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2話 名はジェント。職業はスパダ・・・リ?
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次の日、育成棟の最年長組が大講堂に集められ「成人の儀」が始まった。この世界では15歳で成人となり、この儀で初めて僕たちは一人前になったと認められ、名前を与えられる。
「フッ・・・俺は当然、戦闘職を授かるだろう。が、お前は何になるんだ
ろうなぁ?」
何故か僕の近くに並んでいる215番が前髪ファッサ~しながら口角を上げ、嫌味たらしく言ってくる。
「コイツはどう考えても生産職ですぜ。せいぜい戦闘職に奉仕するんだな。
キシュシュ」
「まぁ、何かの間違いで戦闘職になったとしても、コイツは弱すぎてすぐに
死ぬだろうがな」
・・・何故か僕の近くに並んでいる取り巻きの2人も僕を弄る。
「・・・・アー、ハイハイソウデスネ」(棒)
この儀式で名前の他にもう一つ手に入るものがある。それは他種族との交配で思いがけない恩恵。「職業」の発現である。職業を授かると、その職の技能を習得できるのだ。職業には大きく分けて戦闘系と生産系に分けられる。前者は剣士や弓士に術師。後者は薬師や鍛冶師に料理人などがある。
戦闘職を手に入れた者は「狩人」となり、主に資源の採取や敵対者の討伐を行い、生産職を手に入れた者は武器や道具の制作、食品加工などで国を支えるのだ。どちらも大事な仕事だが、狩人になれるよう願う者が多い。何故なら狩人は妻を捕えて国に献上する仕事も担っているからだ。しかも捕えた自身は質のいい妻を選べられる権利も得られる。質のいい妻は自分の評価を上げるのと、より高性能な子が生まれやすいの効果があるからだ。
対して生産系の者は功績を上げてもあまり認められない。おそらく戦闘職より命の危険がない事や、国としての優先度などの要素があるのだろう。しかも妻を手に入れるには国が運営する「屈魂斡旋所」(いわゆる戦闘職が仕入れた奴隷の市場)で手に入れるしかない状況だ。だから戦闘職の者には頭が上がらない。よって育成棟の者たちがなりたいのはもれなく戦闘職というわけだ。
などと考えていると、急に周りがワッとざわめいた。我に返って壇上を見てみると、そこにはいつの間にか251番が立って、こちらを向いて軽く手を上げてすごいドヤ顔をしている。何してんだアイツ・・・と呆れていると、僕の周りの人たちがヒソヒソと話をしているのが耳に入ってきた。
「おい今の聞いたか? 215番・・・じゃなくて「ルライバ」だっけ。
アイツ、職業が「剣士+」(プラス)だってよ」(ヒソヒソ)
「+って、職業が進化するってヤツだろ? ・・・スゲーな、羨ましいぜ」(ヒソヒソ)
技能にはとても稀にだが進化するものがある。それが+が付いた技能で、よりその職業に造詣が深くなり、凄まじい力を発揮したり、必殺技なんかも閃いたりするそうだ。よりによってアイツがそうなるなんて・・・。
「ということは彼は「貴族」候補になるかもな・・・」(ヒソヒソ)
「貴族になれれば人生勝ち組だもんなぁ。羨ましい限りだぜ」(ヒソヒソ)
貴族とはこの国の中心にある「貴族殿」に住む者で、国の運営をしている国のトップである。貴族はもれなく皆が高性能、レアな職業や技能持ちで、人類がここまで持ち直したのは、貴族たちの力が大きい。その力と血統を存続される為に国民は高級な食材や素材、そして質のいい妻を献上し続けている。貴族になれば生涯安泰の毎日贅沢三昧である。・・・ちょっと羨ましいかも。
――そしてその後も粛々と儀式は続き、いよいよ僕の番になった。ゴクリと喉を鳴らし、緊張しつつ舞台にゆっくりと上がる。教壇を挟んでの教育長と対面。教育長はコクリと頷くと黒い石板を僕の前に差し出した。これは「リクルトの石板」といって手に触れた者の与える名と職業が浮き上がる魔道具なのだそうだ。・・・僕は右手を石板に乗せる。石板から小さくジジ・・・と音がして、文字が浮かび上がってきた。教育長は石板を顔に引き寄せ、メガネをクイッと1度あげてその内容を読み上げた。
「ふむ・・・346番。君の真名は・・・「ジェント」だ」
ジェント・・・か。何かあまりピンと来ないけど、これが今世の僕の名前だ。早く慣れるようにしなきゃな。
「して、職業であるが・・・。ん? んん?!」
教育長は今度は石板をギリギリまで顔を寄せてクイクイとメガネを何度も上げまくる。
「職業・・・「スパダリ」? ・・・な、何なのだねこれは?」
「え?! いや、僕に言われても・・・」
スパダリ? どういう職業だ? ・・・スパ? 温泉? スパゲティ? ・・・ダリ? 画家? 聞いたことのない言葉だ。う~~ん・・・わ、分らん。
「・・・少し待ちなさい」
そう言って教育長は教壇に置かれていた分厚い本をペラペラと捲り出した。どうやらあれはこれまでに発現した職業をまとめた辞典のような物なのだろうか? しばらく捲り続けていた教育長が、小さくため息をついて辞典をパタンと閉じた。どうやら該当する職業は無かったようだ。
「・・・ジェントよ。何か頭の中で思いついたり、身体から力が湧いてくるような
感覚など自分の変化はないかね?」
そう教育長に言われて僕はもう一度頭の中を探りったり、身体中をペタペタと触診してみた。
「・・・いえ、特に何も」
「ふむ、そうか」
「はい・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・はい。じゃあ、次の者」
スルー!?(ガビーン)
「フッ・・・俺は当然、戦闘職を授かるだろう。が、お前は何になるんだ
ろうなぁ?」
何故か僕の近くに並んでいる215番が前髪ファッサ~しながら口角を上げ、嫌味たらしく言ってくる。
「コイツはどう考えても生産職ですぜ。せいぜい戦闘職に奉仕するんだな。
キシュシュ」
「まぁ、何かの間違いで戦闘職になったとしても、コイツは弱すぎてすぐに
死ぬだろうがな」
・・・何故か僕の近くに並んでいる取り巻きの2人も僕を弄る。
「・・・・アー、ハイハイソウデスネ」(棒)
この儀式で名前の他にもう一つ手に入るものがある。それは他種族との交配で思いがけない恩恵。「職業」の発現である。職業を授かると、その職の技能を習得できるのだ。職業には大きく分けて戦闘系と生産系に分けられる。前者は剣士や弓士に術師。後者は薬師や鍛冶師に料理人などがある。
戦闘職を手に入れた者は「狩人」となり、主に資源の採取や敵対者の討伐を行い、生産職を手に入れた者は武器や道具の制作、食品加工などで国を支えるのだ。どちらも大事な仕事だが、狩人になれるよう願う者が多い。何故なら狩人は妻を捕えて国に献上する仕事も担っているからだ。しかも捕えた自身は質のいい妻を選べられる権利も得られる。質のいい妻は自分の評価を上げるのと、より高性能な子が生まれやすいの効果があるからだ。
対して生産系の者は功績を上げてもあまり認められない。おそらく戦闘職より命の危険がない事や、国としての優先度などの要素があるのだろう。しかも妻を手に入れるには国が運営する「屈魂斡旋所」(いわゆる戦闘職が仕入れた奴隷の市場)で手に入れるしかない状況だ。だから戦闘職の者には頭が上がらない。よって育成棟の者たちがなりたいのはもれなく戦闘職というわけだ。
などと考えていると、急に周りがワッとざわめいた。我に返って壇上を見てみると、そこにはいつの間にか251番が立って、こちらを向いて軽く手を上げてすごいドヤ顔をしている。何してんだアイツ・・・と呆れていると、僕の周りの人たちがヒソヒソと話をしているのが耳に入ってきた。
「おい今の聞いたか? 215番・・・じゃなくて「ルライバ」だっけ。
アイツ、職業が「剣士+」(プラス)だってよ」(ヒソヒソ)
「+って、職業が進化するってヤツだろ? ・・・スゲーな、羨ましいぜ」(ヒソヒソ)
技能にはとても稀にだが進化するものがある。それが+が付いた技能で、よりその職業に造詣が深くなり、凄まじい力を発揮したり、必殺技なんかも閃いたりするそうだ。よりによってアイツがそうなるなんて・・・。
「ということは彼は「貴族」候補になるかもな・・・」(ヒソヒソ)
「貴族になれれば人生勝ち組だもんなぁ。羨ましい限りだぜ」(ヒソヒソ)
貴族とはこの国の中心にある「貴族殿」に住む者で、国の運営をしている国のトップである。貴族はもれなく皆が高性能、レアな職業や技能持ちで、人類がここまで持ち直したのは、貴族たちの力が大きい。その力と血統を存続される為に国民は高級な食材や素材、そして質のいい妻を献上し続けている。貴族になれば生涯安泰の毎日贅沢三昧である。・・・ちょっと羨ましいかも。
――そしてその後も粛々と儀式は続き、いよいよ僕の番になった。ゴクリと喉を鳴らし、緊張しつつ舞台にゆっくりと上がる。教壇を挟んでの教育長と対面。教育長はコクリと頷くと黒い石板を僕の前に差し出した。これは「リクルトの石板」といって手に触れた者の与える名と職業が浮き上がる魔道具なのだそうだ。・・・僕は右手を石板に乗せる。石板から小さくジジ・・・と音がして、文字が浮かび上がってきた。教育長は石板を顔に引き寄せ、メガネをクイッと1度あげてその内容を読み上げた。
「ふむ・・・346番。君の真名は・・・「ジェント」だ」
ジェント・・・か。何かあまりピンと来ないけど、これが今世の僕の名前だ。早く慣れるようにしなきゃな。
「して、職業であるが・・・。ん? んん?!」
教育長は今度は石板をギリギリまで顔を寄せてクイクイとメガネを何度も上げまくる。
「職業・・・「スパダリ」? ・・・な、何なのだねこれは?」
「え?! いや、僕に言われても・・・」
スパダリ? どういう職業だ? ・・・スパ? 温泉? スパゲティ? ・・・ダリ? 画家? 聞いたことのない言葉だ。う~~ん・・・わ、分らん。
「・・・少し待ちなさい」
そう言って教育長は教壇に置かれていた分厚い本をペラペラと捲り出した。どうやらあれはこれまでに発現した職業をまとめた辞典のような物なのだろうか? しばらく捲り続けていた教育長が、小さくため息をついて辞典をパタンと閉じた。どうやら該当する職業は無かったようだ。
「・・・ジェントよ。何か頭の中で思いついたり、身体から力が湧いてくるような
感覚など自分の変化はないかね?」
そう教育長に言われて僕はもう一度頭の中を探りったり、身体中をペタペタと触診してみた。
「・・・いえ、特に何も」
「ふむ、そうか」
「はい・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・はい。じゃあ、次の者」
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