振り向いてよ、僕のきら星

街田あんぐる

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第23話 堕天使のコード

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「中身はなんだと思う?」
「え~!? なんだろな!?」
 僕が大袈裟にはしゃぐと衣真くんはキャッキャッと笑ってくれる。大好きなひととならどんな茶番だって楽しい。
「古書 ときわ」のロゴマークが入った手提げ袋を開けて、ブックカバーのかかった本を開いて、タイトルを確認する。
「わ! 図書館で借りて気に入ったけど絶版でプレミア付いてて買えなかった本だ! どうして欲しいって分かったの?」
 僕が説明口調の茶番を続けると、衣真くんは明るくケラケラ笑う。
「早暉くんがお誕生日に欲しいって教えてくれたからだよ!」
「そうだね。僕がお会計をしてカバーをかけて袋に入れたんだったね」
 衣真くんに誕生日に欲しいものを訊かれて、付き合って3ヶ月だし、僕の誕生日は12月3日だけど12月にはクリスマスもあるし、予算は5千円くらいかな、と絶版本を挙げたら、衣真くんは意気揚々と僕のバイト先の古書店にやってきて僕の目の前で店主の佐々木さんに注文し出したから笑ってしまった。
「ありがとう。大事にするよ」
 僕が衣真くんに欲しいと言ったのは本だけだ。だが衣真くんは今日、僕の家に大きな紙袋を持ち込んでいる。それに関する説明は、まだない。お誕生日ディナーと称してちょっといいバルに集合したときから気になっていた。
「ねえ早暉くん。そろそろお風呂で準備する?」
 口をキュッとする笑い方で、お茶目な目つき。もー、衣真くんったらえっちが好きなんだから! 
 もちろん断る理由なんかない。衣真くんが先にお風呂を使うというので譲ると、ササッと例の紙袋を持ち込んだ。何が入っているんだろう。ローション? それともプレイに使うもの? 衣真くん、僕の誕生日のためになんらかのプレイの準備をしてきてる?
 お風呂に入ってる音がうっすら聞こえる。付き合う前は、こんな綺麗なひとに性の手つきで触れていいのか、なんて思ってた。何も知らないんじゃないかとまで思っていた。全然そんなことなくて、衣真くんは僕とのセックスを楽しんでくれる。「楽しいね」って言ってくれるんだ。そんな幸福なことがあるだろうか?
 僕はちょっと衣真くんを神聖視しすぎてるかもしれないな。衣真くんだって20代の男で、相応に、いや人並み以上に旺盛に性欲があって、ヒゲも生えるし夏場のすね毛の処理に悩んでるし、大汗をかけば20代の男なりに汗臭い。それも愛しくて、恋人だから見られる等身大の衣真くんもたくさんたくさん愛していかなきゃ——
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