職業:「スパダリ」ってのを授かったんだけど、なにコレ?!

犬雑炊

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3話 落街へ

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 結局、僕のことは終始スルーされて成人の儀は終了した。参加者がゾロゾロと帰っていく中、215番・・・ルライバが大げさに両手を広げてハハハハと、笑いながらこちらにやって来る。その後ろには取り巻きの二人もいて僕を見ながらニヤニヤしている。

「やぁ・・・ジェント。お前が前例のない職業を授かったときは、
 同じ貴族候補になるのかと、怒りでお前をズタズタに切り刻ん
 でやろうかと思ったが・・・残念だったなぁ。何の力もない
 「クズ職業」だとは・・・憐れ過ぎて笑ってしまうよぉ」

 怖っ!! 切り刻むとか、どんだけコイツは僕の事嫌いなんだよ。僕なにかしたか?

「そんな事よりルライバ様。+職業を授かるかるとは流石ですね」

「前からルライバ様は貴族の子と皆が噂をしたいましたが、これは確定でしょうね」

 取り巻き二人がルライバをヨイショする。「様」まで付けちゃって、まぁよくやるよ。

「フン、まぁ当然の結果だな。108番はテシタスで「盾士」。412番のギチャックは
 「火術師」だったか? ・・・ふむ、お前達なら俺のパーティに加えてやってもいいか
 もな」

「ほ、本当ですか!? 光栄です!!」

「やった。ルライバ様といれば、上級狩人になれますぜ!! キシシシ!!」
 
 もう僕のことに興味がなくなったのか、3人はワチャワチャと騒ぎながら去って行った。・・・やれやれ、これでようやくアイツらからのイビりから解放されたわけだ。いや~清々しい。もう二度と関わりたくないものだ。・・・と、そんな事よりもこれからの自分自身の事を考えなくちゃいけないな・・・。

◇◇◇◇◇

 ――次の日、育成棟を出た僕はその正門の前で悩んでいた。戦闘職ならあの3人も言っていた「ギルド」に入って狩人業をこなす。あそこは3食付きで寮も完備している。生産職ならその手の店に弟子入りして住み込みで働く。要は戦闘職も生産職も、しっかりとした受け皿がある。だけど僕の訳の分けらない職業では、どちらにも所属できないわけで・・・。

 僕は育成棟からの卒業生用の支給品を確認する。護身用と思われるナイフ1本、回復ポーション1本と解毒ポーション1本。それと屈魂指輪1つと少量のお金・・・。道具を全部売ってもよくて10日くらいしか持たない。

「やはりあそこに行くしかないかぁ・・・。まさか初手であそこに行くことに
 なるなんてなぁ・・・」

 ヤロヴァツカは、木の年輪のように城壁で区切られていて中心に行くほど重要な施設になっている。中心は貴族街、次に商業施設とギルド。そして一般街・・・となっている。で、僕が今向かっているのが王国の一番外の外壁にある一部の区画、通称「落街」と言われている所だ。そこでなら何とかやっていけるかもしれない。だがちょっと・・・いや、かなり問題のある場所なのだ。・・・行きたくないのがバレてるのか足が重い。だがそういう訳にもいかず、僕は足を引きずる様に落街へ向かうのだった。

◇◇◇◇◇

 落街に着いた僕は周りを警戒しながら進む。ゴミは散乱し、道や建物や城壁もボロボロ。道端に座り込んでいる浮浪者っぽい男たちが僕をチラチラと見てくる。ここはまさにスラム街といった感じだ。定年を迎えた者達は狩人は街の衛兵や育成棟の教員に。生産職なら先代からの店を継いだり、新しく自分の店を持ったりする。だが中には途中で
怪我や病気でやむなくドロップアウトしなければならなかった者たち。そんな彼らがここで暮らしている。国に貢献できない者は国民にあらずでここに住んでいる人達は完全に国から見捨てられている。なのでここで生きて行く為に恐喝、強盗、殺人が日常茶飯事になっている。・・・僕は明日の太陽を拝められるだろうか?

 ――しばらく歩いていると、横の路地からうめき声が聞こえてきた。気になって覗いてみると、そこには男がうつぶせに倒れていた。僕は驚きながらも警戒しながら近づいて男を抱き起こした。

「だ、大丈夫ですか!?」

「っ・・・。だ、誰だアンタ?」

 僕は男の状態を確認した。脇腹から血が出ている。おそらく刃物で刺されたのだろう。僕はすぐさま回復ポーションを取り出すと蓋を開け、男の服を捲り上げて傷口に流し掛けた。

「ちょっ、お前! それはっ!! っ・・・!!」

 シュー・・・っと小さな煙を出しながら傷口が塞がっていく。僕はその様子を見て安心してホッと息をついた。

「くぅ・・・アンタすまない。助かった。でもポーションを俺なんかに使って
 しまってよかったのか?」

「いいんだ。困ったときはお互い様ってね。・・・ってこんな言葉はこの世界には
 無いか。あはは」

「? なんにしても礼をしたい。・・・だが、見ての通り追いはぎにやられて
 何もないんだ・・・すまん。何か力になられることがあればいいんだが・・・」

「あ、それならここの顔役的な人を教えてくれませんか?」

 こうして僕は男の人の案内で顔役に会わせてもらえることになった。貧民街の奥の奥まで付いて行き、1つの小さなボロ家の中に通された。そこには老人が一人住んでいて、案内してくれた男が老人にこれまでの事情を説明した。

「・・・ふむ。こやつを助けていた頂いたそうで。礼を言わせてください。
 ワシはロージと申します」

「そう言えば、まだ名乗ってなかったな。俺はワッセだ。改めて助けて
 くれてありがとうな」

二人は僕にペコリと頭を下げた。

「僕はジェントです。あの、本当に気になさらずに。おかげで顔役の貴方に会う
 ことが出来ましたから」

「顔役と言っても、長い間ここに住んでいるだけですがね。・・・で、
 儂に用とは?」

ロージが促してくれたので、僕は席に着いた。ワッセはその間に、そつなく二人分の飲み物を出したくれた。

「あの、僕この地域に住みたいんです。それで住む所を紹介して欲しくて・・・」

「ほっほ。近頃は勝手に住み着いてやりたい放題する輩ばかりなのに・・・貴方は
 律儀な方だ。しかし見たところ貴方は育成棟を出たばかりではないかな?」

「ええ、実は・・・」

僕は自分の事情を説明した――。

「なるほど、そんな事が・・・。分りました。すぐに住む場所を紹介しましょう。
 ただ・・・言いにくいのだが、その代わりに育成棟を出たばかりの貴方なら解毒
 ポーションを持っているはず。それを譲って欲しいのだが・・・良いだろうか?」

「え? お金じゃなくていいんですか? ええ、いいですよ。どうぞ」

僕は快く解毒ポーションを渡した。

「おお! 有難い。我らでは解毒ポーションを買う金を作るのも一苦労でね。これを
 希釈して使えば10人分は行き渡るだろう。助かりました。本当にありがとう」

こうして僕は、落街で住む場所を手に入れた。
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