[完結]おっさん、異世界でスローライフ はじめます 2 〜猫耳少女とふしぎな毎日~

桃源 華

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第二章:猫耳チームとハーブ革命

第20話ミュリ香房、再び爆誕!?

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「ふふん、ミュリ香房、リニューアルオープンにゃ!」

朝からテンションMAXのミュリが、畑の真ん中で両手を広げて叫んだ。しっぽをブンブン振り回しながら、鼻高々なドヤ顔である。

「おいミュリ、ここ畑だぞ。店じゃないぞ。あと“爆誕”って、なんか不吉な響きしかしないんだが……」

「細かいことは気にしちゃダメにゃ、レオン! 新しい香房は畑の香りとともに開くのがトレンドなのにゃ!」

「そんなトレンド聞いたことねえよ!」

レオンのツッコミもむなしく、すでに周囲にはスイが無言で水を撒いており、ノアは香草の葉を一枚ずつ検品していた。チャチャとリンはなぜか木箱でステージを組み始めている。ビビは全身泥だらけで「開店祝いの雑草!持ってきたよぉぉ!」と叫びながら走り回っていた。

「な、なんでみんなノリノリなんだ……?」

レオンは額を押さえたが、もう誰にも止められそうにない。

🐈🐾 🐾 🐾

「というわけでレオン先生! ミュリ香房、再開にゃ! 試作品第一号、ぜひ感想を!」

ミュリが差し出してきたのは、なんとも言えない色をしたハーブティー。表面にはピンクの泡がぷくぷく浮かび、スパイス臭が鼻を突く。

「……なんで泡立ってるんだ?」

「発酵にゃ!」

「それ、発酵っていうより腐敗じゃないか?」

「ちがうにゃ! ノアが調合したのにゃ! だから安全!」

ノアが横から顔を出し、メモ帳にカリカリと書き込んでいた。

「発酵による乳酸菌の働きを応用したリラックス効果のある香草茶……のはず。副作用は未確認」

「“はず”と“未確認”が一番怖いのよ!」

レオンは目をそらしつつも、皆の期待に押されて渋々一口……。

「うわぁぁぁぁぁ!」

バタン。

「レオン先生、また倒れたにゃーー!」

「やっぱり発酵しすぎだったか……要調整だな」ノアは無表情で記録を続けている。

🐈🐾 🐾 🐾

その後、レオンがなんとか目を覚ますと、ミュリが枕元に正座していた。

「ご、ごめんなさいにゃ……でも、でも! レオン先生のために新作ハーブティーを作りたかったのにゃ……」

猫耳がぺたんと折れ、しっぽがしょんぼりと下がっている。

「お、おう……まあ、お前の気持ちはありがたいけどな。でもせめて、俺が飲んでも死なない程度にしてくれ」

「はにゃ……うん、がんばるにゃ……」

そしてその夜――。

「できたにゃ!」

懲りないミュリが持ってきたのは、今度は透明なハーブティー。香りも控えめで、見た目も悪くない。

「へぇ……これはちゃんと飲めそうだな……ん?」

横からノアがボソリとつぶやく。

「それ第13試作。副作用は“笑いが止まらなくなる”可能性あり」

「え、ちょっ、それ言うの遅――」

「ハハッ、ハハハッ! アッハハハハハ!!」

「やっちまった☆」ビビが後ろでポーズをキメた。

🐈🐾 🐾 🐾

翌日。

「よし、もう香房は畑の奥に限定設置な。しかも俺の許可なしで試作品出すな」

「むぅ~、厳しすぎるにゃ~」

「その代わり、ちゃんとしたレシピを作って、定番商品にできたら販売許可を出す」

「ほんとにゃ!? やったにゃ~!」

しっぽブンブン、猫耳ピコピコ。ミュリは全開で喜びを表現する。

「やっぱりレオン先生、頼りになるにゃ! わたし、がんばるにゃ!」

「お、おう……ほどほどにな……火薬とスパイスを混ぜるのだけはやめてくれよ?」

「それは、もうやらないにゃ!(二回やった)」

「やってんじゃねえか!」

レオンのツッコミが空に響いたのだった。
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