扉を開けたらそこは異世界

さやかとゆうきの母

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相続した家の扉の秘密

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「ちょっと、起きなさいよ」

 甲高い女の子の声。
 なんだよ、うちには女の子はいないはずだろ。
 確か、この家に住んでいるのは住み込みの家政婦である古多さんと僕の二人だけのはず。


 ゆっくりと瞼を開けるとそこに美少女がいた。
「やっと起きた」

 腕を組んで寝ている僕を見ているのはアイリア。
 見た目、普通の女の子だけど、普通じゃない。名前からして日本人じゃないけど、この世界の人間でもない。
 いわゆる、異世界からきた少女なのだ。

 そんな彼女がなんで、僕の部屋にいるかというと話は数か月に遡るさかのぼ

「はぁ、」
 その家を見て僕は思わず、ため息をついた。
「ここがこれから僕の家か」

 大学卒業する少し前、祖母が死んだ。
 そして、祖母の遺産は唯一、血のつながった僕が相続することになったのだ。

 僕は榊一郎、家族構成、親父と親父の後妻に後妻が生んだ一つ下の弟がいる。

 ちなみに父は榊家の婿であり、相続権はない。
 ただ、榊家は祖父の代から病院をやっていて優秀な医師であった父は母と結婚して院長になっただけの話である。

 なので、僕が祖母の遺産を相続するのは当然な話。

 祖母が僕に残したのは街に幾つかの不動産物件、それに山が一つ。
 思っていた以上に資産があり、父の後妻はかなり不満があったようだ。
 だが、父が婿養子で血のつながりがあるのが僕一人という弁護士の言い分に黙るしかなかった。

 それに僕も成人しているから今更、財産管理を親がやらなくてもいい。

 不満があるので祖母の葬式に参加したのは僕一人だった。父も病院が忙しいということでこなかった。

「一郎坊ちゃま、お久しぶりです」

 祖母の葬儀一切を取り仕切ったのは昔から榊家に仕えてくれる古田さんという家政婦だ。
 彼女は僕も小さい頃から面倒を見てもらっている。髪をひっつめにした女性で年は多分、50歳は超えていると思う。
 でも、昔から幾つかよくわからない年齢不詳の女性である。

 祖母は山の中にある洋館で古田さんと二人で暮らしていた。

「とりあえず、荷物はお部屋に運んでおきますね」
 古田さんに荷物を任せて、僕はリビングでくつろぐことにした。

 この家は中学生まで暮らしていた。
 僕の母は僕が5歳の時に亡くなった。なので、写真の中だけの面影しかない。
 しかも、親父は母が亡くなって一年もしないうちに後妻を迎えた。

 それだけではなく、後妻になった女性には4歳になったばかりの男の子がいた。ちなみに親父の子である。
 つまり、親父は母がいたのに他の女性に手を出して子供まで産ませていたのだ。

 母は病院の一人娘だった。
 祖父が亡くなったので優秀な医師であった親父を婿養子にして病院を継いだわけだ。
 母が亡くなり、愛人を妻に迎えた親父は実質上、榊病院を乗っ取ったのだ。

 祖母は怒り、僕は祖母の元で育てられることになった。
 さすがに山の中から中学に行くのは大変なので、祖母も山のふもとのマンションに居を移した。
 といっても、祖母は街に幾つか不動産物件を持っていたのでそのマンションも祖母の持ち物であった。

 高校になってから僕は一人暮らしを始めた。

 祖母は再び、山の館に戻ったからだ。

「全く、おひさまはあんなに高いのにいつまで寝ているのよ」
 ぷくっと頬をふくらませているアイリア。

「悪かったな、仕事で徹夜していたんだよ」
 古田さんにブラックコーヒーを入れてもらった僕は言い訳をするように答えた。
 うー、まだ寝たりなくて頭ががんがんする。

「仕事?イチローったら何の仕事をしているのよ」
「物書きだよ。やっと、締め切りに間に合ってこれで寝れると思ったのに」

 ごくっ。
 流石にブラックだけあって苦いな、このコーヒー。

「坊ちゃまはネットで小説を書いているんですよ。それに何冊か本を出していらっしゃいます」
「古田さん、僕、もう二十歳超えたんだよ。坊ちゃまは止めてくれないか」
「ネット、ああ、パソコンとかいう機械を使った通信のこと」

 異世界人なのにアイリアはかなり飲み込みがいいな。

 祖母の家に引っ越した僕は祖父の書斎を仕事場として決めた。

 そこで見つけたのが古い扉だった。ちなみに祖父の書斎は二階なので扉があるのは変だと思った僕はその扉に手をかけた。
 開けた途端、驚いた。
 何故なら外につながっていたからだ。

 だけど、家の外にしては景色が変だった。
 異世界なのだから仕方のない話だけど。

 そこで出会ったのがアイリアだった。
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