1 / 19
序章
1.とある島の因習と歴史【語】
しおりを挟む
夏の新月の夜。とある島では十年に一度、深更に祭りが行われる。島の守り神である清祇と、五体の神使の祠を巡る祭りが……。
白い着物と袴姿の、捧姫と呼ばれる美しい女性が、下駄を鳴らしながら島の中をゆっくりと歩く。捧姫の手首と胴は縄で繋がれており、彼女の身体は微かに震えている。
捧姫の前後左右には蔵面をつけた黒い着物姿の男が五人おり、松明の明かりを頼りに、彼女と共に祠がある方へと進んでいく。
一つ目の祠に着くと、蔵面の男達は捧姫の両目をくり抜いた。叫ぶ捧姫を引きずるように、男達は次の祠へと彼女を連れて行く。そこでは捧姫の両耳を削ぎ、三つ目の祠では指を全て切り落とす。捧姫がどれだけ暴れようと、男達は無理やり四つ目の祠まで彼女を連れて行き、鼻を削ぎ落す。五つ目では舌を引き抜き、例え捧姫の命が絶えようと、最も大きな祠まで運ぶ。
そこには島民全員が集まっており、彼らの目の前で捧姫の身体は炎に包まれ、骨になるまで燃やされる。
捧姫に選ばれるのは大抵、少し特殊な能力を持つ女性や少女だった。
最初の祭りで犠牲になった女性は千里眼が使えた。二度目の祭りでは治癒能力のある少女が選ばれるが、逃げ出した彼女が海に落ちた事で、代わりに多くの女性が犠牲になる。
この祭りはおかしいと異議を唱え、捧姫に選ばれた少女や女性を助けようとした者達もいたが、裏切者として島民に消された。旦那に売られた女性はその憎しみから島の男達を利用して、祭りそのものを終わらせようとしたが、上手くはいかなかった。歪んだ愛と癖を持った男に目をつけられ、祭りの騒ぎに乗じて殺された女性いる。
前回の祭りでは、四人の少年少女が島から脱出しようとするも失敗し、その半数が命を落とした。
そしていつしか神使にも名前がつき、悪しき風習は島民の都合で更に捻じ曲がり、次の世代へと伝承されていく。また、時の流れと共に、不可解な出来事が起こるようにもなる。だが、島民達は原因を追究する事なく、『清祇様がお怒りだ』と騒ぎ立て、次の祭りで捧姫の人数を増やすだけだった。
そうやって必ず誰かが命を落とす、恐ろしい祭りは既に百年以上も続いている。
神だけがいない、この石更島で――。
白い着物と袴姿の、捧姫と呼ばれる美しい女性が、下駄を鳴らしながら島の中をゆっくりと歩く。捧姫の手首と胴は縄で繋がれており、彼女の身体は微かに震えている。
捧姫の前後左右には蔵面をつけた黒い着物姿の男が五人おり、松明の明かりを頼りに、彼女と共に祠がある方へと進んでいく。
一つ目の祠に着くと、蔵面の男達は捧姫の両目をくり抜いた。叫ぶ捧姫を引きずるように、男達は次の祠へと彼女を連れて行く。そこでは捧姫の両耳を削ぎ、三つ目の祠では指を全て切り落とす。捧姫がどれだけ暴れようと、男達は無理やり四つ目の祠まで彼女を連れて行き、鼻を削ぎ落す。五つ目では舌を引き抜き、例え捧姫の命が絶えようと、最も大きな祠まで運ぶ。
そこには島民全員が集まっており、彼らの目の前で捧姫の身体は炎に包まれ、骨になるまで燃やされる。
捧姫に選ばれるのは大抵、少し特殊な能力を持つ女性や少女だった。
最初の祭りで犠牲になった女性は千里眼が使えた。二度目の祭りでは治癒能力のある少女が選ばれるが、逃げ出した彼女が海に落ちた事で、代わりに多くの女性が犠牲になる。
この祭りはおかしいと異議を唱え、捧姫に選ばれた少女や女性を助けようとした者達もいたが、裏切者として島民に消された。旦那に売られた女性はその憎しみから島の男達を利用して、祭りそのものを終わらせようとしたが、上手くはいかなかった。歪んだ愛と癖を持った男に目をつけられ、祭りの騒ぎに乗じて殺された女性いる。
前回の祭りでは、四人の少年少女が島から脱出しようとするも失敗し、その半数が命を落とした。
そしていつしか神使にも名前がつき、悪しき風習は島民の都合で更に捻じ曲がり、次の世代へと伝承されていく。また、時の流れと共に、不可解な出来事が起こるようにもなる。だが、島民達は原因を追究する事なく、『清祇様がお怒りだ』と騒ぎ立て、次の祭りで捧姫の人数を増やすだけだった。
そうやって必ず誰かが命を落とす、恐ろしい祭りは既に百年以上も続いている。
神だけがいない、この石更島で――。
0
あなたにおすすめの小説
会社員の青年と清掃員の老婆の超越した愛
MisakiNonagase
恋愛
二十六歳のレンが働くオフィスビルには、清掃員として七十歳のカズコも従事している。カズコは愛嬌のある笑顔と真面目な仕事ぶりで誰からも好かれていた。ある日の仕事帰りにレンがよく行く立ち飲み屋に入ると、カズコもいた。清掃員の青い作業服姿しか見たことのなかったレンは、ごく普通の装いだったがカズコの姿が輝いて見えた。それから少しづつ話すようになり、二人は年の差を越えて恋を育んでいくストーリーです。不倫は情事かもしれないが、この二人には情状という言葉がふさわしい。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる