王子の婚約破棄に対抗する令嬢はお好きですか？～妹ってうるさいですね。そこまでおっしゃるのでしたら別れましょう～

その13

やがて、妹のタバチエールは少しずつ回復してきました。それは、私が見ても明らかにわかることでございまして、本当に素晴らしいことだと思いました。

「お姉さま……私をここまで連れてきてくださったのですか？？？」

私は全ての事実をタバチエールに打ち明けました。すると、タバチエールは、

「そうだったのですか」

と短く答えました。

「どうかしら……やっぱり、大変よね？？？そうでもないかしら？？？」

「いいえ、私は特に問題ないんですけども……それよりも、お姉さまのほうが大変ではなかったのですか？？？」

「私？？？私は別に何も気にしていないのよ。だって……妹の幸せを願うのが、私の役割でもあるからね……」

「お姉さま……ああ、素晴らしいことですわ」

タバチエールは少しは私のことをありがたく受け取ってくれるようでした。別に、そのように誘導したわけではなかったのですが……結果として、タバチエールは理解してくれたってことなのでしょう。

「ボリス様は……本当にひどいお方だと思います。確かに、最初は私のことを愛してくださいました。でもね、しまいには私のことを退屈な女だって……そう言い張るんですよ。もう本当に頭に来てしまって……返す言葉もないくらいでしたよ……」

なるほど、容易に想像がつきました。退屈な女っていう言い方はひどいものですが……あのようなお方にしてみれば、まあそう感じても仕方がなかったのかもしれませんね。

でも、それを最初から見抜いていなかったのは、ボリス様の大きな過失と言えましょう。ですから完璧にボリス様の罪だと私は思いました。少なくとも、タバチエールは何も悪くないと、私は結論付けました。

「そんな……お姉さまはどうしてここまで私のことを大切に思ってくれるのですか？？？」

姉であるということ以上に、ここまで可哀そうな扱いを受ける女の子を許せないから……とでもいったところでしょうか。いや、本当に許せないんですよ。こういうパターンの人生を続けなくてはならないっていうのは。

だから、どこかでリセットする必要があると思うんです。その分、タバチエールのリセットは思うようにいったと考えております。まあ、これでも不備はあるかもしれませんが、とりあえずは。