32 / 61
第三章:村祭りと屋台戦争
第21話猫耳たちの屋台企画会議(大混乱)
しおりを挟む
「レオン、村祭りがあるにゃ!」
朝から元気にしっぽをブンブン振り回しながら飛び込んできたミュリの第一声に、レオンはスプーン片手に絶句した。
「……まだ朝のスープも飲み終わってないんだけど?」
「それどころじゃないにゃ! 村の祭りで、屋台出せるんだって! 出店にゃ! チャンスにゃ!」
「え、もしかしてそのテンション……うちも出るのか?」
「当然にゃ!」
というわけで、気づいたら我が家のリビングには猫耳娘たちが勢揃いしていた。
「議題は、“何の屋台を出すか”です」
ノアがきっちり眼鏡を上げ、ホワイトボード(なぜある)に「屋台会議」と書き殴る。いや、板に炭で書いてるだけだが。
「ハーブティー屋台でいいんじゃないか? いつも畑で作ってるし、準備も簡単だろう」
レオンの提案にミュリが即座に手を挙げた。
「却下にゃ! お祭りといえばジャンキーで刺激的なフードにゃ! 揚げ物とか串焼きとか!」
「いや、君、前回油に火をつけて爆発させたよね?」
「今回は……もっと注意するにゃ」
「いや“もっと”じゃない、ゼロを目指してくれ」
その間にもチャチャが不機嫌そうに腕を組む。
「ふん、どうせミュリが派手にやらかすのよ。私なら、“ハーブ・フレア串焼き”が出せるわよ」
「それってただの焦げた肉串じゃ……」
「うるさい! こ、これは香ばしさの演出なのよ!」
するとスイがひょっこり挙手。珍しく発言する気らしい。
「……水ヨーヨー、つくる」
「おお、それ平和! 平和な案出たぞー!」
ノアがメモを取りながら冷静に言った。
「現時点での案:爆発系料理屋台(ミュリ案)、焦げ系串屋台(チャチャ案)、水ヨーヨー(スイ案)」
「まとめ方に悪意あるにゃ!」
そこに、ビビが泥まみれで飛び込んできた。
「おまたせー! 草むしってたら地下水脈ぶち抜いたー☆」
「報告内容がもう事件なんだが……」
「ところでビビ、屋台で何がしたい?」
「え? 草の飴細工!」
「なにその地雷しかない発想!」
レオンが頭を抱える中、リンが珍しくそっと手を上げた。
「べ、別にあたしが言いたいわけじゃないけど、火の演出って、お祭りっぽくない?」
「お前も火をつけたいだけだろ!」
🐈🐾 🐾 🐾
その後も会議は白熱した。
「じゃあ! 試食できるスパイスクイズはどうにゃ?」
「不正解だったら辛いの食べるやつ?」
「違うにゃ! 不正解でも辛いやつにゃ!」
「地獄しかない!」
ノアが落ち着いた声で提案する。
「香り当てクイズも併設すると、来場者が気絶する確率が減ります」
「“減る”って何……てか前提で気絶すな!」
🐈🐾 🐾 🐾
そして最終的に、レオンが無理やりまとめた。
「よし、最終案はこれだ!」
1. 水ヨーヨー(スイ)で和みゾーン
2. 香りクイズ(ノア)で知的ゾーン
3. ミュリの“爆発しない”スパイス焼き(条件つき)
4. チャチャとリンの火加減修行ゾーン(監視員レオンつき)
5. ビビの草ステージ(何かは当日決めよう)
「わーい! やったにゃ!」
ミュリがしっぽをぐるんぐるん回して喜んでいるが、後ろの壁に当たりまくっている。
「……ミュリ、しっぽ自重」
「ご、ごめんにゃ!」
しょぼんとしながら、耳がペタンと折れてしっぽがだらんと落ちる。
「そのテンションの落差すごいな……」
「でも楽しみだにゃ、みんなで出す初めての屋台……」
ミュリがふと、ぽつりと呟いた。
レオンはその言葉に少しだけ頬を緩める。
「そうだな。どうせ出るなら、村一番のにぎやか屋台にしようぜ」
「おーっ!」
猫耳娘たちが元気に返事をして、会議はようやく終結。
ただし——
レオンの心の中には、スパイス爆発と串焼き炎上の映像が早くもチラついていた。
(……本番、大丈夫だよな?)
その問いに答える者はいない。
——混沌の屋台計画、始まる!
朝から元気にしっぽをブンブン振り回しながら飛び込んできたミュリの第一声に、レオンはスプーン片手に絶句した。
「……まだ朝のスープも飲み終わってないんだけど?」
「それどころじゃないにゃ! 村の祭りで、屋台出せるんだって! 出店にゃ! チャンスにゃ!」
「え、もしかしてそのテンション……うちも出るのか?」
「当然にゃ!」
というわけで、気づいたら我が家のリビングには猫耳娘たちが勢揃いしていた。
「議題は、“何の屋台を出すか”です」
ノアがきっちり眼鏡を上げ、ホワイトボード(なぜある)に「屋台会議」と書き殴る。いや、板に炭で書いてるだけだが。
「ハーブティー屋台でいいんじゃないか? いつも畑で作ってるし、準備も簡単だろう」
レオンの提案にミュリが即座に手を挙げた。
「却下にゃ! お祭りといえばジャンキーで刺激的なフードにゃ! 揚げ物とか串焼きとか!」
「いや、君、前回油に火をつけて爆発させたよね?」
「今回は……もっと注意するにゃ」
「いや“もっと”じゃない、ゼロを目指してくれ」
その間にもチャチャが不機嫌そうに腕を組む。
「ふん、どうせミュリが派手にやらかすのよ。私なら、“ハーブ・フレア串焼き”が出せるわよ」
「それってただの焦げた肉串じゃ……」
「うるさい! こ、これは香ばしさの演出なのよ!」
するとスイがひょっこり挙手。珍しく発言する気らしい。
「……水ヨーヨー、つくる」
「おお、それ平和! 平和な案出たぞー!」
ノアがメモを取りながら冷静に言った。
「現時点での案:爆発系料理屋台(ミュリ案)、焦げ系串屋台(チャチャ案)、水ヨーヨー(スイ案)」
「まとめ方に悪意あるにゃ!」
そこに、ビビが泥まみれで飛び込んできた。
「おまたせー! 草むしってたら地下水脈ぶち抜いたー☆」
「報告内容がもう事件なんだが……」
「ところでビビ、屋台で何がしたい?」
「え? 草の飴細工!」
「なにその地雷しかない発想!」
レオンが頭を抱える中、リンが珍しくそっと手を上げた。
「べ、別にあたしが言いたいわけじゃないけど、火の演出って、お祭りっぽくない?」
「お前も火をつけたいだけだろ!」
🐈🐾 🐾 🐾
その後も会議は白熱した。
「じゃあ! 試食できるスパイスクイズはどうにゃ?」
「不正解だったら辛いの食べるやつ?」
「違うにゃ! 不正解でも辛いやつにゃ!」
「地獄しかない!」
ノアが落ち着いた声で提案する。
「香り当てクイズも併設すると、来場者が気絶する確率が減ります」
「“減る”って何……てか前提で気絶すな!」
🐈🐾 🐾 🐾
そして最終的に、レオンが無理やりまとめた。
「よし、最終案はこれだ!」
1. 水ヨーヨー(スイ)で和みゾーン
2. 香りクイズ(ノア)で知的ゾーン
3. ミュリの“爆発しない”スパイス焼き(条件つき)
4. チャチャとリンの火加減修行ゾーン(監視員レオンつき)
5. ビビの草ステージ(何かは当日決めよう)
「わーい! やったにゃ!」
ミュリがしっぽをぐるんぐるん回して喜んでいるが、後ろの壁に当たりまくっている。
「……ミュリ、しっぽ自重」
「ご、ごめんにゃ!」
しょぼんとしながら、耳がペタンと折れてしっぽがだらんと落ちる。
「そのテンションの落差すごいな……」
「でも楽しみだにゃ、みんなで出す初めての屋台……」
ミュリがふと、ぽつりと呟いた。
レオンはその言葉に少しだけ頬を緩める。
「そうだな。どうせ出るなら、村一番のにぎやか屋台にしようぜ」
「おーっ!」
猫耳娘たちが元気に返事をして、会議はようやく終結。
ただし——
レオンの心の中には、スパイス爆発と串焼き炎上の映像が早くもチラついていた。
(……本番、大丈夫だよな?)
その問いに答える者はいない。
——混沌の屋台計画、始まる!
3
あなたにおすすめの小説
追放令嬢と【神の農地】スキル持ちの俺、辺境の痩せ地を世界一の穀倉地帯に変えたら、いつの間にか建国してました。
黒崎隼人
ファンタジー
日本の農学研究者だった俺は、過労死の末、剣と魔法の異世界へ転生した。貧しい農家の三男アキトとして目覚めた俺には、前世の知識と、触れた土地を瞬時に世界一肥沃にするチートスキル【神の農地】が与えられていた!
「この力があれば、家族を、この村を救える!」
俺が奇跡の作物を育て始めた矢先、村に一人の少女がやってくる。彼女は王太子に婚約破棄され、「悪役令嬢」の汚名を着せられて追放された公爵令嬢セレスティーナ。全てを失い、絶望の淵に立つ彼女だったが、その瞳にはまだ気高い光が宿っていた。
「俺が、この土地を生まれ変わらせてみせます。あなたと共に」
孤独な元・悪役令嬢と、最強スキルを持つ転生農民。
二人の出会いが、辺境の痩せた土地を黄金の穀倉地帯へと変え、やがて一つの国を産み落とす奇跡の物語。
優しくて壮大な、逆転建国ファンタジー、ここに開幕!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
追放された悪役令嬢、農業チートと“もふもふ”で国を救い、いつの間にか騎士団長と宰相に溺愛されていました
黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢のエリナは、婚約者である第一王子から「とんでもない悪役令嬢だ!」と罵られ、婚約破棄されてしまう。しかも、見知らぬ辺境の地に追放されることに。
絶望の淵に立たされたエリナだったが、彼女には誰にも知られていない秘密のスキルがあった。それは、植物を育て、その成長を何倍にも加速させる規格外の「農業チート」!
畑を耕し、作物を育て始めたエリナの周りには、なぜか不思議な生き物たちが集まってきて……。もふもふな魔物たちに囲まれ、マイペースに農業に勤しむエリナ。
はじめは彼女を蔑んでいた辺境の人々も、彼女が作る美味しくて不思議な作物に魅了されていく。そして、彼女を追放したはずの元婚約者や、彼女の力を狙う者たちも現れて……。
これは、追放された悪役令嬢が、農業の力と少しのもふもふに助けられ、世界の常識をひっくり返していく、痛快でハートフルな成り上がりストーリー!
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~
鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。
そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。
母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。
双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた──
前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる