[完結]おっさん、異世界でスローライフはじめます 〜猫耳少女とふしぎな毎日〜

桃源 華

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第40話:交渉術と商売の真髄

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商業ギルドの大広間に足を
踏み入れると、周囲の視線が
一斉に俺に向けられた。

(うわぁ……
めっちゃ見られてる。
これが”新参者への洗礼”
ってやつか?)

「にゃふ~♪ すっごい
お金持ちの匂いがする
にゃ!」

「ミュリ、
そんなこと言うな。」

ミュリは興味津々な様子で、
煌びやかな服を着た商人
たちを見回していた。
彼女の無邪気な態度に、
周囲の商人たちは苦笑
しながらも少し和んだ
様子だ。

(よし、雰囲気を和らげる
ことには成功したな。)

だが、そんな中で一人だけ、
明らかに敵意を向けている
男がいた。

「ほう……またお前か。」

悪徳商人のベルガンだ。
先日、獣人の村で無茶な
取引をしていた張本人
である。

「にゃにゃっ!? 
さっきの悪徳おじさん
にゃ!」

「ミュリ、もうちょっと
オブラートに包め。」

「おぶらーと……?」

「いや、なんでもない。」

ベルガンは俺を睨みつけ
ながら、鼻を鳴らした。

「獣人の商売を認めて
ほしいだと? 笑わせるな。
そんなものがギルドで
通るわけがない。」

「それはどうかな。」

俺はゆっくりと商業ギルド
の長老たちの方へと視線を
向ける。

「今回、私は獣人のスパイス
取引の正当性を証明する
ために来ました。まずは、
このスパイスを試してみて
いただけますか?」

俺は、持参したスパイスを
テーブルに置いた。

ギルドの審査員の一人が
それを手に取り、
慎重に匂いを嗅ぐ。

「これは……非常に香りが
豊かだな。」

「にゃふふ~♪ レオンの料理
に使うと、もっとすごい
にゃ!」

「ミュリ、
ちょっと黙っててくれ。」

(この勝負、感情ではなく
論理で攻めるのが正解だ。)

俺は冷静に話を続ける。

「このスパイスの価値は、
すでに私の店で証明済みです。
実際に、王都の貴族たちの
間でも話題になっています。」

「貴族たちの間で?」

審査員たちの表情が
変わった。貴族の支持を
得ているとなれば、決して
無視できない話になる。

ベルガンは焦った様子で
口を挟んできた。

「だがな! 商売はただ良い品
を持っていれば成功する
ものじゃない! そもそも
獣人どもに商売の知識が
あるのか?」

「それなら問題ない。」

俺は書類を取り出し、
ギルドの審査員に見せる。

「獣人たちには、
すでに基本的な商取引の
教育を始めています。
さらに、私の店では、
彼らが実際の取引を学ぶ
機会を作っています。」

「う、ぐ……!」

ベルガンは言葉に詰まる。

(よし、もうひと押しだ。)

「それに、彼らが商売を
することで、市場に新たな
活気が生まれます。新しい
商材が流通すれば、それを
扱う商人も増え、経済全体の
発展につながる。」

ギルドの長老が頷いた。

「確かに……
市場の活性化は我々に
とっても重要だ。」

ベルガンは顔を真っ赤にして、
拳を握りしめた。

「ちっ……だがな! 
そんなもの、すぐに崩れるに
決まってる!」

「そう思うなら、試験的に
獣人たちに商売をさせて
みてはどうでしょう?」

「試験的に?」

「はい。一定期間、彼らに
自由な取引を認め、
その成果をギルドが評価する
形です。もし成功すれば、
正式に商業ギルドの一員
として認める。」

審査員たちは顔を見合わせた。

「……面白い案だ。」

「やってみる価値はあるな。」

「しかし、ベルガンの意見も
分かる。簡単には認められん。」

ベルガンは勝ち誇ったように
笑った。

「そうだろう! なら、
獣人の商売が成り立たなかった
場合、その責任はどうする?」

俺はゆっくりとベルガンを
見据えた。

「その場合は……
俺が責任を取る。」

「なっ……!?」

「にゃにゃっ!? レオン、
それって大丈夫にゃ!?」

(もちろんリスクはあるが、
それでも獣人たちに道を
開くチャンスを逃すわけ
にはいかない。)

俺は静かに微笑んだ。

「レオン、
すごいにゃ……。」

ミュリはキラキラした目で
俺を見ていた。

(いや、お前はもうちょっと
心配しろよ……。)

審査員の一人が頷いた。

「分かった。それなら、
試験的に獣人たちの
商売を認めよう。」

「ありがとうございます。」

ベルガンは悔しそうに
歯ぎしりしたが、もはや
反論できる状況では
なかった。

(よし……これで
第一関門は突破だな。)

しかし、ベルガンはただでは
引き下がらなかった。

「だがな……お前が責任を
取ると言った以上、俺は
徹底的にその商売の穴を
探らせてもらうぜ?」

「……好きにしろ。」

(これはまだ、序章にすぎない。
だが、獣人たちの未来のために、
俺は負けるわけにはいかない!)



次回予告!

「にゃふ~♪ 
レオン、かっこいいにゃ!」

「まぁ、まだ問題は
山積みだがな。」

「でも、大丈夫にゃ! 
レオンがいれば、きっとみんな
幸せにゃ!」

「お前はほんと、呑気だな……。」

俺はミュリのふわふわの耳を
軽く撫でながら、次の戦いに
向けて気を引き締めるのだった。
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