11 / 51
第11話:獣人の未来を切り拓く!
しおりを挟む「王都である問題が
起きていてな……」
国王の言葉に、
謁見の間の空気がさらに
引き締まる。
「問題……?」
俺が問い返すと、
王の横に控えていた
家臣の一人が一歩前に出た。
「王都の商業区において、
獣人たちが経営する店の
売上が極端に落ちております。
それどころか、獣人を雇って
いる店自体が減少しつつ
あります」
「……それって、
単純な景気の問題じゃない
ですよね?」
俺がそう指摘すると、
家臣は苦々しい顔をした。
「……確かに、
一部の商人たちの間では、
獣人を雇うことが
”商売の妨げ”になるとの声
も出ております。つまり、
“獣人を使うと客が
寄りつかない”と……」
俺の中で、何かが弾ける
ような音がした。
「はぁ……」
大きくため息をつき、
俺は頭をかきむしった。
「ちょっと待てよ。
つまり、それって”獣人が
いるだけで客足が遠のく”
ってことですか?」
「……そういうことです」
くそっ、これは完全に
社会的な差別が根付いてる
証拠じゃねぇか。
でも——こういう理不尽な
問題には、俺なりの
アプローチがある。
前世での
マーケティング経験を
活かせば、状況を打開する
道が見えるかもしれない。
マーケティング的視点
での打開策
俺は少し考えてから、
口を開いた。
「まず、獣人の働く店の
”ブランド価値”を高める
ことが必要ですね」
「ブランド価値?」
家臣たちが
怪訝そうな顔をする。
「簡単に言えば、
『獣人がいることで、
むしろ客を惹きつける
仕組みを作る』ってことです」
「ほう……?」
国王も興味を示したようで、
俺の言葉を促した。
「現状では、獣人がいることで
客が減るのなら、逆に”獣人が
いるからこそ行きたくなる”
店を作る必要があります。
たとえば——」
俺は指を一本立てて、
続ける。
「獣人専門のグルメストリート
を作るのはどうでしょう?」
「グルメストリート……?」
「ええ。獣人たちは優れた
嗅覚を持っている種族も
多いですよね?
それを活かして、『獣人による
本物の美味しい料理』を
提供する場所を作るんです」
「なるほど……」
国王が顎に手を当て、
考え込んでいる。
「しかし、それで人間が
獣人の店を利用するとは
限らぬだろう?」
「そこなんですよ」
俺はニヤリと笑う。
「獣人の店を
”王都の新しい観光スポット”
にするんです」
「観光スポット?」
「ええ。たとえば
『王都でしか味わえない
特別なグルメ体験』を
打ち出して、上流階級の
貴族や商人たちに”流行”を
作らせるんです。
人間ってのは面白いもので、
“流行ってるもの”には簡単に
飛びつきますからね」
俺が前世で何度も見てきた
”ブームの作られ方”を、
この世界でも応用する
つもりだ。
「つまり、獣人の店が
『オシャレな最先端スポット』
になれば、嫌でも人間は
やってくるってことですか?」
ミュリがキラキラした目で
俺を見る。
「そういうこと」
「でも、それって簡単に
できるの?」
「まぁ、すぐには無理だけど、
少しずつやっていけば
可能だよ」
俺は更に続けた。
「例えば、王族が獣人の店を
訪れるイベントを企画するとか。
国王陛下や王族が食べに行く
となれば、それだけで
貴族たちは『私も行かなきゃ!』
ってなる」
「……ふむ、面白い」
国王はしばらく考えてから、
ゆっくりと頷いた。
「確かに、我が国の貴族たちは
流行に敏感な者が多い。
王族が後押しすれば、
それが一つの”社会的地位”
にすらなりうるかもしれぬな」
「ええ。そして次のステップ
として、『獣人の文化や特性を
生かした職業の開発』も進め
たいですね」
「職業の開発……?」
家臣の一人が首をかしげた。
「はい。例えば、獣人専用の
警備隊を作るとかどう
でしょう?」
「獣人の警備隊、だと?」
「ええ。獣人の身体能力は、
人間よりも優れた点が多い
ですよね? それなら、
王都の警備に獣人を積極的に
採用すれば、
“獣人=王国の守り手”という
イメージを根付かせることが
できます」
俺の提案に、家臣たちも
ざわつき始めた。
「確かに、獣人の身体能力は
戦闘に向いている種族も多い。
警備隊という形で公的な立場を
与えれば、彼らへの見方も
変わるかもしれませんな……」
「そう、そういうことです」
俺は大きく頷いた。
「獣人が”ただの異端者”
ではなく、“社会に必要な存在”
だと認識されれば、差別は
徐々になくなっていくはずです」
俺の話を聞いた国王は、
満足そうに微笑んだ。
「レオン殿……
そなたの考え方は、実に面白い」
「光栄です」
「では、まずは試験的に、
獣人のグルメストリートの
設立を進めるとしよう。
その成果次第では、さらに
次の段階へ進めることを
考えよう」
「ありがとうございます、
陛下!」
俺は深く頭を下げた。
ミュリを見ると、彼女は
目を輝かせていた。
「レオンって……すごいね!!」
「まぁ、前世の仕事の知識が
役に立っただけさ」
「でも……ありがとう」
ミュリは微笑みながら、
俺の袖をギュッと掴んだ。
「……?」
「だって、あたしのために、
こんなに本気になって
くれてるんだもん」
「……」
俺は少し照れ臭くなって、
頭をかいた。
「ま、まぁな。仲間だしな!」
「ふふっ♪」
こうして、俺たちは
獣人と人間の共存に向けた
第一歩を踏み出したの
だった——。
6
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【アイテム分解】しかできないと追放された僕、実は物質の概念を書き換える最強スキルホルダーだった
黒崎隼人
ファンタジー
貴族の次男アッシュは、ゴミを素材に戻すだけのハズレスキル【アイテム分解】を授かり、家と国から追放される。しかし、そのスキルの本質は、物質や魔法、果ては世界の理すら書き換える神の力【概念再構築】だった!
辺境で出会った、心優しき元女騎士エルフや、好奇心旺盛な天才獣人少女。過去に傷を持つ彼女たちと共に、アッシュは忘れられた土地を理想の楽園へと創り変えていく。
一方、アッシュを追放した王国は謎の厄災に蝕まれ、滅亡の危機に瀕していた。彼を見捨てた幼馴染の聖女が助けを求めてきた時、アッシュが下す決断とは――。
追放から始まる、爽快な逆転建国ファンタジー、ここに開幕!
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる