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第五章:畑と未来と、ちょっぴり成長
第41話:村に帰還!でも玄関がスパイス臭
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「……ただいま戻りましたーっと」
「ただいまにゃー!」
ミュリの元気な声が森の中にこだました。俺たちは旅の荷車を引いて、
ようやく村へと帰ってきた。
「はー、やっぱり見慣れた家の屋根
は安心するな。遠征も楽しかったが、
疲れたぜ……」
「レオン、お腹空いたー!」
「まだ家に入ってもないのにか……?」
チャチャは荷物を背負ったまま、
ちらりと俺を見てツンとした表情。
「別に、帰ってきて嬉しいとか……
そういうんじゃないからっ!」
「いや、誰も聞いてないし」
ノアが冷静にチェックリストを
めくりながら言う。
「全員無事帰還。物資の消耗軽微。
想定以上の植物採集数。おおむね
良好」
スイが荷車の上から静かに一言。
「……水やり、したい」
「今帰ったばっかだろ!?」
ビビは、なぜか泥まみれで元気に
飛び跳ねていた。
「はあ~! やっぱ村の空気は
うまいなー! 雑草も元気だろうな~!」
「頼むから作物は引っこ抜くなよ」
そうして俺たちは、久々の我が家
猫耳ハウスに足を踏み入れた。
……が。
「――うおおおお!? くっ、これは……!」
玄関を開けた瞬間、鼻に突き刺さる
刺激臭が!
「ぐはっ……! な、なんだこの
スパイス臭っ!? 目が……
目がああああ!!」
「カレーっぽいような、インドの
土っぽいような、いや、香炉が
暴走したみたいな……!?」
ミュリが鼻をふごふご鳴らし
ながら玄関を転げ回った。
「くっ……スパイスレベル、
Sランクにゃ……!」
ノアがメモを取りながら分析する。
「これは……サリマ(スパイス魔女)
の調合ミスの香りに酷似している。
ということは――」
「誰か、留守中に入ったにゃ!?」
ビビが叫んだ。
「わー! 留守番のトトさん!?
トトさーん!!」
ドタドタと玄関奥へ駆けていくビビ。
だが、玄関の先には……
「……スパイス爆弾、起爆済みだな」
チャチャが目を細めた。
俺が恐る恐る靴を脱ぎ、
中へ入ると――
「――うおっ、床が黄色い!」
「ターメリックの海……」
壁一面にスパイスの瓶、床には
カレーの粉らしきものが散乱。
そして、キッチンでは何かが
煮えていた。
「これは……ミュリの“旅先で
買ったスパイス全部ぶち込み鍋”
では……?」
ミュリは、口元を押さえて震え
ていた。
「うぅ……やっぱり、あたし、
家の鍵、かけ忘れてたにゃ……」
「えぇぇぇぇえええええええっ!?!?」
ビビが盛大にずっこけた。
ノア:「防犯意識、皆無」
チャチャ:「村に空き巣なんて
いないけど……よりによって
スパイス泥棒……?」
「いや、むしろ『スパイス寄贈者』
じゃねえのかこれ……?」
俺は冷蔵庫の中を開けて、
さらなる衝撃を受ける。
「……全部スパイスになってる!
野菜室にパクチーとカルダモン
だけ!? どこいった俺のベーコン!!」
「犯人、絶対にサリマさん
にゃ……!」
「旅先で別れたはずだよな!?」
ノアが淡々と推測する。
「恐らく“香りの残滓”を辿って
再来訪。留守宅に侵入し、自主的
スパイス補充を行ったと推察される」
「怖すぎるよその魔女……!」
「これはもう、スパイス除霊しない
とダメにゃ」
チャチャが火をつけようとした瞬間、
ノアが制止する。
「待て。やるなら通気を確保して
からだ」
「な、なんであたしだけ放火魔扱いっ!?」
そのとき、玄関がコンコンと
叩かれた。
「お届けものです~! サリマ様
から“追加スパイスセット”の
ご依頼分でーす!」
「お届けが来たーーー!!??」
🐈🐾 🐾 🐾
結局その日は、家の全窓を全開
にして一晩換気。猫耳たちは
庭でキャンプ、俺は納屋に避難
する羽目になった。
「……はあ。久々の我が家で、
また野宿とはな……」
ミュリが焚き火のそばで、申し訳
なさそうに言った。
「ごめんにゃ、レオン……あたし、
鍵かけ忘れて、スパイスを留守番
にしちゃって……」
「まあ、お前らが無事ならそれで
いいよ。でも今度から、鍵かけ
てな?」
「うん……! スパイスには鍵つけ
ておくにゃ!」
「違う、そこじゃない」
ノア:「ちなみに、スパイスの
気化成分は今後3日間ほど残留
予定。覚悟されたし」
チャチャ:「あたし、次から
この家に火使いたくない……」
スイ:「……香り、まだする」
ビビ:「やったー☆ これで雑草
の虫も逃げるかもー!」
「それどころじゃねえ!」
こうして、村に帰還した
俺たちは――
再びスパイスに支配されること
になるのだった。
「ただいまにゃー!」
ミュリの元気な声が森の中にこだました。俺たちは旅の荷車を引いて、
ようやく村へと帰ってきた。
「はー、やっぱり見慣れた家の屋根
は安心するな。遠征も楽しかったが、
疲れたぜ……」
「レオン、お腹空いたー!」
「まだ家に入ってもないのにか……?」
チャチャは荷物を背負ったまま、
ちらりと俺を見てツンとした表情。
「別に、帰ってきて嬉しいとか……
そういうんじゃないからっ!」
「いや、誰も聞いてないし」
ノアが冷静にチェックリストを
めくりながら言う。
「全員無事帰還。物資の消耗軽微。
想定以上の植物採集数。おおむね
良好」
スイが荷車の上から静かに一言。
「……水やり、したい」
「今帰ったばっかだろ!?」
ビビは、なぜか泥まみれで元気に
飛び跳ねていた。
「はあ~! やっぱ村の空気は
うまいなー! 雑草も元気だろうな~!」
「頼むから作物は引っこ抜くなよ」
そうして俺たちは、久々の我が家
猫耳ハウスに足を踏み入れた。
……が。
「――うおおおお!? くっ、これは……!」
玄関を開けた瞬間、鼻に突き刺さる
刺激臭が!
「ぐはっ……! な、なんだこの
スパイス臭っ!? 目が……
目がああああ!!」
「カレーっぽいような、インドの
土っぽいような、いや、香炉が
暴走したみたいな……!?」
ミュリが鼻をふごふご鳴らし
ながら玄関を転げ回った。
「くっ……スパイスレベル、
Sランクにゃ……!」
ノアがメモを取りながら分析する。
「これは……サリマ(スパイス魔女)
の調合ミスの香りに酷似している。
ということは――」
「誰か、留守中に入ったにゃ!?」
ビビが叫んだ。
「わー! 留守番のトトさん!?
トトさーん!!」
ドタドタと玄関奥へ駆けていくビビ。
だが、玄関の先には……
「……スパイス爆弾、起爆済みだな」
チャチャが目を細めた。
俺が恐る恐る靴を脱ぎ、
中へ入ると――
「――うおっ、床が黄色い!」
「ターメリックの海……」
壁一面にスパイスの瓶、床には
カレーの粉らしきものが散乱。
そして、キッチンでは何かが
煮えていた。
「これは……ミュリの“旅先で
買ったスパイス全部ぶち込み鍋”
では……?」
ミュリは、口元を押さえて震え
ていた。
「うぅ……やっぱり、あたし、
家の鍵、かけ忘れてたにゃ……」
「えぇぇぇぇえええええええっ!?!?」
ビビが盛大にずっこけた。
ノア:「防犯意識、皆無」
チャチャ:「村に空き巣なんて
いないけど……よりによって
スパイス泥棒……?」
「いや、むしろ『スパイス寄贈者』
じゃねえのかこれ……?」
俺は冷蔵庫の中を開けて、
さらなる衝撃を受ける。
「……全部スパイスになってる!
野菜室にパクチーとカルダモン
だけ!? どこいった俺のベーコン!!」
「犯人、絶対にサリマさん
にゃ……!」
「旅先で別れたはずだよな!?」
ノアが淡々と推測する。
「恐らく“香りの残滓”を辿って
再来訪。留守宅に侵入し、自主的
スパイス補充を行ったと推察される」
「怖すぎるよその魔女……!」
「これはもう、スパイス除霊しない
とダメにゃ」
チャチャが火をつけようとした瞬間、
ノアが制止する。
「待て。やるなら通気を確保して
からだ」
「な、なんであたしだけ放火魔扱いっ!?」
そのとき、玄関がコンコンと
叩かれた。
「お届けものです~! サリマ様
から“追加スパイスセット”の
ご依頼分でーす!」
「お届けが来たーーー!!??」
🐈🐾 🐾 🐾
結局その日は、家の全窓を全開
にして一晩換気。猫耳たちは
庭でキャンプ、俺は納屋に避難
する羽目になった。
「……はあ。久々の我が家で、
また野宿とはな……」
ミュリが焚き火のそばで、申し訳
なさそうに言った。
「ごめんにゃ、レオン……あたし、
鍵かけ忘れて、スパイスを留守番
にしちゃって……」
「まあ、お前らが無事ならそれで
いいよ。でも今度から、鍵かけ
てな?」
「うん……! スパイスには鍵つけ
ておくにゃ!」
「違う、そこじゃない」
ノア:「ちなみに、スパイスの
気化成分は今後3日間ほど残留
予定。覚悟されたし」
チャチャ:「あたし、次から
この家に火使いたくない……」
スイ:「……香り、まだする」
ビビ:「やったー☆ これで雑草
の虫も逃げるかもー!」
「それどころじゃねえ!」
こうして、村に帰還した
俺たちは――
再びスパイスに支配されること
になるのだった。
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