6 / 21
6
しおりを挟む
露わになった自分の顔に血の気が引いていくのがわかる。
「シビル、お前」
ジョンは驚いた顔で私の顔をわざわざ指さした。怒っている様子はないが、明らかに戸惑っている。
美醜で人を判断するようなタイプの人間ではないと思っていたが、どうやらそうらしい。
「私の顔見て驚いたでしょ?」
「……」
ジョンは何も言わなくて、その気まずさを誤魔化すように私は苦笑いする。
「私が醜いから」
「は?」
ジョンは、今度は鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした。
普段は表情の変化のない彼だが、今日は表情がコロコロと変わる。
こんな顔、絶対に見る事はないと思っていたのに。
「私、醜いから親から捨てられたの」
「え?」
ジョンは今度は不愉快そうに眉間に皺を寄せた。
私は不安で何でもいいから言い訳をしようと口を開く。
「私の事嫌いになった?ごめんなさい、隠していて、私、自分の顔を見られるのが怖くてずっと隠していたの。こんな顔だから誰とも会うなってミラベル。乳母なんだけどそう言われて、私は、醜いから、その、乳母のミラベルに誰とも会うなって言われて……」
もはや、何を言っているのか自分でもわからない。
「落ち着け」
ジョンは呆れたように私を見た。
「私の事、嫌いになったでしょ?」
「素顔を隠していた程度で嫌いになるか」
不安でてた言葉に、ジョンは何のことでもなさそうに言った。
「でも、私は醜いから」
「お前は醜くない。美醜の感覚が人と違うならわからないが、だけど、俺はお前を醜いとは思わない」
嘘だとわかっているけれど、ジョンのその言葉に少しだけ心が軽くなった気がした。
考えてみればお互いに訳ありなのだ。ジョンからしてみれば醜い私の見た目程度では同時ないのかもしれはない。
「本当に?」
不安で伺うような目を向けるが、彼は大丈夫だと言わんばかりに微笑む。
「もちろんだ」
「友達でいてくれる?」
「ずっと、友達だ」
また、不安な気持ちを吐き出すとジョンは私の背中を叩いた。
『こいつ気に入ったぞ』
「え?」
不意に聞こえた声に私は慌てて周囲を見回す。
他の人に顔を見られてしまったら……。
不安でジョンの腕を思わず握ってしまう。
「おい、やめろ」
「あ、ごめんなさい」
ジョンの不機嫌そうな声に私は慌てて手を離した。
突然、腕を触られたから嫌な気分になったのかもしれない。
「いや、違う。別に怒ってない」
ジョンは、怒った相手が私ではないと言った。
それなら誰に怒っているのだろう?
『お前は、コイツの秘密を知ったんだからお前の秘密も教えないと平等じゃないだろう?なぁ?』
そして、また聞こえて来た声に私は周囲を見回す。
「どこから聞こえる声?」
『俺の顔を出せ』
「くそっ」
ジョンは、悪態をつきながら胸元を露わにした。
そこには、刺青のような黒い影があり水のようにうねり一つの形になった。
それは、どう見ても……。
「……、じんめんそう?」
「シビル、お前」
ジョンは驚いた顔で私の顔をわざわざ指さした。怒っている様子はないが、明らかに戸惑っている。
美醜で人を判断するようなタイプの人間ではないと思っていたが、どうやらそうらしい。
「私の顔見て驚いたでしょ?」
「……」
ジョンは何も言わなくて、その気まずさを誤魔化すように私は苦笑いする。
「私が醜いから」
「は?」
ジョンは、今度は鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした。
普段は表情の変化のない彼だが、今日は表情がコロコロと変わる。
こんな顔、絶対に見る事はないと思っていたのに。
「私、醜いから親から捨てられたの」
「え?」
ジョンは今度は不愉快そうに眉間に皺を寄せた。
私は不安で何でもいいから言い訳をしようと口を開く。
「私の事嫌いになった?ごめんなさい、隠していて、私、自分の顔を見られるのが怖くてずっと隠していたの。こんな顔だから誰とも会うなってミラベル。乳母なんだけどそう言われて、私は、醜いから、その、乳母のミラベルに誰とも会うなって言われて……」
もはや、何を言っているのか自分でもわからない。
「落ち着け」
ジョンは呆れたように私を見た。
「私の事、嫌いになったでしょ?」
「素顔を隠していた程度で嫌いになるか」
不安でてた言葉に、ジョンは何のことでもなさそうに言った。
「でも、私は醜いから」
「お前は醜くない。美醜の感覚が人と違うならわからないが、だけど、俺はお前を醜いとは思わない」
嘘だとわかっているけれど、ジョンのその言葉に少しだけ心が軽くなった気がした。
考えてみればお互いに訳ありなのだ。ジョンからしてみれば醜い私の見た目程度では同時ないのかもしれはない。
「本当に?」
不安で伺うような目を向けるが、彼は大丈夫だと言わんばかりに微笑む。
「もちろんだ」
「友達でいてくれる?」
「ずっと、友達だ」
また、不安な気持ちを吐き出すとジョンは私の背中を叩いた。
『こいつ気に入ったぞ』
「え?」
不意に聞こえた声に私は慌てて周囲を見回す。
他の人に顔を見られてしまったら……。
不安でジョンの腕を思わず握ってしまう。
「おい、やめろ」
「あ、ごめんなさい」
ジョンの不機嫌そうな声に私は慌てて手を離した。
突然、腕を触られたから嫌な気分になったのかもしれない。
「いや、違う。別に怒ってない」
ジョンは、怒った相手が私ではないと言った。
それなら誰に怒っているのだろう?
『お前は、コイツの秘密を知ったんだからお前の秘密も教えないと平等じゃないだろう?なぁ?』
そして、また聞こえて来た声に私は周囲を見回す。
「どこから聞こえる声?」
『俺の顔を出せ』
「くそっ」
ジョンは、悪態をつきながら胸元を露わにした。
そこには、刺青のような黒い影があり水のようにうねり一つの形になった。
それは、どう見ても……。
「……、じんめんそう?」
460
あなたにおすすめの小説
婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他
猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。
大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。
自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?
長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。
王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、
「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」
あることないこと言われて、我慢の限界!
絶対にあなたなんかに王子様は渡さない!
これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー!
*旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。
*小説家になろうでも掲載しています。
聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)
蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。
聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。
愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。
いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。
ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。
それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。
心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。
婚約破棄が私を笑顔にした
夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」
学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。
そこに聖女であるアメリアがやってくる。
フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。
彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。
短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。
愚か者の話をしよう
鈴宮(すずみや)
恋愛
シェイマスは、婚約者であるエーファを心から愛している。けれど、控えめな性格のエーファは、聖女ミランダがシェイマスにちょっかいを掛けても、穏やかに微笑むばかり。
そんな彼女の反応に物足りなさを感じつつも、シェイマスはエーファとの幸せな未来を夢見ていた。
けれどある日、シェイマスは父親である国王から「エーファとの婚約は破棄する」と告げられて――――?
【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる