異世界転生〜転生したら蛇でした。

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第5話

森の主

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何分程逃げ続けただろうか、

魔獣の森四階層、洋輔は猿共から必死に逃げ続けていた
無論、もう少しで追いつかれそうである
そりゃそうだろう
こちらは蛇だ。それも生まれたて、と言っていいぐらい身体の扱いに不自由している蛇である。
一方、木々を伝う猿達は狩りに慣れている事は分かるうえに、

森(マイホーム)
という最強の組み合わせなのだ。

猿たちにとって、例えるなら家の庭で野菜を収穫する位の労力である
そんな彼らにとって俺は格好の獲物.............のはずだった


俺は奥へ奥へと森の中を進んでいたのだが、徐々に猿達が焦り始めているのが伝わってきた
『ウギャッ!?ウギャッウギャッ!!』
猿達が騒がしく鳴き、手に持っていた槍を投げてくるようになったのだ。
明らかに様子がおかしいのが伝わってくるのだが.......俺には後ろを振り返って見る勇気は全く備わっていない
後ろを振り向いた瞬間あの恐ろしい顔がすぐ近くにあったら俺は気絶しない自信が無いからだ

自慢じゃないが、俺はビビりである!
昔から幽霊、妖怪、宇宙人そんなものは信じていなかった。その理由が、(本当に居たら恐怖心で動けなくなるから)
というものだ。
武器を無駄遣いのように投げてくれるということはすなわち、反撃する隙が出来るということでもある
しかし、俺は反撃できない。まずまず、振り向くということ自体が不可能だ!
「後ろは見るな、前だけを見ろ.... ふっ」
ドラマのようなセリフが言えるような理由ではないが、間違ってはいない、
木々の間をすり抜け、前だけを見る。



その時だった。


『━━警告━━
強力な結界が張られていますこのまま進むと消滅する危険性があります。
結界は三十メートル先』


「.......はぁ?」


俺は目の前に現れたDangerの文字に首をかしげた。
意味がわからなかった。結界とはどのような事であろうか。

言われてみれば、遠くの方が若干青みを帯びている気がしなくもない。
だが、それだけであり危機感は全くない。

しかし、このまま進めば消滅するらしい。しかしここで止まれば後ろからの猿たちに捕まってしまうだろう。
そうなれば.......


俺はお料理になる前の蛇の姿を思い出した。
身の毛がよだつ程の怖い想像であった

(どうすればいいんだ!えっと、鑑定!)

[対象物の検索不可能]

ちっ。無理なのかよ!

どうやら、結界は鑑定の対象外らしい。俺の脳内に非存在的エネルギーは鑑定不可能と追加しておく
『残り、五メートル。四。三。二。一...』

あー。終わったな
そんなことを考えているうちに俺は薄い青い膜に触れてしまっていた。
「あ...」
俺の体は青い膜の向こう側に行くと耐えきれずに、表面から光の粉と変わり果てていく。
サラサラと光が立ち上っていく様は綺麗であったが、それが俺の体だと知っていると少し恐怖を感じる。
(もう死ぬのかよ....)
頭の中に、訳も分からないような文字が流れた。それは知らない言語だが、勝手に日本語に変換されているせいか意味は伝わってくる
『消失レベル100の重度結界魔術式を感知しました。転生者プログラムコード155684235197@kyg

発生スキル、【危機回避】を獲得しました
転生者スキルにより自動で統合中───危機回避スキルと危険察知スキルを統合しました───
派生スキル【危機性無効】を獲得─────危機性無効の効果により、体の修復を行い結界元へテレポート』


何やら頭に響き渡る文字が騒がしいが、何だか物騒なものを手に入れてしまったようだ。
サラサラと光となって消滅しかけた俺の体は再構成され、別の場所へとテレポートした





















━━━━━━━━━━━━━━━━

魔獣の森一階層
探索者または冒険者と呼ぶその職業は森の雰囲気や情報を最も大切にしている。
鳥達が騒がしいか、草木の様子はどうか、風の向き、動物の痕跡、全てにおいてが自身の命を守る為の重要な情報となるためだ。

冒険者ギルドには心得というものがある。その中に「少しの情報も見逃すな」というものがある位、森の情報とは重要なものなのだ。

そして、魔道士と戦士の二人組は目の前の惨状を分析して恐怖した。

「...あのさ。カズさん」
「あぁ、これはまずいな。」

目の前にあったのは、頭を下にして吊り下げられた無残な人々の姿であった。それも装備を一切つけていない一糸まとわぬ姿である。
木の上から足に蔦を括りつけられ、腕を切り落とされ、内蔵は腹を捌かれ、取り除かれている。精肉済みの人間達である。
髪の毛は全て抜かれ、首の切り傷から血抜きをし、これから料理でもするかのような見事な精肉済みの人間達である。しかし、驚くべきは全員が冒険者ギルドで行方不明者として捜索願いが出されている人ばかりであり、その人々を探しに行った人までいた。
しかも、全員行方不明が出されてから17日は経っているものばかりである。
森というのは、湿気が多く直ぐに腐ったり、腐敗臭がするものだ。
しかし、
むせ返るような血の匂いはするものの、腐敗臭はしなかったのだ。
腐ってすらいない死体というのは明らかにおかしい状態だ
当たり前がこの光景を見るだけで、覆されるというのは冒険者にとって畏怖するものである
冒険者とは経験があるからこそ、危険なことにも対処できるようになっていくものだったが、今回の場合は長く見てきた中で一番不可解で、聞いたことも無い謎の出来事なのだ。

「リリィ。ここはまずい冒険者ギルドに戻るぞ....」
「はいっ.....」

リリィはカズの様子を読み取って危機的状況であると判断した
カズはあたりを見渡すと、来た道を警戒しながら戻ろうとした



その刹那。

リリィは身体を震わせて防御魔法を展開し、カズは一瞬にして剣を構え背後に振り向く。

『ボウケンシャ?ボクハコワクナイヨー。カッカッカッ』

老人のような笑い声と共に人間の肉壁から現れたのは、腰を曲げたC級魔物ビュレッテであった。ビュレッテは黒い毛並みと、高い知能。そして集団行動で知られている。
しかし、この目の前のビュレッテは少し違かった。
手の部分の毛が左右白くなり、尻尾も二本生えている。こいつは特徴としてハイビュレッテという、ビュレッテの上位種である可能性が高い
しかも、人語を片言ではあるが喋っている
いくら上位種とはいえ、喋っているものは見たことがない
「貴様.....なぜ喋っている.....」
『マモノガシャベレナイトオモッタカ?カッカッカッ!オロカカナ!オロカカナ!』


嘲笑するビュレッテ。手には何やら人間の腕のようなものを握っている。
肘から先の腕なのだが、小指が食いちぎられたかのように無くなっていた。
形からして男性の腕のようだ。
血は流れていないから、ここの精肉済みの人間達と同じく血抜きされているのだろう。

「貴様。ただの魔物じゃないな.......しかし、なぜビュレッテがこんな最上層に出現している」
『キサマ?何カ分カランガ、オマエノヨウナ気配ヲ纏うモノ、ホシイホシイホシイィィィイイ!!!!




.....ダガ、オマエラニンゲンハ、ツマラナイ。頭ガ悪イ
ワシラガ、森ノ奥デ、スゴスノハ、縄張リガアルカラダ。ワシハ、縄張リヲモタヌ。ユエニ、シバラレナイ

知恵コソ、我ガ欲スルモノ
知恵ガ無ケレバ、タダノ肉ダ』

手で頭を支えてやれやれといったふうにため息をつくビュレッテ

カズはこのビュレッテが恐ろしい存在であると嫌という程分かってしまっていた。
ビュレッテが最上層にいることも危険なのだが、それよりもこのビュレッテが喋っていることが問題なのだ
まず、魔物が喋っていることに関して一度文献を読んだことがある。

魔物が人語を喋るきっかけは三つある。

一つは上級魔物への進化である。

上級魔物とは、進化を繰り返しAランク相当の強さを得た魔物のことを指す。そしてその進化の過程で、魔物は言語理解というスキルを習得するのだ。

二つ目は、魔人、または人による従魔化である。従魔化というのは、魔物を契約の名の元に、従魔にして従えることを言うのだが契約の際、知識共有を行うことが絶対とされている。
その知識共有の際に、言語を習得するのだ。

そして最後の三つ目は、言語を習得する魔物がスキル《捕食理解》
を持っており、人間または魔人を捕食す事である
スキル《捕食理解》は捕食した獲物の知識の全てを奪い取るスキルである。そのため、言語を習得するのだ

しかし、今回の場合目の前のビュレッテはハイビュレッテと呼ばれる中級魔物であり、一つ目の可能性は低い。そして、二つ目の可能性は限りなく低い。従魔化の場合、指示している主がこの近くにいるということになるが、気配は目の前のハイビュレッテだけである。カズは幾度の経験で、近くで隠れている敵の数を的確に当てることが出来る気配察知能力が身についているのだが、今回ばかりは疑いたくなった。
となると、最後の三つ目が正解だろう。
しかし....カズはこの恐ろしさを誰よりもわかっていた。
知識を奪えるということは、ギルド情報など、この森の上層部が最低難易度のダンジョンと指定されていて、冒険初心者が腕試しとして来る場所であることも筒抜けという事だ。
そうなれば、人間はこいつにとって格好の獲物だ。
そして何より、剣術や、魔法に関して長けた者が捕食されていたとしたら、その知識は全部捕食した者の物という事である。そしてこの目の前のハイビュレッテはここに多くの人間を吊るしている。
つまり、その分知識も奪っているということになるのだ。
それが分かると、恐ろしくて声が震えた。

「なるほど.....人を食って知識も奪ったか....」
「えっ!?」
俺の独り言にリリィは驚愕し目を見開く、ハイビュレッテは片眉を上げ、にやりと不敵に笑う

案の定、予測していた結果ではあった。

『カッカッカッ!ヤハリ面白イ!見テ分カルソノ、力量トソノ知識!欲シイゾ!』
「指を指すな。化け物.....

その様子じゃ、Bランクの冒険者ベイクリートも食われたみたいだな。」

ベイクリートとは、四週間前謎の大量の行方不明事件の調査に出た腕っ節の良いと評判の冒険者である
戦闘においてBランクでは相手の力量を読むのが上手く、立ち回りも素早いことで有名だ
しかし、彼は突如として姿を消した
そして、相手の力量を見ただけで分かるような人間が調査に行って消えたのはベイクリートただ1人という訳だ
ベイクリートは痕跡を追ってここに来たことだろう
不運なことだ。普通のハイビュレッテは単体でもBランクの人間と同等の力を発揮する。しかし、それに加えて人間の知識や、戦い方を身につけたとなるとAランク相当にもなるだろう

(ベイクリートでは勝機は見えなかっただろうな)
カズはベイクリートに労いの念込めた。
「ベイクリートさんまで......」
リリィの顔が憎しみに歪む
そりゃそうだ。ベイクリートはリリィの親戚で兄のような存在だった人間だ。人との繋がりも広く、誰にでも好かれていた人物だからだ





だからこそ






俺は憎悪に体を震わせた




「リリィ!ブースト!」
「力の精霊よ、我らに力を与えたまえ!ブースト!」
俺の掛け声と共にリリィは10級魔法を唱えた
そして、高速で隙だらけのハイビュレッテの懐に潜り込み、背に背負っていた大剣を頭上から叩き落とした

ガィンッ!

鉄と鉄がぶつかり合う音が反響した。
『カッカッカッ。教エタハズダゾカズ。オマエハ初手ガワカリヤスイト。』
カズの初手はハイビュレッテの右腕によって止められていた
切り込みが入り、血が一筋流れるが致命傷ではない。しかも、全力で切ってかすり傷しかないと勝ち目が薄くなった
しかし、そんなことで立ち止まるカズではない
「お前があいつの言葉を口にするなっ!!」
「パワーバフ!ウィンド!ブランドスピード!」
力増強、風魔法で攻撃、ハイビュレッテの速度を遅くする魔法を3連続で唱えるリリィ
さすがリリイだった。教えた連携を全て完璧にこなしている

『ガッ!?』

ハイビュレッテはリリィの風魔法を躱したが、その一瞬が隙となった
右手で受け止められた剣を一旦手放し、顔面に蹴りをお見舞いする
スピードの遅くなったハイビュレッテにとって、速度上昇のバフがついたカズの一撃は重いものだった。しかも、攻撃力上昇までついているので、いくらレベルの高いハイビュレッテでもここまでの連携は驚きだ
『....ナルホド。オマエタチノ知識ガ、益々欲シクナッテキタ。』
顔をさすり、目の前の男を見定めるハイビュレッテ

そして、二人の姿がブレた
瞬歩というスキルを二人とも持っており、ある一定の移動距離時間を短縮するスキルなためリリィには瞬間移動したようにも見えた。
「お前だけは生かして返さん!」
『クックックッ。オマエハワシノ知識ダ!』
ハイビュレッテの一撃ととカズの剣が重なった━━━━━━━━━━━━━


5話目です

遅れましたが投稿しました。
(2019/04/29 23:34:36)
さて、今回は固有スキル(ユニークスキル)を持ったビュレッテを登場させました。なんか、この森ビュレッテ多くない?と思った方は安心してください。ちゃんと後ほど分かるようになります。
さて、次の話ですがネタバレ注意です。ネタバレ嫌な方は次に進んでください







今回四階層付近に結界がありましたが結界とは人物の周りや、物の周りに貼っている間魔力を消費し続けるんですが、結界レベルによって消費する魔力量が違います。
今回出てきた結界は消失レベル100
消失レベルは自身のレベルと比例して自身の結界に対する抵抗不可力が消失レベルだと思ってれば合ってます
結界レベルと消失レベルは全くの別物なのでご理解ください
でもそれほどの結界は魔力を多く消費します
どこから魔力が供給されているのでしょうか、、、
そしていつからその結界はあるのか。
まぁ、ここまでにしときます



誤字脱字酷いかもしれませんが応援よろしくお願いします。

では、6話をお楽しみに!

(2020/02/24 21:29:42)修正
あとがきがバグで消えていました
設定の修正と文章構成を少しずつ正してます
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