5 / 5
5
5
私は母を連れてホテルへに到着した。
ホテルの外観をみながら、私はふと不安になった。
貧乏貴族が宿泊するにはあまりにも豪華すぎないか?
「なあ、母さん、うち貧乏なのにこんないいホテルに泊まっていいの?」
つい、不安になってしまい。母さんにそんなことを聞いてしまう。
子供の時からそうだったが、何か欲しい。と母に言うたびに「うちは貧乏だから買えないわ」と涙目で言われ続けて育った。
金銭感覚はそれなりにあるので、貧乏人にここの宿泊費が払えるのか少し不安になったのだ。
「大丈夫よ。お金の心配はしないで、お父さんがお金を現地で稼ぐって話していたから」
日雇いということは肉体労働をしているのだろうか。
親父はヘタレだが、体力はある方だ。
だから、仕事はできるとは思うが問題は賃金のほうだ。
こちらの方が賃金が田舎に比べて高いとはいえ。
「日雇いでそんなに稼げないと思うんだけど」
平民のような暮らしをしているからか、賃金の相場は何となくわかるもので。
父が日雇いで必死に働いても、宿泊費にとてもではないが足りないと思う。
「私もビジネスをするつもりよ」
野生という言葉がぴったりの母の口から出てくる。「ビジネス」という知的なワードに私は不安を覚えた。
この人ビジネスのビの字もわからないでしょ。考えるな感じろ。という思考回路じゃない。
フィーリングで生きる母には、考えるという行為が必要なビジネスなんて絶対に無理だ。
これ、ビジネスを謳った詐欺じゃないのかしら。
田舎者が「ビジネス」という言葉に憧れてるのをわかってて、詐欺師がここぞとばかりに声をかけてくるアレだ。
「母さん、融資とか投資とかそういったものはね。よくわかってる人ですら失敗するのよ。だから、安易に手を出したらダメだ」
私は小さな子に言って聞かせるように、母に懇々と融資や投資の危険性について説明した。
自分もそれが何なのかよくわかっていないけれど、よくわからないものに手を出すな。と、他でもない母に言われているのだ。
まあ、よくわからないもの。というのは、野生生物のことではあるけれど。
「……わかったわ。融資も投資もしないわ」
母はすんなりと引き下がったが、なんだか不安である。
子供は静かな時が一番やべーことをやらかしているから注意して見ろ。と、以前リアが話していた。
母の物言いが、何だかそれに近い気がした。
何だか嵐の前の予兆のように思えて怖い。
……そういえば、クソ漏らし親父とも合流できていない。
兄者には、情報収集を頼んでいるので、まだ戻って来ないのはわかるけれど。
親父、まさかカツアゲとかしてないよな。
ふとそんな不安がよぎったが、あの気の小さな男にそんな気概などないと気がついて、考えるのをやめた。
考えるのはやめよう。考えたらその時に全てが終わってしまうから。
わかってる。私がファイヤ家の唯一の常識人であることを。
父は救いようのないヘタレ。
母は猛者。
兄者はなかなかアレな男。
コイツらのフォローができるのは私しかいないのだ。
私が結婚して消えたら彼らはどうやって生きていくのだろうか。
「本当に本当にやめてね。もう何もない家だけど破産したら被害が出るんだからね!」
もしも、ただの平民で破産したなら迷惑をかけるのは身内だけで済む。
しかし、これでも貴族させてもらっているファイヤ家は、破産してしまったら領民に迷惑をかけてしまうのだ。
それだけは絶対に避けたい。
「わかってるから、大丈夫よ」
母は、本当に軽く受け流している。
またそれが不安につながる。
結局、親父と合流することはなかった。
そして、顔合わせの日。
私は母に見送られて、フリージア家へと向かった。
フリージア家に到着すると、執事が出迎えてくれた。
しかし、何というか面倒くさそうな顔をして対応をされた。
応接間へと案内されて、ソファに腰をかけると。
「アレクト様が来るまでしばらくお待ちください」
とだけ言われた。
いつやってくるのか、それすらも説明がない状況だ。
「アレクト様とはいつお会いできますか?」
「はぁ、知りませんよ」
執事は苛立った様子で頭を掻きむしった。
うちの執事ですらもう少しマシな対応をする。
少なくとも客人に対して、こんなにも無礼な態度を取ることは絶対にしない。
「……」
「身の程知らずが」
身の程知らずはお前だろ!そう言おうと口を開く前に、ドアをかなり乱雑に閉められた。
胸ぐら掴んでぶん殴りたかった……!
恐ろしいほどの燃焼不良な怒りを抱えたまま。私は、アイツを「地獄に叩き落としてやる奴リスト」に加えた。
ガチャリとドアが小さく開いて、私はそちらに目線をやった。
しかし、そこにいたのはこの屋敷のメイドたちだ。
「アレが婚約者?」
「まあ、アレでも貴族でしょう?」
口々に出てくる嫌味に、そろそろ私の我慢が限界にきてきた。
このテーブルひっくり返すか、アイツらにぶん投げてやろうか。
そんなことを考えていると、メイド達がスッと消えた。
私は母を連れてホテルへに到着した。
ホテルの外観をみながら、私はふと不安になった。
貧乏貴族が宿泊するにはあまりにも豪華すぎないか?
「なあ、母さん、うち貧乏なのにこんないいホテルに泊まっていいの?」
つい、不安になってしまい。母さんにそんなことを聞いてしまう。
子供の時からそうだったが、何か欲しい。と母に言うたびに「うちは貧乏だから買えないわ」と涙目で言われ続けて育った。
金銭感覚はそれなりにあるので、貧乏人にここの宿泊費が払えるのか少し不安になったのだ。
「大丈夫よ。お金の心配はしないで、お父さんがお金を現地で稼ぐって話していたから」
日雇いということは肉体労働をしているのだろうか。
親父はヘタレだが、体力はある方だ。
だから、仕事はできるとは思うが問題は賃金のほうだ。
こちらの方が賃金が田舎に比べて高いとはいえ。
「日雇いでそんなに稼げないと思うんだけど」
平民のような暮らしをしているからか、賃金の相場は何となくわかるもので。
父が日雇いで必死に働いても、宿泊費にとてもではないが足りないと思う。
「私もビジネスをするつもりよ」
野生という言葉がぴったりの母の口から出てくる。「ビジネス」という知的なワードに私は不安を覚えた。
この人ビジネスのビの字もわからないでしょ。考えるな感じろ。という思考回路じゃない。
フィーリングで生きる母には、考えるという行為が必要なビジネスなんて絶対に無理だ。
これ、ビジネスを謳った詐欺じゃないのかしら。
田舎者が「ビジネス」という言葉に憧れてるのをわかってて、詐欺師がここぞとばかりに声をかけてくるアレだ。
「母さん、融資とか投資とかそういったものはね。よくわかってる人ですら失敗するのよ。だから、安易に手を出したらダメだ」
私は小さな子に言って聞かせるように、母に懇々と融資や投資の危険性について説明した。
自分もそれが何なのかよくわかっていないけれど、よくわからないものに手を出すな。と、他でもない母に言われているのだ。
まあ、よくわからないもの。というのは、野生生物のことではあるけれど。
「……わかったわ。融資も投資もしないわ」
母はすんなりと引き下がったが、なんだか不安である。
子供は静かな時が一番やべーことをやらかしているから注意して見ろ。と、以前リアが話していた。
母の物言いが、何だかそれに近い気がした。
何だか嵐の前の予兆のように思えて怖い。
……そういえば、クソ漏らし親父とも合流できていない。
兄者には、情報収集を頼んでいるので、まだ戻って来ないのはわかるけれど。
親父、まさかカツアゲとかしてないよな。
ふとそんな不安がよぎったが、あの気の小さな男にそんな気概などないと気がついて、考えるのをやめた。
考えるのはやめよう。考えたらその時に全てが終わってしまうから。
わかってる。私がファイヤ家の唯一の常識人であることを。
父は救いようのないヘタレ。
母は猛者。
兄者はなかなかアレな男。
コイツらのフォローができるのは私しかいないのだ。
私が結婚して消えたら彼らはどうやって生きていくのだろうか。
「本当に本当にやめてね。もう何もない家だけど破産したら被害が出るんだからね!」
もしも、ただの平民で破産したなら迷惑をかけるのは身内だけで済む。
しかし、これでも貴族させてもらっているファイヤ家は、破産してしまったら領民に迷惑をかけてしまうのだ。
それだけは絶対に避けたい。
「わかってるから、大丈夫よ」
母は、本当に軽く受け流している。
またそれが不安につながる。
結局、親父と合流することはなかった。
そして、顔合わせの日。
私は母に見送られて、フリージア家へと向かった。
フリージア家に到着すると、執事が出迎えてくれた。
しかし、何というか面倒くさそうな顔をして対応をされた。
応接間へと案内されて、ソファに腰をかけると。
「アレクト様が来るまでしばらくお待ちください」
とだけ言われた。
いつやってくるのか、それすらも説明がない状況だ。
「アレクト様とはいつお会いできますか?」
「はぁ、知りませんよ」
執事は苛立った様子で頭を掻きむしった。
うちの執事ですらもう少しマシな対応をする。
少なくとも客人に対して、こんなにも無礼な態度を取ることは絶対にしない。
「……」
「身の程知らずが」
身の程知らずはお前だろ!そう言おうと口を開く前に、ドアをかなり乱雑に閉められた。
胸ぐら掴んでぶん殴りたかった……!
恐ろしいほどの燃焼不良な怒りを抱えたまま。私は、アイツを「地獄に叩き落としてやる奴リスト」に加えた。
ガチャリとドアが小さく開いて、私はそちらに目線をやった。
しかし、そこにいたのはこの屋敷のメイドたちだ。
「アレが婚約者?」
「まあ、アレでも貴族でしょう?」
口々に出てくる嫌味に、そろそろ私の我慢が限界にきてきた。
このテーブルひっくり返すか、アイツらにぶん投げてやろうか。
そんなことを考えていると、メイド達がスッと消えた。
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(4件)
あなたにおすすめの小説
『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた
歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。
【完結】領地に行くと言って出掛けた夫が帰って来ません。〜愛人と失踪した様です〜
山葵
恋愛
政略結婚で結婚した夫は、式を挙げた3日後に「領地に視察に行ってくる」と言って出掛けて行った。
いつ帰るのかも告げずに出掛ける夫を私は見送った。
まさかそれが夫の姿を見る最後になるとは夢にも思わずに…。
【完結】私の事は気にせずに、そのままイチャイチャお続け下さいませ ~私も婚約解消を目指して頑張りますから~
山葵
恋愛
ガルス侯爵家の令嬢である わたくしミモルザには、婚約者がいる。
この国の宰相である父を持つ、リブルート侯爵家嫡男レイライン様。
父同様、優秀…と期待されたが、顔は良いが頭はイマイチだった。
顔が良いから、女性にモテる。
わたくしはと言えば、頭は、まぁ優秀な方になるけれど、顔は中の上位!?
自分に釣り合わないと思っているレイラインは、ミモルザの見ているのを知っていて今日も美しい顔の令嬢とイチャイチャする。
*沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます。m(_ _)m
初恋のひとに告白を言いふらされて学園中の笑い者にされましたが、大人のつまはじきの方が遥かに恐ろしいことを彼が教えてくれました
3333(トリささみ)
恋愛
「あなたのことが、あの時からずっと好きでした。よろしければわたくしと、お付き合いしていただけませんか?」
男爵令嬢だが何不自由なく平和に暮らしていたアリサの日常は、その告白により崩れ去った。
初恋の相手であるレオナルドは、彼女の告白を陰湿になじるだけでなく、通っていた貴族学園に言いふらした。
その結果、全校生徒の笑い者にされたアリサは悲嘆し、絶望の底に突き落とされた。
しかしそれからすぐ『本物のつまはじき』を知ることになる。
社会的な孤立をメインに書いているので読む人によっては抵抗があるかもしれません。
一人称視点と三人称視点が交じっていて読みにくいところがあります。
【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!
山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」
夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
悪役令嬢の私が転校生をイジメたといわれて断罪されそうです
白雨あめ
恋愛
「君との婚約を破棄する! この学園から去れ!」
国の第一王子であるシルヴァの婚約者である伯爵令嬢アリン。彼女は転校生をイジメたという理由から、突然王子に婚約破棄を告げられてしまう。
目の前が真っ暗になり、立ち尽くす彼女の傍に歩み寄ってきたのは王子の側近、公爵令息クリスだった。
※2話完結。
《完結》 どうぞ、私のことはお気になさらず
ヴァンドール
恋愛
実家の伯爵家では、満足に食事も取らせてもらえず毎日、使用人以上に働かされた。
そして縁談が来たと思ったら火遊び好きな侯爵の隠れ蓑としての婚姻だった。
え!?続き無いのですか!?
凄く面白いのに!!😿
初めまして。この話のテンポに爆笑ですわ。続きカモ〜ン。ワクワクが止まらんねぇ〜!
と書いたがその後を読んで気が変わった。
あくまで家庭内。一般的に乙女何とかは無い。
全員『俺(私)の拳が唸って光る』系でしたか。
お相手に期待( ´∀`)ワクワク