルあるの!?」
スイはそんな会話を聞くこともなく、
ただ桶を持って、去っていった。
🐈🐾 🐾 🐾
【場所:畑(最近できた)】
「お、スイ! その桶、
水くみ手伝ってくれるのか?」
畑を耕していたビビが声をかける
も、スイは無言で畑の真ん中に桶
を置き、去っていく。
「……これ、どうしたらいいの?
耕す? 育てる? 桶を?」
「ビビ、それ植えたらバケツの
木が生えるとか思ってないよな!?」
「ちょっと思ってた!」
「思うな!!」
🐈🐾 🐾 🐾
【場所:研究所の前(また耕さ
れた)】
ノアがスイの桶をじっと観察
していた。
「この桶、内部が……なにもない
ようで、なにもないな」
「当たり前だよ!? 空っぽだって
言ってるでしょ!」
「だが、“空っぽの可能性”が最も
満ちている状態とも言える」
「急に詩的に言って誤魔化すの
やめて!?」
🐈🐾 🐾 🐾
【場所:レオンの家】
「……で、今日はなにが起きるんだ?」
レオンが疲れたように尋ねた。
「スイが……」
「また桶持ってるのか?」
「ううん、今度は桶を並べてるの
にゃ」
「何個並べてるんだ?」
「ざっと……四十六個」
「おいそれ倉庫一棟分だぞ!?
桶で何を始めようとしてるんだ
スイ!?」
🐈🐾 🐾 🐾
【夜。広場(の端っこ)】
月明かりの下、スイが並べた
桶の間を静かに歩く。
その表情は真剣そのもの。
──その時。
風が吹いた。
桶が一斉に、カタン……と鳴った。
「……完成、なのか?」
ミュリがごくりと唾を飲む。
スイは、小さく──
ほんの少しだけ──
微笑んだように見えた。
「何が……完成したの?」
誰も答えられなかった。
ただ、レオンだけがぽつりと
呟いた。
「……この村、桶が足りなくなる
未来だけはなさそうだな
村の道端に、静かに立つ少女の姿が
あった。
両手に大きな木桶を携え、じっと
一点を見つめている。
「おはよう、スイ。……って、
また桶持ってるのか」
レオンが声をかけるも、返事はない。
「うん、今日も元気そうでなに
よりだ」
慣れた調子で去っていこうとする
レオンに、ミュリがこっそり囁いた。
「……あの桶、今朝からずーっと
持ってるのにゃ。中、空っぽなの
にゃ」
「空っぽ!? じゃあ、なんのため
に持ち歩いてるんだ……?」
「さあ……深い理由があるのか、
ないのかすらも謎なのにゃ……」
🐈🐾 🐾 🐾
【場所:井戸のそば】
「お? スイ、井戸で水くむのか?」
スイは無言で首を横に振る。
「じゃあ、汲まないのか?」
無言で首を横に振る。
「……やるのか、やらないのか、
どっちなんだ」
レオンが混乱している横で、
ノアが静かに分析を始める。
「ふむ……これは“汲むフリ”という
高等技術。つまり井戸に
プレッシャーを与えてるのだ」
「何その謎理論!? 井戸、
メンタルあるの!?」
スイはそんな会話を聞くこともなく、
ただ桶を持って、去っていった。
🐈🐾 🐾 🐾
【場所:畑(最近できた)】
「お、スイ! その桶、
水くみ手伝ってくれるのか?」
畑を耕していたビビが声をかける
も、スイは無言で畑の真ん中に桶
を置き、去っていく。
「……これ、どうしたらいいの?
耕す? 育てる? 桶を?」
「ビビ、それ植えたらバケツの
木が生えるとか思ってないよな!?」
「ちょっと思ってた!」
「思うな!!」
🐈🐾 🐾 🐾
【場所:研究所の前(また耕さ
れた)】
ノアがスイの桶をじっと観察
していた。
「この桶、内部が……なにもない
ようで、なにもないな」
「当たり前だよ!? 空っぽだって
言ってるでしょ!」
「だが、“空っぽの可能性”が最も
満ちている状態とも言える」
「急に詩的に言って誤魔化すの
やめて!?」
🐈🐾 🐾 🐾
【場所:レオンの家】
「……で、今日はなにが起きるんだ?」
レオンが疲れたように尋ねた。
「スイが……」
「また桶持ってるのか?」
「ううん、今度は桶を並べてるの
にゃ」
「何個並べてるんだ?」
「ざっと……四十六個」
「おいそれ倉庫一棟分だぞ!?
桶で何を始めようとしてるんだ
スイ!?」
🐈🐾 🐾 🐾
【夜。広場(の端っこ)】
月明かりの下、スイが並べた
桶の間を静かに歩く。
その表情は真剣そのもの。
──その時。
風が吹いた。
桶が一斉に、カタン……と鳴った。
「……完成、なのか?」
ミュリがごくりと唾を飲む。
スイは、小さく──
ほんの少しだけ──
微笑んだように見えた。
「何が……完成したの?」
誰も答えられなかった。
ただ、レオンだけがぽつりと
呟いた。
「……この村、桶が足りなくなる
未来だけはなさそうだな
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