どうも、当て馬に男主人公の座を奪われた男の婚約者です

ありがとうございました。さようなら

文字の大きさ
5 / 9

5

しおりを挟む
5

 そして、お茶会当日。

 当然のように、私は父にドレスを変更したことを責められていた。
 ドレスは用意したが、あとは、ノータッチで責めてくるなどと何と無責任なのだろうか。
 だから、デルドレーはメンヘラになってしまったのだ。
 この男のことを父親だと思うことを私はやめた。

「なぜそんな地味なドレスにした!」

 赤髪赤目という、脳をガンっと殴るような派手な色味にあのドレスはキツイ。似合わないにも程がある。
 目に入れる人も可哀想だが、それを着る私の精神的な苦痛はどのように保障してくれるのだろうか。
 目の前にいる血のつながりがあるだけの人が笑われるくらいなら、どうぞどうぞ。という気持ちなのだが、自分が笑われるのなら訳が違う。
 全力で阻止する。

「あんな、くそダサいドレスなんて着たら笑い物ですわ」

 私は怒られてもいいので、言いたいことを言うことにした。

「お前、今なんと言った?」

 父は、「ダサい」と貶されたことに腹を立てた様子で、私に食ってかかる。

「私の顔を見てください。キツイ顔をしておりますよね?あんな、ぶりっ子が着るようなドレスなんか似合わないどころか生物兵器ですよ」

「は?」

 思わぬ反論だからなのか、父はぽかんと口を開いた。
 普段なら、嫌であったとしてもデルドレーは、父の言う通りの事をしたのだろう。
 なんだか腹が立ってきたわ。

 好き勝手に言ってやろう。

「誰が選んだのかわかりませんけどね。顔とのバランスとか理解できないんですかね。センスがないどころか最悪です。あんなもん贈られるくらいなら布でも巻いておいた方がましです」

「最悪……」

 父はセンスが最悪と言われた事にショックを受けている様子だった。

「殿下に嫌われたくてあれを着るのでしたらわかりますが、アピールするのならあれは最低です。嫌われたいんですか?」

「最低……」

 父は俯いた。

「センスがないにしても、あそこまで酷いのでしたらいっそ可哀想ですわ」

「可哀想……」

「生まれてきた事を後悔した方がいいレベルのセンスのなさです」

「そこまで言う必要あるか?」

 父は明らかに凹んでいるが、だからなんだ。と、私は思っている。

「あんなもの着させられる私の方が可哀想ですわ」

「……」

 父は何も言えずに項垂れていた。
 私はそれを見て上機嫌になって馬車へと乗り込んだ。

 あとは、野となれ山となれだ。

 努力したところで無理なものは無理だし、しなくていい事はしなくてもいい。
 挨拶はして、あとは、お菓子だけ食べて帰ってくれば、やるべきことはやったとカウントしてもいいはずだ。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

【完結】伯爵令嬢の25通の手紙 ~この手紙たちが、わたしを支えてくれますように~

朝日みらい
恋愛
煌びやかな晩餐会。クラリッサは上品に振る舞おうと努めるが、周囲の貴族は彼女の地味な外見を笑う。 婚約者ルネがワインを掲げて笑う。「俺は華のある令嬢が好きなんだ。すまないが、君では退屈だ。」 静寂と嘲笑の中、クラリッサは微笑みを崩さずに頭を下げる。 夜、涙をこらえて母宛てに手紙を書く。 「恥をかいたけれど、泣かないことを誇りに思いたいです。」 彼女の最初の手紙が、物語の始まりになるように――。

誕生日前日に届いた王子へのプレゼント

アシコシツヨシ
恋愛
誕生日前日に、プレゼントを受け取った王太子フランが、幸せ葛藤する話。(王太子視点)

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

初対面の婚約者に『ブス』と言われた令嬢です。

甘寧
恋愛
「お前は抱けるブスだな」 「はぁぁぁぁ!!??」 親の決めた婚約者と初めての顔合わせで第一声で言われた言葉。 そうですかそうですか、私は抱けるブスなんですね…… って!!こんな奴が婚約者なんて冗談じゃない!! お父様!!こいつと結婚しろと言うならば私は家を出ます!! え?結納金貰っちゃった? それじゃあ、仕方ありません。あちらから婚約を破棄したいと言わせましょう。 ※4時間ほどで書き上げたものなので、頭空っぽにして読んでください。

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

憧れの騎士さまと、お見合いなんです

絹乃
恋愛
年の差で体格差の溺愛話。大好きな騎士、ヴィレムさまとお見合いが決まった令嬢フランカ。その前後の甘い日々のお話です。

下賜されまして ~戦場の餓鬼と呼ばれた軍人との甘い日々~

イシュタル
恋愛
王宮から突然嫁がされた18歳の少女・ソフィアは、冷たい風の吹く屋敷へと降り立つ。迎えたのは、無愛想で人嫌いな騎士爵グラッド・エルグレイム。金貨の袋を渡され「好きにしろ」と言われた彼女は、侍女も使用人もいない屋敷で孤独な生活を始める。 王宮での優雅な日々とは一転、自分の髪を切り、服を整え、料理を学びながら、ソフィアは少しずつ「夫人」としての自立を模索していく。だが、辻馬車での盗難事件や料理の失敗、そして過労による倒れ込みなど、試練は次々と彼女を襲う。 そんな中、無口なグラッドの態度にも少しずつ変化が現れ始める。謝罪とも言えない金貨の袋、静かな気遣い、そして彼女の倒れた姿に見せた焦り。距離のあった二人の間に、わずかな波紋が広がっていく。 これは、王宮の寵姫から孤独な夫人へと変わる少女が、自らの手で居場所を築いていく物語。冷たい屋敷に灯る、静かな希望の光。 ⚠️本作はAIとの共同製作です。

【完結】公爵子息は私のことをずっと好いていたようです

果実果音
恋愛
私はしがない伯爵令嬢だけれど、両親同士が仲が良いということもあって、公爵子息であるラディネリアン・コールズ様と婚約関係にある。 幸い、小さい頃から話があったので、意地悪な元婚約者がいるわけでもなく、普通に婚約関係を続けている。それに、ラディネリアン様の両親はどちらも私を可愛がってくださっているし、幸せな方であると思う。 ただ、どうも好かれているということは無さそうだ。 月に数回ある顔合わせの時でさえ、仏頂面だ。 パーティではなんの関係もない令嬢にだって笑顔を作るのに.....。 これでは、結婚した後は別居かしら。 お父様とお母様はとても仲が良くて、憧れていた。もちろん、ラディネリアン様の両親も。 だから、ちょっと、別居になるのは悲しいかな。なんて、私のわがままかしらね。

処理中です...