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第11話:獣人の未来を切り拓く!
しおりを挟む「王都である問題が
起きていてな……」
国王の言葉に、
謁見の間の空気がさらに
引き締まる。
「問題……?」
俺が問い返すと、
王の横に控えていた
家臣の一人が一歩前に出た。
「王都の商業区において、
獣人たちが経営する店の
売上が極端に落ちております。
それどころか、獣人を雇って
いる店自体が減少しつつ
あります」
「……それって、
単純な景気の問題じゃない
ですよね?」
俺がそう指摘すると、
家臣は苦々しい顔をした。
「……確かに、
一部の商人たちの間では、
獣人を雇うことが
”商売の妨げ”になるとの声
も出ております。つまり、
“獣人を使うと客が
寄りつかない”と……」
俺の中で、何かが弾ける
ような音がした。
「はぁ……」
大きくため息をつき、
俺は頭をかきむしった。
「ちょっと待てよ。
つまり、それって”獣人が
いるだけで客足が遠のく”
ってことですか?」
「……そういうことです」
くそっ、これは完全に
社会的な差別が根付いてる
証拠じゃねぇか。
でも——こういう理不尽な
問題には、俺なりの
アプローチがある。
前世での
マーケティング経験を
活かせば、状況を打開する
道が見えるかもしれない。
マーケティング的視点
での打開策
俺は少し考えてから、
口を開いた。
「まず、獣人の働く店の
”ブランド価値”を高める
ことが必要ですね」
「ブランド価値?」
家臣たちが
怪訝そうな顔をする。
「簡単に言えば、
『獣人がいることで、
むしろ客を惹きつける
仕組みを作る』ってことです」
「ほう……?」
国王も興味を示したようで、
俺の言葉を促した。
「現状では、獣人がいることで
客が減るのなら、逆に”獣人が
いるからこそ行きたくなる”
店を作る必要があります。
たとえば——」
俺は指を一本立てて、
続ける。
「獣人専門のグルメストリート
を作るのはどうでしょう?」
「グルメストリート……?」
「ええ。獣人たちは優れた
嗅覚を持っている種族も
多いですよね?
それを活かして、『獣人による
本物の美味しい料理』を
提供する場所を作るんです」
「なるほど……」
国王が顎に手を当て、
考え込んでいる。
「しかし、それで人間が
獣人の店を利用するとは
限らぬだろう?」
「そこなんですよ」
俺はニヤリと笑う。
「獣人の店を
”王都の新しい観光スポット”
にするんです」
「観光スポット?」
「ええ。たとえば
『王都でしか味わえない
特別なグルメ体験』を
打ち出して、上流階級の
貴族や商人たちに”流行”を
作らせるんです。
人間ってのは面白いもので、
“流行ってるもの”には簡単に
飛びつきますからね」
俺が前世で何度も見てきた
”ブームの作られ方”を、
この世界でも応用する
つもりだ。
「つまり、獣人の店が
『オシャレな最先端スポット』
になれば、嫌でも人間は
やってくるってことですか?」
ミュリがキラキラした目で
俺を見る。
「そういうこと」
「でも、それって簡単に
できるの?」
「まぁ、すぐには無理だけど、
少しずつやっていけば
可能だよ」
俺は更に続けた。
「例えば、王族が獣人の店を
訪れるイベントを企画するとか。
国王陛下や王族が食べに行く
となれば、それだけで
貴族たちは『私も行かなきゃ!』
ってなる」
「……ふむ、面白い」
国王はしばらく考えてから、
ゆっくりと頷いた。
「確かに、我が国の貴族たちは
流行に敏感な者が多い。
王族が後押しすれば、
それが一つの”社会的地位”
にすらなりうるかもしれぬな」
「ええ。そして次のステップ
として、『獣人の文化や特性を
生かした職業の開発』も進め
たいですね」
「職業の開発……?」
家臣の一人が首をかしげた。
「はい。例えば、獣人専用の
警備隊を作るとかどう
でしょう?」
「獣人の警備隊、だと?」
「ええ。獣人の身体能力は、
人間よりも優れた点が多い
ですよね? それなら、
王都の警備に獣人を積極的に
採用すれば、
“獣人=王国の守り手”という
イメージを根付かせることが
できます」
俺の提案に、家臣たちも
ざわつき始めた。
「確かに、獣人の身体能力は
戦闘に向いている種族も多い。
警備隊という形で公的な立場を
与えれば、彼らへの見方も
変わるかもしれませんな……」
「そう、そういうことです」
俺は大きく頷いた。
「獣人が”ただの異端者”
ではなく、“社会に必要な存在”
だと認識されれば、差別は
徐々になくなっていくはずです」
俺の話を聞いた国王は、
満足そうに微笑んだ。
「レオン殿……
そなたの考え方は、実に面白い」
「光栄です」
「では、まずは試験的に、
獣人のグルメストリートの
設立を進めるとしよう。
その成果次第では、さらに
次の段階へ進めることを
考えよう」
「ありがとうございます、
陛下!」
俺は深く頭を下げた。
ミュリを見ると、彼女は
目を輝かせていた。
「レオンって……すごいね!!」
「まぁ、前世の仕事の知識が
役に立っただけさ」
「でも……ありがとう」
ミュリは微笑みながら、
俺の袖をギュッと掴んだ。
「……?」
「だって、あたしのために、
こんなに本気になって
くれてるんだもん」
「……」
俺は少し照れ臭くなって、
頭をかいた。
「ま、まぁな。仲間だしな!」
「ふふっ♪」
こうして、俺たちは
獣人と人間の共存に向けた
第一歩を踏み出したの
だった——。
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