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山々が見えるようになっておりました。その光景を見た時、まるで自分が小人になってしまったかのような錯覚を覚えた私は思わず苦笑してしまったのですがすぐに気を取り直して歩き出すことにしました。そうしてしばらく歩いている内に段々と気分が良くなってきたこともあって足取りも軽やかになってきたように感じた私は鼻歌を歌いながらスキップするように飛び跳ねていましたら不意に後ろから声をかけられたような気がして振り返ってみたところそこに立っていた人物を見て驚いてしまいました。何故ならそこにいたのは何とリリィールだったからです。
彼女の姿を見た途端反射的に身構えてしまった私でしたがそれを見たリリィールは少し困ったような表情を浮かべた後でこう言ってきました。あの、そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ……?と。そう言われて初めて自分が無意識のうちに臨戦態勢に入っていたことに気づいた私はハッと我に返った後で謝罪の言葉を口にすると共に頭を下げて謝った後で改めて自己紹介をすることになりました。
それからお互いに簡単な挨拶を済ませた後で本題に入ることになったのですが、どうやら彼女は私に用があってここに来たようなのです。何でも、先日の件でお話があるのでついて来て欲しいということでしたので特に断る理由もなかったので了承することにした私は言われるままについていくことになったのですがその際ふと気になったことがあったので聞いてみることにすることにしました。
というのも私が今着ている服はどう見てもサイズが合わないはずなのにどうやって用意したのかという疑問があったからです。そのことを尋ねてみたら返ってきた答えはこうでした。実はですね、以前私が着ていた服を仕立て直して再利用していたんですよと言われてしまいましたがそれを聞いて納得した反面なんだか申し訳ない気持ちになってしまいましたが当の本人は全く気にしていない様子でしたし寧ろ喜んでくれているようでしたのでホッと胸を撫で下ろしつつ感謝の言葉を述べることにしました。するとそれに対して笑顔で応えてくれた彼女に不覚にも見惚れてしまいそうになったところをグッと堪えてから平静を装って歩き続けること数分の後に到着した場所は街の中心部に位置する大きな建物の前でした。そこはこの街で一番偉い人が住んでいる場所だと聞いていたのでてっきり立派なお屋敷のようなところを想像していたんですが実際には違いましたね……というかこれって教会ですよね?そう思ってリリィールに確認してみるとやはりその通りだったようです。なんでも、ここは孤児院の役割も果たしているらしく身寄りのない子供達を引き取って育てているという話だったので驚きましたけど同時に納得できた部分もありますね。何せこんな辺鄙な場所に暮らしている理由を考えれば当然といえば当然のことですからね。ですがそうなると気になることが出てくるわけですよはい。一体どんな人達がいるんだろうとか何人くらいの子供がいるのかなぁーとかそういうことを考えてしまうのは当然だと思うんですよね!というわけで早速中に入ってみようと思うんですがここでふと気づいたことがあります。それは何かと言いますとこの建物って見た目以上に大きいということですね!はい!そうですね!その通りですね!いやーそれにしても凄いですよこれ!何がってそりゃあもう全部がですけどね!例えばこのエントランスホールの広さと言ったらそれはもう半端ないですし天井の高さなんて軽く十メートルくらいはありそうな感じですしおまけに床面積も滅茶苦茶広いですから下手したらそこらの体育館よりも広そうですしそれに加え
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