[完結]おっさん、異世界でスローライフ はじめます 2 〜猫耳少女とふしぎな毎日~

桃源 華

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第四章:スパイスの旅と異世界の謎

第40話ふたりのスローライフは、旅の中にも

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「レオンー!見て見てーっ! 
このスパイス、鼻に入れると
くしゃみが十連発にゃ!」

「やめろ、ミュリ。それは完全に
危険物だ……」

 異世界の大地を馬車で旅する
おっさんレオンと、元気な猫耳少女
ミュリ。パサージュのスパイス店を
後にし、新たな村での市場開拓
(という名の食材探し)の旅に
出ていた。

「でも、このくしゃみスパイス、
スイには効かなかったにゃ。
すーんとしてた」

「たぶん、スイの鼻孔は超人的
なんだろうな」

 今日の目的地は、スローグという
温泉のある小さな村。観光ついでに
ハーブ市場を視察しようという
建前である。が――。

「……レオンさん、馬車の車輪が……」

「ノア!今は黙ってて! あたしが
代わりに言うにゃ!」

 ミュリがにゃっと飛び上がった。

「レオン!馬車の車輪が爆発四散
にゃあああああ!」

「爆発はしてない!ただ外れただけだ!」

 突如としてガクンと傾いた馬車。
草原のど真ん中で、旅は一時中断を
余儀なくされた。

🐈🐾 🐾 🐾

「まったく……ちゃんと整備して
出発しろって言ったのににゃ……」

「それ、言ったのお前だろ」

「うぐっ……」

 しょぼんとするミュリ。猫耳が
しゅんと折れ、しっぽがだらーんと
垂れた。

 その様子に、レオンは笑いを
こらえながらも優しく肩を叩いた。

「ま、こういうのも旅の醍醐味って
やつだ。おい、周囲に村とか小屋
とか……」

「――あ、あった!」

 猫耳がピコーンと立ち、ミュリが
しっぽをブンブン振って指差した。

「ほら、丘の向こうに小さな小屋が
見えるにゃ!」

「よし、助けを求めよう。変な
スパイスはしまっとけよ?」

「はーい……む、むぐ、むぐしゅっ!!」

「鼻に入れたな今!?」

🐈🐾 🐾 🐾

 小屋の中には、温厚そうな
老夫婦が住んでいた。

「まあまあ、旅の途中でトラブル
ですか。お茶でもどうぞ」

「ありがとう、助かります」

「むしろごちそう作るにゃ! 
野草でスープ作るにゃ!」

「やめろ!前回それで村の井戸が
泡立ったんだから!」

「レオンが止めなかったのが悪い
にゃ!」

「お前がスープに泡立つスパイス
入れるのが悪いんだよ!」

 ギャーギャー騒ぐふたりを見て、
老夫婦はくすくすと笑っていた。

「ふたりは……ご夫婦?」

「「違います!」」

 見事なハモり。

 しかし顔を見合わせると、
どこか照れくさい空気が流れる。

「にゃ、にゃんで赤くなってるの
にゃレオン!?」

「お、お前だってしっぽで俺の
腕撫でるのやめろ!!
くすぐったい!」

「し、知らないにゃ!
勝手に動いてるにゃっ!」

🐈🐾 🐾 🐾

 その夜、小屋の外でふたりは
星空を眺めていた。

「なあ、ミュリ」

「にゃ?」

「旅って、いいもんだな」

「うん……」

 ミュリのしっぽが、ふわりと
レオンの膝の上に乗った。

「お店も村も大事だけど、レオンと
こうやって歩いてる時間……
すごく、いいにゃ」

「……そっか。じゃあ、もう少しだけ
寄り道していこうか」

「賛成にゃ!」

 空には無数の星が広がっていた。
猫耳とおっさんの奇妙な旅は、
まだまだ続く。
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