[完結]おっさん、異世界でスローライフはじめます 〜猫耳少女とふしぎな毎日〜

桃源 華

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第41話:獣人と人間の共存

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商業ギルドでの交渉から
数日後、俺の店には今まで
以上に活気があふれていた。
獣人の若者たちが働き始め、
彼らのスパイスを使った
新メニューが話題を呼び、
客足が途絶えない。

「レオン、すごいにゃ! 
獣人たちもお客さんも
楽しそうにゃ!」

ミュリが店の中央で尻尾を
ゆらゆらさせながら言う。

「まぁな。こうして獣人と
人間が自然に関わる場を
作れたのは大きい。」

(でもまぁ、ここまで
くるのに色々あったな……。)

俺は獣人の若者たちが
テキパキと動く様子を
見渡しながら、胸をなで
おろした。

「レオン! 
注文、入りました!」

厨房から獣人の少年、
リオが元気よく声を上げる。

「よし、すぐ作るぞ!」

新しく開発したスパイス
入りシチューを鍋にかけ
ながら、俺はふと考える。

(このスパイスの香りが、
こうして人間と獣人の
架け橋になるなんて、
最初は想像もして
なかったな。)

「レオン! ミュリ、
お腹すいたにゃ!」

「……お前はいつも
腹ペコだな。」

「ご飯の時間は神聖にゃ!」

「はいはい。
ちょっと待ってろ。」

俺は小皿にシチューをよそい、
ミュリに渡した。

「にゃふふ~♪ レオンの料理、
大好きにゃ!」

ミュリは嬉しそうに
スプーンを持ち上げ、
一口食べる。

「……にゃっ!? 
にゃにゃにゃっ!? 
口の中でスパイスが
踊ってるにゃ!」

「それはいい反応なのか、
悪い反応なのか……。」

「いいにゃ! でも、
びっくりしたにゃ!」

(まぁ、驚くのも無理はない。
このスパイスは、温度によって
香りが変化するからな。)

そんなやりとりをしていると、
店の入り口から数人の男たちが
入ってきた。

「レオンさん、よろしいですか?」

「おう、ギルドの人たちか。」

彼らは商業ギルドの審査員たち
だった。

「実は、先日の試験的な商売の
結果について話をしに来ました。」

俺は軽く息を吸ってから、
落ち着いて答える。

「ぜひ、お聞かせください。」

審査員の一人が手元の書類を
めくりながら言った。

「結果として、獣人たちの
スパイスを扱う商売は
非常に好調です。特に、
貴族層の間での評判が良く、
すでに追加注文が入っている
状況です。」

「それは素晴らしいですね。」

「正直なところ、我々の中でも
意見が割れていました。
しかし、これだけの成果を
目の当たりにしては、もはや
反対する理由がありません。」

もう一人の審査員が頷く。

「よって、商業ギルドは正式に
獣人たちの商業活動を認める
ことを決定しました。」

「やったにゃ!」

ミュリが飛び跳ねるように
喜ぶ。

「にゃふ~♪ これで獣人たち
も自由に商売できるにゃ!」

「いや、まだ完全に自由って
わけじゃないが……
大きな前進だ。」

俺はギルドの人たちに感謝を
伝え、彼らは満足そうに店を
後にした。

(これで第一目標は達成か。
でも、まだ終わりじゃない。)

「レオン、次はどうするにゃ?」

ミュリが尻尾をふわふわ
させながら聞いてきた。

「……俺は、獣人と人間が
共存する商業都市を作る
つもりだ。」

「にゃっ!? 
しょ、商業都市!?」

「そうだ。今回の件で、
獣人たちが商売に向いて
いることは証明された。
でも、まだまだ差別や
偏見は根強い。」

「うん……ミュリも、
小さい頃は『獣人は野蛮だ』
って言われたにゃ……。」

ミュリの耳が少し
しょんぼりと垂れる。

「だからこそ、獣人と人間が
共に働き、生活できる街を作る。
それが実現できれば、
こんな問題も自然と解決する
はずだ。」

「にゃ~……
すごいこと言うにゃ、レオン。」

「まぁな。でも、これは俺だけ
じゃできない。みんなの協力が
必要だ。」

(特に、ミュリのおかげで
獣人と人間の距離が縮まった
のは大きい。)

「にゃふふ~♪ 
なら、ミュリも協力する
にゃ!」

ミュリが元気よく胸を張る。

「よし、決まりだな。」

(とはいえ、まだまだ
やることは山積みだ。
新しい市場の開拓、
商業ルールの整備、
街の安全確保……。)

「レオン、顔が難しいにゃ。
大丈夫にゃ?」

「いや、問題が多すぎて
頭が痛いだけだ。」

「にゃ~! そんな時は、
ミュリのモフモフで
リラックスにゃ!」

ミュリが自慢のふわふわ
の尻尾を俺の顔に
押し付けてきた。

「おい、やめろ……
くすぐったい!」

「にゃふふ~♪ これで
レオンも元気復活にゃ!」

俺は思わず苦笑した。

(こいつといると、
本当に気が抜けるな……。)

「まぁ、焦らずやっていくか。」

「うん! ミュリも手伝うにゃ!」

こうして、俺たちの次なる
目標「獣人と人間が共存する
商業都市」への第一歩が
始まったのだった。



次回予告!

「にゃふ~♪ 
これから忙しくなるにゃ!」

「お前はまず、ちゃんと働けよ。」

「えへへ~♪ もちろんにゃ!」

(……いや、なんか信用できない
気がするのは俺だけか?)
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