[完結]不吉な双子と呼ばれた妹ですが、巫女になって兄をざまぁします〜迷信を打ち破ったら、なぜか溺愛されました〜

桃源 華

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第1章 双子の呪いと兄妹の運命

第9話 両親の急死、兄が家督を継ぐ

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それは、あまりに突然の知らせ
だった。
 神殿の祈りの間で日課を終えた
私のもとに、血の気を失った使者が
駆け込んだ。

「……領主夫妻が、狩猟の途中で
落馬され……その場で……」

 胸が凍りつく。
 耳鳴りがして、世界の音が
遠のいていく。
 まるで夢の中で誰かが他人の不幸
を語っているようで、現実感が
なかった。

☆。.:*・ ♊️ ᯓ ⭐️

 葬儀の日。
 冷たい雨が領地一帯に降りしきり、
空までもが悲しみに沈んでいた。
 黒衣に身を包んだ兄様──
アルトリウスは、民の前に毅然と
立っていた。

「父と母の無念は……この私が継ぐ。
 我が名にかけて、この地を
守り抜くことを誓う!」

 その声は震えていた。
 けれど、誰よりも強くあろうと
する気迫があった。

 領民は沈痛な面持ちで頭を垂れる。
 中には涙する者もいたが、やがて
人々の視線は──“まだ二十歳の若き
領主”に集まっていった。

☆。.:*・ ♊️ ᯓ ⭐️

 葬儀の後、神殿の小部屋で、私は
兄様と向き合った。
 燭台の炎が揺れ、兄の横顔を
照らしている。

「……セレナ。父と母は、あまりに
早く逝った」
 低く搾り出すような声。
 私はただ、首を振ることしか
できなかった。

「領地は私に委ねられた。だが……
あの噂が消えぬ限り、人々の不安は
募るばかりだ」

 兄様の瞳は、鋼のように硬く、
それでいて脆く見えた。
 私は勇気を振り絞り、口を開く。

「兄様……古文書には“絆が運命を
揺らす”とありました。
 ならば……私たちが信じ合えば、
滅びの運命だって変えられるはず
です」

 兄様はしばらく黙し、やがて
微かに笑った。
 けれどその笑みは、痛みに
縁取られていた。

「お前は希望を信じるのだな。……
だが、私は領主だ。信じるより先に、
守らねばならぬ」

 その言葉に、胸が締めつけられた。
 兄様が強がるほど、孤独に
追い込まれていくようで。

☆。.:*・ ♊️ ᯓ ⭐️

 夜、雨の残り香が漂う屋敷の
片隅で、重臣エルドランは人知れず
笑みを漏らしていた。

「若き領主……そして不吉な妹巫女。
 迷信に怯える領民……これほど
揺らぎやすい盤はない」

 闇の中、彼の手は静かに短剣を
撫でていた。
 双子を巡る運命の歯車は、
さらに速く回り始めていた。

♊️キャラクター紹介♥:.。
≡目次からどうぞ🗝

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