[完結]おっさん、異世界でスローライフ はじめます 2 〜猫耳少女とふしぎな毎日~

桃源 華

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第一章:異世界でもう一度、スローライフ

第7話猫耳たちのハーブ研修会

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「みんな、集合だにゃー!!」

朝っぱらからミュリの叫び声で、
村の畑に猫耳が5つ、バラバラと
集まってきた。

「……眠い……日差しが……敵」

スイはスコップを枕に半分
寝ながら到着。

「なんか今日テンション高く
ない? 研修って、遊びじゃ
ないのー!?」

ビビは相変わらず泥まみれ。
なぜかすでに雑草と格闘した
痕跡あり。

「ふん、どーせくだらない座学
でしょ。あたしは炎と感覚で
覚えるタイプよ」

チャチャはツンツンしながら、
ハーブの苗をジロリ。

「効率的に記録しておく。今日
の目標はハーブ識別能力の向上」

ノアがボードに
「本日のテーマ:ハーブ研修会
(実技)」と書き込む。

「よーし、じゃあレオン先生、
講義開始にゃ!」

「ちょっと待て! なんで俺が
講師役になってんだ!?」

俺は本来、この村ののんびり
生活が目的だったんだ。なぜ
猫耳たち相手に“ハーブ講師”
にされてるんだ。

「だってレオン、やたら
詳しいにゃ」

「元の世界で園芸やってた
だけだって……」

「そのスキル、今こそ解放する
ときにゃ!!」

「勝手にRPGみたいなセリフ
吐くな!」

🐈🐾 🐾 🐾

「じゃあ、まずはこのハーブ。
“レモンタイム”だ。香りを
嗅いで、特徴を覚えてくれ」

「はいにゃ! ……くんくん……」

ミュリが鼻を突っ込む勢いで
嗅いだ。

「……これ、カレーに合うにゃ?」

「カレー基準やめろ」

「むむっ、これは……まさか!
 “柑橘感が攻撃力を上げる香り”
にゃ!」

「それ、効果音の話じゃない
から!」

スイが小声で、

「……これは、虫除けにも……
使える……」

「おお、スイ大正解だ。香りで
虫を遠ざける効果がある」

「すい、やるぅ~! ってことで
私はコレで雑草攻撃できる?」

「おいビビ、ハーブで戦うな」

チャチャがつんと顔をそむける。

「ふ、ふん、私は匂いなんて
嗅がなくても見ただけで……って、
なにこれ。ミントっぽくない?」

「ちがう! 違うにゃ! 
こっちは“レモンバーム”にゃ!」

「うっさい猫舌ッコ!」

「舌は関係ないにゃー!!」

ノアはその間にもメモを書き
ながら、つぶやいた。

「猫耳たちの嗅覚に誤差あり……
データ取得が必要」

🐈🐾 🐾 🐾

続いて実技。

「次は苗の植え替えをやるぞ。
根を傷つけないように……」

「わーい! やるやるー! 
よーし、この根っこ抜いて……
えいっ☆」

「ビビ!! それはスギナだ! 
ハーブじゃない! しかも根が
主役のやつだ!!」

「ええっ!? 草じゃなかった
の!?」

「草だけどな! でも違う!」

チャチャがジロリ。

「……あたしの“ハーブ・フレア”
で雑草を焼き尽くす?」

「やめろ! 火を使うな! 
畑が戦場になる!」

「ふん、じゃあ、ミュリが
失敗したらね」

「え、あたし前提にするの!? 
ひどいにゃ!」

スイが静かに水を持ってやって
くる。

「……水、あげる……」

「まだ植えてないってば! 
でもありがとう!」

🐈🐾 🐾 🐾

昼休憩。みんなが日陰でゴロ
ゴロしながらレモンバーム茶
をすする。

「レオンの畑って、ほんと
落ち着くにゃ……」

「意外と楽しかった……
虫いなければ」

「草、今日だけで15種識別
した! 天才かも☆」

「もう1クール研修が必要。
初歩レベルを突破できない者
が数名……」

「う、うるさいわね! 私は
直感型なの! 直感で動いて、
燃やして、覚えるの!」

「全部燃えたらどうやって
覚えるんだ……」

ふと、ミュリがぽそっと
言った。

「ねぇ、あたしたちって、
ちゃんと役に立ってるの
かな……?」

「え?」

「だって、レオンの畑、
全部レオンが一人でやれ
ちゃう気がするにゃ……」

その瞬間、ミュリの猫耳が
ぺたんと折れ、しっぽが
しゅるんと下がった。

あ、しょぼん状態だ。

俺は少し笑って、空を
見上げる。

「そりゃまあ、時間かければ
一人でもできるけどな。でも……」

「で、でも?」

「にぎやかな方が、断然楽しい
よ」

「レオン……!」

猫耳がぴょこんと立ち上がり、
しっぽがブンブン振り回される。
よし、回復したな。

「それに、俺のハーブ栽培より、
みんなのドタバタの方がよっぽ
ど効果ある気がするぞ。村が
活気づくしな」

「そ、それって……つまりあたし
たち、必要ってことにゃ?」

「まあ、そうなるな」

「にゃあああああん!! 
レオン大好きにゃーっ!」

「うわっ! 飛びつくな! 
熱いお茶が!」

「にゃっ!? しっぽが茶葉
に浸かって……あっつ!?」

「おまえ自分のしっぽでお茶
出すな!!」

ノア:「“ミュリ式茶葉攪拌
法”……これは記録しておく」

チャチャ:「記録しなくて
いいーっ!!」

こうして、猫耳たちのハーブ
研修会は今日もドタバタ大成功
(?)に終わった。

――そしてこの数日後、“村の
ハーブを使った新商品”が爆誕
するのだが、それはまた別の
お話である
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