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マリア、頭の中で刻まれたもう一つの名前。あの時の記憶が少しずつ鮮明になってくる。
私にとっては、あれが初恋だったのかもしれない。あの時、私が知ったマリアだったのだろうか。
「マリアさんはいつも本ばかり読んでいる……」
そうだ、やはり私の知っているマリアなのかもしれない。私は彼女に会おうと思った。でも、表立ってやってしまうと彼女の迷惑になってしまうと思ったから、彼女が帰るタイミングを見計らうことにした。
「これでいいんだ……」
マリアは1人でしゃべっていた。きっと、近くに友達がいたのかもしれない。私にはもちろん見えない。そうやって悲しげな顔をしている姿が目に焼きついていった。
「いいよね???」
私はますます、彼女に近づこうと思った。彼女こそが、私の人生の伴侶にふさわしいと思った。
「マリア???」
私はいよいよ声をかけた。すると、彼女は振り返った。明らかに驚いていた。私が誰だか知っているようだった。その顔をしっかりと目に焼きつけた。忘れるわけもない。あの時目にした彼女そのものだった。
「失礼ながら、王子様でいらっしゃいますか???」
この日初めて、互いを認識した日になった。私はうなずいた。
私にとっては、あれが初恋だったのかもしれない。あの時、私が知ったマリアだったのだろうか。
「マリアさんはいつも本ばかり読んでいる……」
そうだ、やはり私の知っているマリアなのかもしれない。私は彼女に会おうと思った。でも、表立ってやってしまうと彼女の迷惑になってしまうと思ったから、彼女が帰るタイミングを見計らうことにした。
「これでいいんだ……」
マリアは1人でしゃべっていた。きっと、近くに友達がいたのかもしれない。私にはもちろん見えない。そうやって悲しげな顔をしている姿が目に焼きついていった。
「いいよね???」
私はますます、彼女に近づこうと思った。彼女こそが、私の人生の伴侶にふさわしいと思った。
「マリア???」
私はいよいよ声をかけた。すると、彼女は振り返った。明らかに驚いていた。私が誰だか知っているようだった。その顔をしっかりと目に焼きつけた。忘れるわけもない。あの時目にした彼女そのものだった。
「失礼ながら、王子様でいらっしゃいますか???」
この日初めて、互いを認識した日になった。私はうなずいた。
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