私が消えたその後で(完結)

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露わになった自分の顔に血の気が引いていくのがわかる。

「シビル、お前」

ジョンは驚いた顔で私の顔をわざわざ指さした。怒っている様子はないが、明らかに戸惑っている。
美醜で人を判断するようなタイプの人間ではないと思っていたが、どうやらそうらしい。

「私の顔見て驚いたでしょ?」

「……」

ジョンは何も言わなくて、その気まずさを誤魔化すように私は苦笑いする。

「私が醜いから」

「は?」

ジョンは、今度は鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした。
普段は表情の変化のない彼だが、今日は表情がコロコロと変わる。
こんな顔、絶対に見る事はないと思っていたのに。

「私、醜いから親から捨てられたの」

「え?」

ジョンは今度は不愉快そうに眉間に皺を寄せた。
私は不安で何でもいいから言い訳をしようと口を開く。

「私の事嫌いになった?ごめんなさい、隠していて、私、自分の顔を見られるのが怖くてずっと隠していたの。こんな顔だから誰とも会うなってミラベル。乳母なんだけどそう言われて、私は、醜いから、その、乳母のミラベルに誰とも会うなって言われて……」

もはや、何を言っているのか自分でもわからない。

「落ち着け」

ジョンは呆れたように私を見た。

「私の事、嫌いになったでしょ?」

「素顔を隠していた程度で嫌いになるか」

不安でてた言葉に、ジョンは何のことでもなさそうに言った。

「でも、私は醜いから」

「お前は醜くない。美醜の感覚が人と違うならわからないが、だけど、俺はお前を醜いとは思わない」

嘘だとわかっているけれど、ジョンのその言葉に少しだけ心が軽くなった気がした。
考えてみればお互いに訳ありなのだ。ジョンからしてみれば醜い私の見た目程度では同時ないのかもしれはない。

「本当に?」

不安で伺うような目を向けるが、彼は大丈夫だと言わんばかりに微笑む。

「もちろんだ」

「友達でいてくれる?」

「ずっと、友達だ」

また、不安な気持ちを吐き出すとジョンは私の背中を叩いた。

『こいつ気に入ったぞ』

「え?」

不意に聞こえた声に私は慌てて周囲を見回す。
他の人に顔を見られてしまったら……。
不安でジョンの腕を思わず握ってしまう。

「おい、やめろ」

「あ、ごめんなさい」

ジョンの不機嫌そうな声に私は慌てて手を離した。
突然、腕を触られたから嫌な気分になったのかもしれない。

「いや、違う。別に怒ってない」

ジョンは、怒った相手が私ではないと言った。
それなら誰に怒っているのだろう?

『お前は、コイツの秘密を知ったんだからお前の秘密も教えないと平等じゃないだろう?なぁ?』

そして、また聞こえて来た声に私は周囲を見回す。

「どこから聞こえる声?」

『俺の顔を出せ』

「くそっ」

ジョンは、悪態をつきながら胸元を露わにした。
そこには、刺青のような黒い影があり水のようにうねり一つの形になった。
それは、どう見ても……。

「……、じんめんそう?」
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