悪役令嬢の証明

悪役令嬢

私が悪役令嬢であることを知っているのは、親友のテイラーだけ。

「どうして……私の主人を寝取ったの？？？」

こんな感じで、私に質問してくる。

「だって、仕方がないじゃない。私の意志ではないの。あなたの旦那さんが勝手にやって来たのだから……私だって女だし、愛してくれるって言ったら、そのまま愛される人生をエンジョイしたいじゃない？？？」

「ジュリア！！！あなたって人は！！！」

「なによ？？？文句あるの？？？別にいいけど……私のことを怒っても、意味がないんじゃないかしら？？？それよりも、私を愛してくれたあなたの旦那さんに聞いてみるのね？？？」


その後、私はテイラーに妬まれて、殺されたみたいだ。でも……また、こうして生きている。これは……ひょっとすると、転生ってやつだろうか？？？なかなか面白い。まあ、なんとかしてこの地獄みたいな生活から解放されて、自分の新しい人生をエンジョイしたいと思うのだ！！！


「それはそうと……どうして、私の兄を寝取ったのかしら？？？」

私を殺して処刑されたテイラーが、またもや私の隣人である。因果は繰り返すらしい。つまり、私とテイラーはずっと隣人を演じることになるらしい。それにしても……今回寝取ったのは、テイラーの兄だったか……。テイラーは確か、極度のブラコンで、兄が誰かと婚約するのを絶対に許さない、とか言っていたような……。ああ、話がめんどくさい……なんて思っているうちに、またもや死んでいた。

「お兄ちゃんを傷ものにした人間には、死あるのみ！！！」

ああ、ヤンデレってやつか……。

それにしても、私は随分と酷い隣人を持ってしまったようだ。彼女は……言うなれば、私が悪役令嬢であり続けることを証明するための人間とでも言えばいいのだろうか。つまり、絶対的な必然性なんてないのに、神様の悪戯だかなんだか知らないが、タグ付けのつもりで、私はいつもテイラーと関わって生活することになっていたのだ。