気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにしませんか

岡暁舟

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「ボリス様!!!私の愛が届いていませんか???」

「ナターシャ???直接俺に問いかけているのか???」

「ええ、あまりにも私のことを蔑ろにするものですから、来ちゃいました……」

ボリス様の世界に足を踏み入れたもう一人の私は、滑稽な妄想の連絡船だった。

「どうして……俺はナターシャと話ができるんだ???どうやって入って来た???」

「そんなの、どうでもいいじゃないですか……」

「どうでもよくない……ああ、どうして君の声を聞くことができるんだろうか……」

「そんなことはどうでもいいんです。私は一言、あなたに告げたいことがあるんです……」


「伝えたいこと???」

ボリス様は期待したのかもしれない。

「あなたはバカだ……人の気持ちをなにも考えないで……本当に愚かな人!!!」

ボリス様は思わず頭を踏みつけられた。

「おいおい、何をするんだ!!!」

「バカなあなた様には、これくらいのことをしないと何も分からないでしょうから!!!」

ボリス様の顔が歪む……面白く歪む。意図しているわけではない。簡単な力で空間が歪むよう。

「ナターシャ……止めるんだ!!!」

「止めません……私が悪者であるならば、同時にあなたも悪者でなければなりません……」

「どういうことだ!!!」

「どういうことも、こういうこともありません……もう何も考える必要なんてない……」

「そんな……どうしてだ!!!」

「私のことを裏切った……罪です!!!」


二人の嘆きが一致するとき……その意味は異なるのだが。

「どうして私はボリス様のことを……」

私は家を追放されて流浪の民となっていた。金はそこそこあるのだが、何もせずにただ流浪していると、いずれ息絶える未来が容易に想像できた。

「お嬢さん!!!」

道行く人々は、みな私のことをお嬢さんと呼んでくれる。

「いい仕事があるんだけど……」

女が一人で夜道をふらつく……家もなく野宿しているのを見かければ、仕事がないことなんて一目瞭然である。スラム街の住人になってしまった私に斡旋される仕事なんて、人道から大きく外れたものに決まっているのだ。

だがしかし、これから一人で生きることを考えると、収入が必要になる。

「あなたのような美しい方にピッタリの仕事があるんですよ……」

男たちが斡旋する仕事……でもね、いい収入になりそうだから、私は思わず了承してしまうわけだ……。
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