[完結]不吉な双子と呼ばれた妹ですが、巫女になって兄をざまぁします〜迷信を打ち破ったら、なぜか溺愛されました〜

桃源 華

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第3章 妹のざまぁ戦術

第29話 領民の裁きで兄が処刑寸前に追い込まれる

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領主館の広間には、異様な熱気が
渦巻いていた。
荒れ果てた服を着た領民たちが
押し寄せ、重苦しい声を張り上げて
いる。

「もう我慢できねぇ!」
「年貢を搾り取るだけ搾り取って、
病人も飢え死にさせるとは!」
「領主様なんざいらん!」

石の床を踏み鳴らし、怒りは波の
ように広がっていく。
玉座に座るアルトリウスは、蒼ざめ
ながらも虚勢を張っていた。

「黙れ……! 私は領主だぞ! 貴様ら
ごときが裁きを下すなど――」

しかし声は掻き消される。
群衆の中から、老人が一歩進み出た。
痩せた腕に杖を握りしめ、その目は
烈火のように燃えている。

「領主様。あなたが“領主”ならば、
我らは“領民”。
生かすも殺すも、互いの選択次第。
今日は――あなたに裁きを下す日だ」

「な、何を言う……!」
アルトリウスは後ずさった。

縄が持ち込まれ、粗末な処刑台が
広間の中央に組まれていく。
領民たちは口々に「死を!」
「罰を!」と叫び、空気は狂気じみて
熱を帯びていた。

そのとき――。

「待ってください!」

澄んだ声が響いた。
広間の扉が開き、白衣の裾を翻して
エリナが現れる。
背後には神官セリウスが控えていた。

「妹……!」
アルトリウスの目に一瞬、安堵が
よぎる。だがすぐに屈辱と恐怖が
混ざった表情に変わった。

エリナは民の前に歩み出る。
「皆さんのお怒りは当然です。兄は
領主として罪を重ねました。
けれど……どうか、彼の命を奪う前
にお聞きください」

人々のざわめきが広間を満たす。
その声を押し返すように、エリナは
告げた。

「――兄以上に、私たちを縛っている
ものがあります。
それは“迷信”です。『双子は不吉』
『家は断絶する』という根拠なき言葉が、この地を蝕んできたのです!」

広間に重い沈黙が落ちた。
人々の怒りが揺らぎ、誰もが思わず
耳を傾ける。

「兄を裁くのは、迷信のためではなく、真に彼が犯した罪のために――。
どうか、皆さん……目を逸らさないで
ください」

エリナの声は揺るがず、澄み切って
いた。
その瞬間、処刑台に縛られかけて
いたアルトリウスは、唇を噛みしめて
俯いた。

 ――裁きは目前。
けれど同時に、迷信の鎖を断ち切る
戦いが始まろうとしていた。

♊️キャラクター紹介♥:.。
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