[完結]おっさん、異世界でスローライフはじめます 〜猫耳少女とふしぎな毎日〜

桃源 華

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第15話:開店初日! でもまさかの大ピンチ!?

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ついにやってきた
「ミュリのもふもふ
スパイス店」開店初日。

朝早くから店の前には
人だかりができている。
パサージュの完成に合わせて
店を開くと告知していたのも
あるし、獣人の少女が店主
という珍しさも手伝って、
注目を集めているらしい。

「にゃっふふ~、
なんかワクワクするにゃ~!」

店の入り口でしっぽを
ブンブン振りながら、
ミュリはご機嫌だ。

「おい、客が並んでるぞ。
ちゃんと準備できてるよな?」

「にゃ! バッチリにゃ!」

……その言葉に安心しきって
しまった俺が甘かった。



まさかの陳列ミス!?

「よーし、じゃあ開店だ!」

ミュリが扉を開けると、
待ちわびた客たちが次々と
入店してきた。

「おお、いい香りだ!」

「こんなにスパイスが
揃ってる店は珍しいな」

「お嬢ちゃん、
これはどんなスパイス
なんだい?」

「にゃふっ! 
これは香ばしくて料理に
コクを出すにゃ!」

ミュリは楽しそうに
スパイスの説明をしている。

……が、客の一人が突然、
首をかしげた。

「あれ? こっちは甘い香りが
するのに、こっちは……ん? 
なんか変な香りが混ざってる?」

「え?」

俺も確認のために棚を覗き込む。

そこには——

「……おいミュリ。スパイスの瓶、
全部ラベルが間違ってるぞ。」

「にゃ!? そんなはずないにゃ!」

「いや、どう見ても……
この“砂糖”ってラベル、
実際は塩だぞ?」

「にゃ!?」

「しかも、こっちの“唐辛子”って
書いてあるやつ……
中身はシナモンだな」

「にゃ、にゃあああ!? 
ど、どうしてにゃああ!?」

「どうしてって、お前が
並べるときに適当に
やったからだろ!」

「……」

「……」

ミュリの猫耳がしゅんと垂れ、
しっぽもだらりと垂れ下がる。

「……ご、ごめんなさいにゃ……」

「いや、今謝るより先に
やることがあるだろ!」

俺は慌てて客に声をかけた。

「すみません、ちょっとだけ
お時間をください! 
すぐに修正します!」

「お、おう。まあ初日だし、
頑張りな」

こうして、俺とミュリは
大急ぎでラベルを修正する
羽目になった。



予想外の大ヒット!?

「ふぅ……なんとか修正完了
したな……」

「あ、あんなにいっぱい並んで
ると、どれがどれか分からなく
なるにゃ……」

「普通はちゃんと確認しながら
やるもんだぞ……」

とはいえ、大事にはならな
かったし、客も怒らず待って
くれたのはありがたい。

「さて、気を取り直して
売っていくか!」

「にゃふっ!」

ミュリは元気を取り戻し、
客にスパイスを勧め始めた。

「こちらはシナモンにゃ!
 ほんのり甘くて、お菓子にも
料理にも使えるにゃ!」

「ほう、シナモンか。
試してみようかな」

「こっちはクミン! お
肉料理にぴったりにゃ!」

「へぇ、スパイスって奥が
深いんだな……」

ミュリの説明が意外にも
好評で、客が次々と
スパイスを購入していく。

……だが、そんな中、
一人の女性客が突然、
驚いた顔で声をあげた。

「ちょ、ちょっと! 
このスパイス、何!? 
すごくおいしいんだけど!!」

「にゃ?」

その女性が指差したのは、
ミュリが間違えて陳列した
「謎スパイス」。

「こ、これ……?」

俺が瓶を手に取って
確かめると、中には
オレンジ色の粉末が
入っていた。

「えっと……ミュリ、
これ何のスパイスだ?」

「……にゃ?」

「お前も分かってない
のかよ!?」

「にゃああ!? た、多分、
どこかで見つけて適当に
入れたにゃ!」

「適当!? おいおい、
それヤバいやつじゃない
だろうな……?」

「にゃ、にゃふん……?」

女性客はスプーンで
ひとつまみすくい、
慎重に口に運んだ。

すると——

「……すっごく美味しい!! 
これ、何!?」

「ええっ!?」

「えっ、ホントに!?」

「うん、なんだろう、
スパイシーだけど甘みも
あって、後からピリッと
くる感じ……!」

他の客たちも興味を
持ち始め、次々に試食を
求めた。

「これは……
意外な大ヒットの予感!?」



謎スパイスの正体は……?

「で、これって結局何なんだ?」

「にゃ~……多分、あれにゃ!」

「……あれ?」

「市場で買った時、店の人が
『これは珍しいぞ』って
言ってたスパイスにゃ!」

「おい、それを適当に
陳列するなよ!!」

「にゃふ~……
ごめんなさいにゃ……」

とはいえ、客の反応は
上々だし、売れ行きも
絶好調だ。

「まさか、
ミュリの天然ボケが
新商品の誕生につながる
とは……」

「にゃふっ、私、
天才かもしれないにゃ!」

「いや、偶然の産物
だからな!??」

こうして、
ミュリのスパイス店は
予想以上の盛況となり、
偶然生まれた新商品まで
誕生することとなった。

∴∵∴ ୨୧ ∴∵∴ ୨୧ ∴∵∴ ୨୧ ∴∵∴

次回予告!

「にゃ!? 王宮の料理長が
このスパイスを買いに
来るって!?」

「おいおい、マジか……!? 
これ、大チャンスなんじゃないか!?」

「にゃふ~! ついに
私のスパイスが世界に羽ばたく
時が来たにゃ!!」

果たして、「ミュリのもふもふ
スパイス店」の未来はどうなる
のか!?
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