上 下
84 / 110

84

しおりを挟む
んというか予想通りの反応だったので苦笑いするしかなかった。何故なら二人が怒っている理由というのが先程の地震のことだったからだ。というのも、この花畑の周囲には結界が張られているらしく余程のことが無い限り揺れないようになっているらしいのだが今回はそれが破られていたため不審に思った二人が様子を見に来たというわけだそうで、そのことを知った私は素直に謝ることにした。というのも、今回の一件は私のせいだったからだ。というのも先程行った行動というのは地盤改良のために地面を掘っていたからである。その結果として振動が発生してしまったのだが、そもそもの話あれは本当に地盤改良だったのかと言われると自信を持ってイエスとは言えないところがあるわけで正直なところ自分でもよく分かっていない部分があったりするのだがそれでも何かしらの成果はあったのではないかと思っている次第だったりする。そのため、あまり偉そうなことは言えない立場にいるわけだがその辺りについては目を瞑ってもらうしかないだろうと考えている私だったがそれはそれとして今はこの場を切り抜ける方法を考えなければならない状況に陥っていることは確かだったとはいえどう説明したものかと考えていたその時だった──不意に肩を叩かれたことで振り向くとそこにいたのはリリィールだった。彼女は無言で首を振るだけで何も言おうとはしなかったが私には何となく言わんとしていることが分かった気がしたためそれ以上は何も聞かなかったし言えなかった。
「……はぁ……わかったわ。ちゃんと説明するから聞いてちょうだい」
そう言って溜息を吐くと二人に向き直って話し始めた。「実はね──」
「──なるほどね……そういうことだったのね……」説明を聞き終えた二人は納得した様子を見せていたがその一方でどこか腑に落ちないような表情をしていたので不思議に思っているとその理由はすぐに判明した。「でもさぁ、それってつまりアンタが原因ってことじゃないの?」そう言ってきたのはレオンでそれに続くようにしてノエルも口を開いた。「確かにそうよね」「え?どういうこと?」意味が分からず首を傾げていると二人は呆れた様子で説明してくれた。なんでも、私がやった行為は地脈を弄ることで土壌中の魔素の流れを変化させるというものでありそれによって起きた現象だと思われるということらしかったのだが正直言ってちんぷんかんぷんだったのは言うまでもないことだろうと思う。それからしばらくの間、色々と考えてみたものの結局結論は出なかった。それどころか、考えれば考えるほど分からなくなってくる始末で途方に暮れているとそこでリリィールが助け舟を出してくれたおかげでどうにか事なきを得たというわけである。そんなわけで今現在、私達はリリィールの家へと戻ってきていた。ちなみに、例の地下室はそのまま放置してある状態だ。
「それにしても、まさかあんな方法で解決しちゃうだなんて思わなかったよねぇ~」
しみじみとした口調で言う彼女に同意するように頷く私に対して、当の本人であるリリィールは不思議そうな顔をしていたもののすぐに笑顔になるとこう言ったのである。
『お役に立てて良かったです!』その言葉を聞いた瞬間、不覚にもドキッとしてしまった私であったがそれを悟られないように平静を装っていると彼女は続けてこんなことを言ってきた。『それに、私も楽しかったですし』
「えっ……?」意外な発言に驚く私をよそに彼女は続けた。『だって、こんな経験初めてでしたから……』恥ずかしそうに頬を赤らめながら言う彼女を見ているとこっちまで恥ずかしくなってきた私は慌て
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

惚れた男は根暗で陰気な同僚でした【完結】

恋愛 / 完結 24h.ポイント:78pt お気に入り:107

婚約破棄を宣告された公爵令嬢は猶予をもらった。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,763pt お気に入り:113

女は演じています 《※R18》

恋愛 / 完結 24h.ポイント:113pt お気に入り:131

チートな親から生まれたのは「規格外」でした

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,100pt お気に入り:521

冒険者ギルドの回復術師は、聖女である私だけ!?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,846pt お気に入り:40

処理中です...