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少しだけ大人になって、学校に行くことになった。私が王子と言う肩書きを持っているものだから、物心がつかない頃から人々が寄ってきた。
「王子様、今度わたしとデートしてくださいませんか」
デートという言葉の意味を知らなかった。と言うよりか、小さな子供が使う言葉では無いはず。女は男よりも精神年齢が進んでいると言うが、それだけでは説明がつかないと思った。
「王子様とデートするのはわたしですわ!!!!!」
「なんですって???わたしが最初にアポイントをとったのよ???」
「そういう問題ではないでしょう!!!!!」
「あなた……お父様は所詮伯爵でしょう???わたしは公爵なのよ……」
そう言われてしまうと、女たちは黙ってしまう。そんなに身分が大事なのか……。まあ、これほどまでにちやほやされているのは、私が王子であるから、ということなんだろうが……。
これほどつまらない争いをするのだったら、いっそのこと人間を止めてしまいたいと思うこともあった。だって、あまりにもバカバカしすぎるじゃないか。ひどい争いだ。歴史を学べばよくわかる。
「あなた……そんなことを言い出すなんて!!!!!」
「何様よ。恨むんだったら、自分の両親を恨むことね!!!!!」
こんな感じの争いがあちこちで渦巻いていた。みんな、わたしとデートして将来の妃候補になりたい……単純すぎる。いい加減にしてもらえると嬉しい。
「ねえ、あの女はずっと黙っているわよね……」
「本当、気持ちが悪いくらいね……」
別のところで女たちがヒソヒソと話をしていた。私はその声に耳を傾けてみた。
「大体不気味よね。1人で本を読みながらニヤニヤしているなんて……」
自分の世界に入り込むんだったら、それはいいことだと思った。誰にも邪魔されない空間、そんなものが私にも欲しかった。
「あれでも伯爵令嬢なんだよねえ……」
「へえ、そうなんだ。でも、王子様の奪い合いには参加していないみたいね」
「どっちにしたって、あんな顔じゃ無理でしょう。それに、自分はもう無理だとわかっているんじゃないかしら。最初から負けてわかっているから、戦う必要もないんでしょう……」
なるほど、でも羨ましいと思った。そんな女に出会うことができたら、もしかして自分の人生も少しは変わるかもしれない。あんな醜い戦いの勝者と婚約するくらいだったら、そういう女を選んだ方がいいのかもしれないと思った。
「マリアさん!!!!!」
彼女は確かにマリアと呼ばれていた。ひょっとして……少しずつ記憶が蘇るようだった。
「王子様、今度わたしとデートしてくださいませんか」
デートという言葉の意味を知らなかった。と言うよりか、小さな子供が使う言葉では無いはず。女は男よりも精神年齢が進んでいると言うが、それだけでは説明がつかないと思った。
「王子様とデートするのはわたしですわ!!!!!」
「なんですって???わたしが最初にアポイントをとったのよ???」
「そういう問題ではないでしょう!!!!!」
「あなた……お父様は所詮伯爵でしょう???わたしは公爵なのよ……」
そう言われてしまうと、女たちは黙ってしまう。そんなに身分が大事なのか……。まあ、これほどまでにちやほやされているのは、私が王子であるから、ということなんだろうが……。
これほどつまらない争いをするのだったら、いっそのこと人間を止めてしまいたいと思うこともあった。だって、あまりにもバカバカしすぎるじゃないか。ひどい争いだ。歴史を学べばよくわかる。
「あなた……そんなことを言い出すなんて!!!!!」
「何様よ。恨むんだったら、自分の両親を恨むことね!!!!!」
こんな感じの争いがあちこちで渦巻いていた。みんな、わたしとデートして将来の妃候補になりたい……単純すぎる。いい加減にしてもらえると嬉しい。
「ねえ、あの女はずっと黙っているわよね……」
「本当、気持ちが悪いくらいね……」
別のところで女たちがヒソヒソと話をしていた。私はその声に耳を傾けてみた。
「大体不気味よね。1人で本を読みながらニヤニヤしているなんて……」
自分の世界に入り込むんだったら、それはいいことだと思った。誰にも邪魔されない空間、そんなものが私にも欲しかった。
「あれでも伯爵令嬢なんだよねえ……」
「へえ、そうなんだ。でも、王子様の奪い合いには参加していないみたいね」
「どっちにしたって、あんな顔じゃ無理でしょう。それに、自分はもう無理だとわかっているんじゃないかしら。最初から負けてわかっているから、戦う必要もないんでしょう……」
なるほど、でも羨ましいと思った。そんな女に出会うことができたら、もしかして自分の人生も少しは変わるかもしれない。あんな醜い戦いの勝者と婚約するくらいだったら、そういう女を選んだ方がいいのかもしれないと思った。
「マリアさん!!!!!」
彼女は確かにマリアと呼ばれていた。ひょっとして……少しずつ記憶が蘇るようだった。
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