婚約破棄、忘れる

岡暁舟

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婚約破棄、忘れる?

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「ルリーフェ!!!君との婚約を破棄しようと思うのだ!!!」

そんなことを言い張るのは、第一王子のフィンガー様です。ちなみに、私は婚約破棄される側の令嬢でございます。

「どうしてですか???」

「私は……真実の愛を悟ったのだ!!!」

まあまあ、大抵の殿方はそのようなことを言います。ですが……私に言わせると、それは非常に不可解なことなのです。

「ああ、そんなことは忘れてくださいませ……」

「忘れるだと???そんなこと、できるはずないだろうが!!!」

「ええっ?本当によろしいのですか???困りましたねえ……。そうじゃないと、こっちが大変になってしまうのに……」

「それはどういう意味だ???」

「ですから……あなた様が新しく婚約なさろうと思っている伯爵令嬢のことなのですが……彼女は昨日、死んでしまったのですよ???」

「何だって???そんなわけないだろう!!!」

「いいえ、事実でございます。私が嘘をつく必要なんて、全くないじゃないですか???」

「それは……そうやって、私のことを騙そうとしているのだろう???そうすれば、私との婚約破棄が解消し、君はすっきりする……そう言うことだろう!!!!」

第一王子様は、勝ち誇った顔で、私のことを哀れんでいるようでございました。まあ……本当に哀れだと思っているのならば、それはそれでいいのですが……。

「ですから……私はこれ以上、この話には関わらないつもりなので。後は勝手にやってください……」


私は最後にこう言い残して、第一王子様の前から消えました。後の話でございますが、第一王子様は、死んだ伯爵令嬢に呪われたとのことです。そして……真面な婚約者を探すことも出来ずに、死んでいったとのことなのです。

そんなことはどうでもいい……私には、まだ、人生を謳歌するのに十分な時間が残っているわけでございますから!!!!!
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