15 / 21
15
しおりを挟む
「ボリス様!!!私の愛が届いていませんか???」
「ナターシャ???直接俺に問いかけているのか???」
「ええ、あまりにも私のことを蔑ろにするものですから、来ちゃいました……」
ボリス様の世界に足を踏み入れたもう一人の私は、滑稽な妄想の連絡船だった。
「どうして……俺はナターシャと話ができるんだ???どうやって入って来た???」
「そんなの、どうでもいいじゃないですか……」
「どうでもよくない……ああ、どうして君の声を聞くことができるんだろうか……」
「そんなことはどうでもいいんです。私は一言、あなたに告げたいことがあるんです……」
「伝えたいこと???」
ボリス様は期待したのかもしれない。
「あなたはバカだ……人の気持ちをなにも考えないで……本当に愚かな人!!!」
ボリス様は思わず頭を踏みつけられた。
「おいおい、何をするんだ!!!」
「バカなあなた様には、これくらいのことをしないと何も分からないでしょうから!!!」
ボリス様の顔が歪む……面白く歪む。意図しているわけではない。簡単な力で空間が歪むよう。
「ナターシャ……止めるんだ!!!」
「止めません……私が悪者であるならば、同時にあなたも悪者でなければなりません……」
「どういうことだ!!!」
「どういうことも、こういうこともありません……もう何も考える必要なんてない……」
「そんな……どうしてだ!!!」
「私のことを裏切った……罪です!!!」
二人の嘆きが一致するとき……その意味は異なるのだが。
「どうして私はボリス様のことを……」
私は家を追放されて流浪の民となっていた。金はそこそこあるのだが、何もせずにただ流浪していると、いずれ息絶える未来が容易に想像できた。
「お嬢さん!!!」
道行く人々は、みな私のことをお嬢さんと呼んでくれる。
「いい仕事があるんだけど……」
女が一人で夜道をふらつく……家もなく野宿しているのを見かければ、仕事がないことなんて一目瞭然である。スラム街の住人になってしまった私に斡旋される仕事なんて、人道から大きく外れたものに決まっているのだ。
だがしかし、これから一人で生きることを考えると、収入が必要になる。
「あなたのような美しい方にピッタリの仕事があるんですよ……」
男たちが斡旋する仕事……でもね、いい収入になりそうだから、私は思わず了承してしまうわけだ……。
「ナターシャ???直接俺に問いかけているのか???」
「ええ、あまりにも私のことを蔑ろにするものですから、来ちゃいました……」
ボリス様の世界に足を踏み入れたもう一人の私は、滑稽な妄想の連絡船だった。
「どうして……俺はナターシャと話ができるんだ???どうやって入って来た???」
「そんなの、どうでもいいじゃないですか……」
「どうでもよくない……ああ、どうして君の声を聞くことができるんだろうか……」
「そんなことはどうでもいいんです。私は一言、あなたに告げたいことがあるんです……」
「伝えたいこと???」
ボリス様は期待したのかもしれない。
「あなたはバカだ……人の気持ちをなにも考えないで……本当に愚かな人!!!」
ボリス様は思わず頭を踏みつけられた。
「おいおい、何をするんだ!!!」
「バカなあなた様には、これくらいのことをしないと何も分からないでしょうから!!!」
ボリス様の顔が歪む……面白く歪む。意図しているわけではない。簡単な力で空間が歪むよう。
「ナターシャ……止めるんだ!!!」
「止めません……私が悪者であるならば、同時にあなたも悪者でなければなりません……」
「どういうことだ!!!」
「どういうことも、こういうこともありません……もう何も考える必要なんてない……」
「そんな……どうしてだ!!!」
「私のことを裏切った……罪です!!!」
二人の嘆きが一致するとき……その意味は異なるのだが。
「どうして私はボリス様のことを……」
私は家を追放されて流浪の民となっていた。金はそこそこあるのだが、何もせずにただ流浪していると、いずれ息絶える未来が容易に想像できた。
「お嬢さん!!!」
道行く人々は、みな私のことをお嬢さんと呼んでくれる。
「いい仕事があるんだけど……」
女が一人で夜道をふらつく……家もなく野宿しているのを見かければ、仕事がないことなんて一目瞭然である。スラム街の住人になってしまった私に斡旋される仕事なんて、人道から大きく外れたものに決まっているのだ。
だがしかし、これから一人で生きることを考えると、収入が必要になる。
「あなたのような美しい方にピッタリの仕事があるんですよ……」
男たちが斡旋する仕事……でもね、いい収入になりそうだから、私は思わず了承してしまうわけだ……。
56
あなたにおすすめの小説
(完結)その女は誰ですか?ーーあなたの婚約者はこの私ですが・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はシーグ侯爵家のイルヤ。ビドは私の婚約者でとても真面目で純粋な人よ。でも、隣国に留学している彼に会いに行った私はそこで思いがけない光景に出くわす。
なんとそこには私を名乗る女がいたの。これってどういうこと?
婚約者の裏切りにざまぁします。コメディ風味。
※この小説は独自の世界観で書いておりますので一切史実には基づきません。
※ゆるふわ設定のご都合主義です。
※元サヤはありません。
婚約破棄されたのに、王太子殿下がバルコニーの下にいます
ちよこ
恋愛
「リリス・フォン・アイゼンシュタイン。君との婚約を破棄する」
王子による公開断罪。
悪役令嬢として破滅ルートを迎えたリリスは、ようやく自由を手に入れた……はずだった。
だが翌朝、屋敷のバルコニーの下に立っていたのは、断罪したはずの王太子。
花束を抱え、「おはよう」と微笑む彼は、毎朝訪れるようになり——
「リリス、僕は君の全てが好きなんだ。」
そう語る彼は、狂愛をリリスに注ぎはじめる。
婚約破棄×悪役令嬢×ヤンデレ王子による、
テンプレから逸脱しまくるダークサイド・ラブコメディ!
すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…
アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。
婚約者には役目がある。
例え、私との時間が取れなくても、
例え、一人で夜会に行く事になっても、
例え、貴方が彼女を愛していても、
私は貴方を愛してる。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 女性視点、男性視点があります。
❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。
絶縁状をお受け取りくださいませ旦那様。~離縁の果てに私を待っていたのは初恋の人に溺愛される幸せな異国ライフでした
松ノ木るな
恋愛
アリンガム侯爵家夫人ルシールは離婚手続きが進むさなかの夜、これから世話になる留学先の知人に手紙をしたためていた。
もう書き終えるかという頃、扉をノックする音が聞こえる。その訪ね人は、薄暗い取引で長年侯爵家に出入りしていた、美しい男性であった。
結婚式の晩、「すまないが君を愛することはできない」と旦那様は言った。
雨野六月(旧アカウント)
恋愛
「俺には愛する人がいるんだ。両親がどうしてもというので仕方なく君と結婚したが、君を愛することはできないし、床を交わす気にもなれない。どうか了承してほしい」
結婚式の晩、新妻クロエが夫ロバートから要求されたのは、お飾りの妻になることだった。
「君さえ黙っていれば、なにもかも丸くおさまる」と諭されて、クロエはそれを受け入れる。そして――
他人の婚約者を誘惑せずにはいられない令嬢に目をつけられましたが、私の婚約者を馬鹿にし過ぎだと思います
珠宮さくら
恋愛
ニヴェス・カスティリオーネは婚約者ができたのだが、あまり嬉しくない状況で婚約することになった。
最初は、ニヴェスの妹との婚約者にどうかと言う話だったのだ。その子息が、ニヴェスより年下で妹との方が歳が近いからだった。
それなのに妹はある理由で婚約したくないと言っていて、それをフォローしたニヴェスが、その子息に気に入られて婚約することになったのだが……。
(完結)だったら、そちらと結婚したらいいでしょう?
青空一夏
恋愛
エレノアは美しく気高い公爵令嬢。彼女が婚約者に選んだのは、誰もが驚く相手――冴えない平民のデラノだった。太っていて吹き出物だらけ、クラスメイトにバカにされるような彼だったが、エレノアはそんなデラノに同情し、彼を変えようと決意する。
エレノアの尽力により、デラノは見違えるほど格好良く変身し、学園の女子たちから憧れの存在となる。彼女の用意した特別な食事や、励ましの言葉に支えられ、自信をつけたデラノ。しかし、彼の心は次第に傲慢に変わっていく・・・・・・
エレノアの献身を忘れ、身分の差にあぐらをかきはじめるデラノ。そんな彼に待っていたのは・・・・・・
※異世界、ゆるふわ設定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる