大学生は暇らしいので空を飛ぶことにした。

アネクメーネ

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ハンググライダーって何?

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 『大学生は人生の夏休み』なんて言う人がいる。これが正しいのかどうか分からない。しかし、社会人よりも自由に使える時間が多いのは確かなのだろう。
 
 とある東京郊外の理系大学に進学を決めた春。何かをやりたい気持ちはあるが、別段これといってやりたいことは無かった。
 
 サークルオリエンテーションの日のキャンパスはとても華やかだ。その中を一歩引いた気持ちで物色していると、突然腕を掴まれた。
 
 「もしやりたいことがないなら、ハンググライダーやってみない?」
  
 驚きで一瞬口ごもる。
 
 「勧誘ですか?」
  
 何がおかしいのかその男子は笑い出した。
 
 「そういうのいいんで。そもそもハンググライダーって何?」
 
 苛つきを隠すことなく言い放ち立ち去ろうとしたとき、再度呼び止められた。
 
 「いや、実は俺も一年なんだ。一人で話聞きに行くのって入る気満々みたいな感じで嫌じゃん。一緒に話を聞きに行ってくれないかなと思って。」
 
 こいつボッチかよ。と言いかけて自分もそうだと気がついた。確かにこの男子の主張は分かる。
 
 「今回はいいけど今後つきまとうなよ。」
 
 「ありがとう。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「こんにちは。ハンググライダーに興味あるの?」
 
 優しそうな女子の先輩が話しかけてきた。
 
 「自分はこいつの付き添いなんで。」
 
 この状況に巻き込んだ張本人である男子(名前は浅井秀明というらしい)を指さして言った。
 
 「そっかー。まあ話だけでも聞いていってよ。」
 
 「ありがとうございます。」
 
 強引に入れられるようなことはなさそうで、とりあえず一安心。
 
 浅井はすっかり(?)馴染んでいる。
 
 「Twitterで連絡しました。浅井といいます。確か『さったくさん』と連絡をとってました。」
 
 「ああ、『かったく』ね。」
 
 いや、そんな恥ずかしそうにこっちを見られても困るんだけど。
 
 どうやら加藤匠を略してかったくらしい。かったくと呼ばれた先輩は、髪色は明るいけど怖さは感じなかった。

 「まあとりあえず、ハンググライダーが何かを説明しようか。今俺達の後ろにある機体を使って空を自由に飛んだり、上級者になるとレースをしたりするのがハンググライダー。飛べるようになるまではちょっと大変だけど楽しいよ。」

 「それに飛べないときとか飛ばないときも楽しいよ。」

 横からさっき話した女子の先輩が割り込んできた。確かにPVはとてもみんな楽しそうだったし、こんな感じの部活に入ったらきっと楽しいだろうな。

 「まずは週末の見学会においでよ。」

 その場の成り行きで、浅井と日程をあわせて見学に行くことにした。
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